「忌中紙」に見る 葬式への心情👤
亡くなった方の住居の玄関に貼り出す「忌中紙」は死を穢れとしている証明書みたいなものだと私は思う。いいとか悪いとかという議論ではなく、その意味を探ってみた。
◇津軽地方によく見られる「門刈」(本来の文字は「殯」)というバッテン型の木材を玄関両端に付ける風習も、穢れからの回避のための隔離サインだったのではないかと思う。昔は伝染病で亡くなる人も結構いたので、衛生上の感染防止対策もあったと思われる。空き巣に狙われるので徐々に減ってきているものの、まだ何となく貼り出している葬家も多いのではないかと思う。今一度この「忌中」の意味を考えてみる必要がある。
◇お清めの塩を用意する、故人の茶わんを割る、火葬場に行く道と帰り道を変える…死に対する恐怖感がさまざまな習俗や迷信をつくってきた。「忌中」と「喪中」では意味が違ってくる。「忌中」は対外的に忌避する短い期間を示し、「喪中」は内面的に供養に専念する長い期間を意味しているのではないかと分析している。
◇「お葬式」はなぜするのか? 習俗や風俗には必ず動機がある。形骸化されてきた習慣を見直すことにより、新しい発見があるはずだ。まさに忌中紙一枚から、見えなかった私たちの葬式に対する心情が見えてくる。自分の葬儀は自分で考える終活セミナーも大事であるが、葬儀そのものの本質を考えてみてはどうか? 儀式を見直すいい機会になるはずだ。温故知新の言葉をかみしめながら。
(青森市・船橋素幸)
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