東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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ALS 現在の臨床治験の紹介

2018年12月14日 | 紹介

こんにちは!
今回は筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)の治験にまつわる新しい情報を見聞きしたので、紹介しようと思います。

たくさんあるとは思いますが、今回は2つ紹介したいと思います。
1つ目は慶應義塾大学で現在行われている抗パーキンソン病薬のALS患者への投与による臨床試験です。



これは最近よく聞くようになったiPS細胞の技術を使って発見された薬物のようです。
iPS細胞の技術により以前は困難であった希少疾患の患者モデルの細胞を多量に複製する研究が盛んにおこなわれるようになりました。
今回もALS患者の神経細胞を複製し、それぞれに既存薬や物質を投与することで、効果のある既存薬を発見できたようです。
こういった方法での治療薬の検索は多くなされており、今回で3例目だそうです。
他の難病でもこういった形で発見される治療薬が増えるのでは?と期待されるところです。

そして、今回発見された薬は「ロピニロール塩酸塩」というパーキンソン病の治療薬です。
世界的にも広く使用されており、その安全性や有効性については確立されているものだそうです。
細かい治療効果はこれから研究が進むそうですが、運動神経の細胞死を防ぐ効果があるようで、ALSにも効果があるのではないかと期待されています。
現在も治験参加者の募集をしているようです。
興味のある方はぜひ参加を検討してみては?と思うのですが、残念ながら全ての方が適応というわけではなく、どうやら主に歩行期にある方のみが対象のようです。



このALS重症度分類1または2は具体的には以下のようなものになります。



ただ効果があることが実証されれば適応が拡大する可能性も考えられるので、重症度の高い患者さんにも全く関係のない話ではないかもしれません。

興味のある方は以下のURLに詳細がありますので、見てみてください。

https://survey.qlifeweb.jp/lp/als/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=20181203_als&gclid=Cj0KCQiAgMPgBRDDARIsAOh3uyL-fCXD5-fwiCpIeEWWDwp-GgZHUVtDMlOc3OnQWL-EuqhuyImoBVwaAhg3EALw_wcB


もう一つ、これも現在研究が進んでいる治療薬で、エダラボン(ラジカット)の経口懸濁剤についても日本の製薬会社が国際学会で発表されたようです。

現在ALSの治療薬と言えば、リルゾールとエダラボン(静注)の2種類ですが、静注は患者への負担も大きいものでした。
そこで嚥下機能の低下しているALS患者でも服用が少しでも可能となるように、経口懸濁剤での開発が進められたようです。

第1相臨床試験の結果について発表され、静注と同様の効果を認めることが出来たという報告がされていました。
今後は第2・3相臨床試験と進んでいくと思われるので、もう少し時間はかかってしまうと思いますが…。

IPS細胞をはじめ、多くの革新的な研究が進められ、難病と言われる病気に対する新しい治療がたくさん出始めています。
患者さんにとってはむず痒い日々が続くのはないかと思いますが、一刻も早く治すことできるよう、我々もできることがあれば微力ながら努力をしたいと思います。

C5(PT)


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