東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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作業療法って何だろう?

2018年01月09日 | 臨床雑記
【作業】とは:(スル)仕事。また、仕事をすること。特に、一定の目的と計画のもとに、身体または知能を使ってする仕事。-大辞泉より-

『人間にとって作業は水や食物と同じように必要なものである』-Dunton


こんにちは。平成30年も始まり、昨年一年を振り返りつつこのブログを書いていますがいろいろなことがありすぎてまとまらず・・・まとまりきれないあれやこれやが頭を悩ましています。そんな現実を逃避して考えました。筆者にとって作業療法って何だろう?

患者様に自己紹介をするとき、作業療法士の説明にはいまだ迷います。
自分がどんなところで役に立てるのか、分かりやすく伝えたほうが相手の方も相談しやすいとは思うものの作業療法士がすることを話そうとすると、すべてのことが作業療法の対象であって
作業療法士がしないこと、しなくていいことなどはないのではないかとも思います。
朝起きて顔を洗ってご飯を食べて、トイレに行って着替えて仕事に行って、あるいは学校に行って。家事をして、好きなことをして、お風呂に入って・・・その人が『すること』すべてを作業療法士はリハビリの対象とします。

関連記事:作業療法のいろいろ ①作業療法ってどんな仕事?【一般の方向け】

筆者は社会人を経てこの仕事を選んだのですが、作業療法士についての説明を読んだとき
よくわからない仕事だなと思いました。
はっきりしなくて曖昧だから、その存在意義を主張するのは正直面倒くさい。
あとリハビリを見学しても全然すごく見えない(笑)
だったら理学療法士や言語聴覚士のほうが分かりやすくて良いとも思いました。
結局は学費を優先して作業療法士になったわけですが、自分の性に合っていたと今は思います。
その人の身体も精神も、過去も今も未来も考える仕事です。
身体が動かなくても、その人がその人で在り続けることを何とかして支えようとする。
精神が動かなくても、何かを感じて笑って欲しいと働きかけ続ける。
人をどこまでも活かそうとする。多分、そんな仕事のように思うのですが
これでは患者様には『???』となりますので、まだまだ説明に苦慮しそうです。

最後に、作業療法士をしていて良かったと思った最近のこと。
先日、2年前に退院した方から『麻雀行けました!』と報告を頂きました。
神経を損傷し当院でリハビリを始めたころは下半身の感覚も運動も麻痺していました。
その方のHOPEが『身の回りのことができるようになりたい。また仲間と健康麻雀をしたい』でした。
長期のリハビリに励み装具をつけて歩行訓練をし、自宅を整え身の回りのことはほぼできるようになり。座ってできる家事をして、電動車いすで買い物に行ける目途が立って退院されました。
ただ2階にあるエレベーターのない健康麻雀は、まずは家のことからと言って帰られました。
立って家事ができるようになったと、訪問リハビリスタッフさんから焼きそばを作っている写真を見せて頂いたのが1年前くらい。階段昇降の訓練をしているとご本人から電話で報告をもらったのもその頃。
そして先月、ついに健康麻雀に行って仲間から盛大に歓迎されたとの報告。
その方が入院中から繰り返し繰り返し言っていたのが『ノミの一歩』。すこしずつ、すこしずつの変化を心から喜んで下さった。
『何も考えてなかったのが良かった』と電話でも笑っていました。
もう無理だと思っていたから変わっていくことが嬉しかったと。こんな姿を見せられたら、活かされているのはこっちだなと思う。
Oさんの笑顔とその一歩一歩の積み重ねと、そばで支えてくれた皆様に深謝。

ここまで読んでくださってほんとうにありがとうございました。
皆様の新しい一年が少しでも幸多からんことを。
そして苦しいこと、もう駄目だと思うようなことがもしあっても、再びそこから立ち直り笑える日々であることを心から願っています。