東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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難病患者さまのコミュニケーション支援~現状と課題~

2016年11月18日 | 神経難病
学会発表とベストポスター賞
先日、国立病院機構総合医学会で、ベストポスター賞というのを頂きました!→こちらも参照
発表のテーマは『難病コミュニケーション支援の現状』です。
この発表は、アンケート結果をもとに難病の方へのコミュニケーション支援について地域支援者の方々が『知識や技術』『相談できる人や組織』を求めていることを明らかにしたものです。
さらに、難病医療に取り組む国立病院機構の作業療法士がどのように地域との共同に取り組んでいるかを報告して、病院と地域の支援者間連携の必要性を示しました。
この難病コミュニケーション支援は、特殊な知識と技術を要します。
そして難病の方の言葉と意思を、ご家族の方の想いを支えるために、不可欠な支援だと考えています。


「難病コミュニケーション支援」について
ALS(筋萎縮性側索硬化症)に代表される難病は構音障害により発話でのコミュニケーションが困難になるうえ、運動機能障害によって筆談等もできなくなります。
このため、AAC(Augmentative & Alternative Communication 補助代替コミュニケーション)と呼ばれる手段を用います。
視線を読む透明文字盤や口の形とサインを読む口文字盤、意思伝達装置などがその代表ですが、ほかにもPCやスマートフォンのアクセシビリティ機能、1つのスイッチでスマートフォンやタブレットを操作する外部デバイスなど実に様々な手段が用いられます。

「使える道具や手段」の導入は実は、それほど難しくはないかと思います。
難しいのは、その方やご家族の意に適う、使いたいと思って頂けるような道具や手段の導入なのかと思います。
その方らしい言葉、ユーモアや世間話も聴きたい、夢中になって話してもらいたいと思ってしまうのです。

「難病コミュニケーション支援」の課題
そのため、コミュニケーション支援はある程度、安楽に使える手段でなければなりません。
その方の機能に合わせ、あるいは機能を活かし維持するためにも、段階的な支援が必要なのだと思います。
これを叶えるためには、病院だけでなく、その方の日々の声を聴き生活を現場で支える訪問スタッフさんの協力は不可欠です。
実際に訪問スタッフさんと協働すると、よりその方やご家族の心情や生活のより深い洞察が得られ、「これだ!」という手段が見えてくるのです。
このような経験は、実にありがたいことだと思います。
こんな病院と地域とのやりとりが、当院の「当たり前」になったらなあと思ったのが今回の発表のきっかけにもなっています。

無事発表も終わってほっと一息。
これからはこの場を借りて、さまざまな道具や手段のご紹介もできたらと思っています。
読んで頂いて、ありがとうございました!


学会発表の合間に海のこえを聴く


ソーキそばは外せない
C2(OT)

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