「ピンポンマム 花言葉「君を愛す」」

🟪ピンポンマム 花言葉「君を愛す」🟪

北原白秋「月光微韻」

月の夜の羅漢柏、あすはひのきの
なんとなき春の幽けさ。

月の夜の煙草のけむり
匂のみ紫なる。

星よりもほのかなものは
みどり児のほほゑみ、
ついたち二日の月。

露けきは月の夜にして、
竹の根の竹煮草の葉。

月の夜に影するものの真近さ、
花ちり方の椎の木。

人声の近づきて、
明るか、月夜の野茨。

月の夜の白い白い木槿に
影さすものは笹の葉。

そよかぜにも
小竹(ささ)のゆるるか、ゆるるか、
月の夜の雀よ。

月の夜に雫するもの
霽(は)れやらぬ椎の狭霧(さぎり)。

月照る野路の明さにて、
など啼きやまぬ、鶉よ。

蝶の飛ぶ水田明り、
その末は月の夜の海。

月の夜の星の淡さ、
見え来る声の幼なさ。

ありありと現はるる風、
夜のふけの孟宗の月。

月の夜の千鳥
見えて啼けとの。

月の夜の見えの薄さ、
風の吹く道、星の間の線。

月のあなたの漣、
夜ふけて、わたる人あり。

月の夜の薄翅(うすば)かげろう
白芥子(しらけし)の空に舞へよ。

月かげすらも痛からむ、
明日ひらく紅き蓮(はちす)の
蕾の尖(さき)よ。

頼むは明日の星、
にほへよ月の椎の木。

木の花のほのかなる、
梢のみ月に光らせて。

月夜の榧
かやの実が青うつくかよ。

風高し、あはれ、
影無うして、月に開ける窓。