季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

シュタインベルク

2020年02月01日 | 音楽
かつて存在したドイツのピアノ製作会社である。僕はその昔ドイツに暮らしていた折に偶々知ることになった。

知人の紹介であるお宅でハウスコンサートをした。そこにあったのがシュタインベルクのベビーグランドだった。

こんな粗末な楽器しかなくて申し訳ないと謝罪を受けながら1音弾いて驚いた。スタインウェイの180cmモデルより遥かに小さなボディから実にニュアンスに富んだ豊かな響きが出るのだ。

通常左のペダルを踏むと鍵盤が右にずれるのだがこの楽器は左にずれる。そうした理由は分からないが一家言を持つファブリックなのだろうか。

僕は感銘を受けてそこの家主に絶対に楽器を大切にしてくれとお願いした。確か20万円位で買ったと聞かされた。

その後帰国して間もなく、ある楽器店でこのメーカーのアップライトに出くわした。これもまた非常に良い楽器だったが100万円位で売っていた。

帰国直後でこの国の中古ピアノ事情に全く明るくなかった僕にとってはこの価格設定は目が飛び出るほどの設定だったのである。当時のドイツではもう存在しないメーカーのアップライトならば10万円も出せば手に入った。僕が価格にビックリしたのも無理のないことだった。今その楽器を見たら小躍りしてすぐさま購入しただろうに。

こうして鮮やかに記憶に残っていたシュタインベルクのグランドピアノが我家の近所にあったのだ。これもまた奇遇というべき話である。その楽器については稿を改めよう。



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