motoの徒然なるままに…

日々是好日日記

「1分で泣ける話より」

2020年03月08日 | 日々徒然

「1分で泣ける話より」
小学生だった私は、弟と母親の3人暮らし。
父親は腕のいい職人だったけど、女作って家族を置いたままどこかへ行った。
残された母親は、女手一つで頑張ってくれた。
私達は貧乏で身なりが汚かったので、よく苛められた。
そんな、ある時家庭訪問をやる事で先生がうちにも来ることになった。
私は母親に「恥ずかしいから先生に来てもらうの嫌だ。」って言っら、酷く叱られた。
「貧乏なんてちっともはずかしくないんだよ。そんな事を言うなんて、もううちの子じゃない。」って。
「だってお母さん、うちは先生に出すお菓子も買えないよ。」
「大丈夫よ、そんな事子供が気にしなくても。お母さんは、こう見えてもおはぎ作らせるとうまいんだ。おばあちゃんから習ったんだから。」
「ほんと?」
「本当さ。先生には美味しい手作りのおはぎを出すから安心しな。」
家庭訪問の前夜から母親は小豆を水に浸し、次の日は朝早くから煮込んでいた。
私と弟はわくわくしながら見ていた。
出来上がったおはぎをみんなで味見したら、それはもうとてもおいしかった。
あの時の味は今でも忘れない。
『先生も喜んでくれる。』
そう信じていた。
ところが先生は出されたおはぎに手をつけなかった。
母親が言った。
「先生手作りですけど、どうぞお召し上がりになって下さい。」
「いえ、せっかくですが、今お腹がいっぱいなので貰って帰ります。」
先生はそう言って紙に包んでカバンの中にしまった。
それから1時間後、私は土手下の草村で遊んでいて、投げ捨てられているおはぎを発見した。
紙包みからはみだしたおはぎが、無残に散らばっていた。
それが私の母の作ったおはぎだという事は、包んである紙を見てわかった。
どうして先生が捨てたのか、いろいろ考えた。
考えながら涙が流れてとまらなかった。
母が作ったおはぎが悪いんじゃない。
貧乏が悪いんだ。

・・辛い思い出ですね。
どうぞ人の道を外さず・・心優しい大人に成長してくれて居ることを願っています。合掌 m(_ _)m

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「リンクモア・フューネラル... | トップ | 「大本山永平寺 山門」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日々徒然」カテゴリの最新記事