東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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増加する腰痛 ~腰痛予防のコツ~【一般の方向け】

2016年11月17日 | 臨床雑記
1. 進撃の腰痛
デスクワークが増えてきた現代社会では、椅子に座って行う作業が大きな割合を占めてきています。
座りっきりの作業では、どうしても直立していた姿勢が崩れてきてしまう傾向になります。
このようなパソコンの前でよくみられる「いわゆる丸まった姿勢」は、腰に負担がかかると言われています。
そして、丸まった姿勢で腰にかかる負担は、実は立っているときの何倍も大きいのです!!

これでは現代社会の中で、腰痛持ちの方々が多いのも納得してしまいます。
なんと、厚生労働省では、2013年6月に「職場における腰痛予防対策指針」を19年ぶりに改訂しています(1)。
この改訂が行われた背景には、平成23年に4日以上の休業が必要であった疾病の中に「腰痛」が6割を占めたことがあります(1)。


2. 腰痛を揺るがす黒幕
そもそも「腰痛」とは、どういったものなのでしょうか。
厚生労働省では、「疾患の名前ではなく、腰部を主とした痛みやはりなどの不快感といった症状の総称」と定義しています(2)。
この腰痛は、特異的腰痛と非特異的腰痛に分けられます。
特異的腰痛は、医師が原因の特定をできるものです。
非特異的腰痛は、医師が原因の特定をできないものです。
また、腰痛の治療法は原因によって異なり、原因を特定できなければさらに治療に難渋することになります。
そこでここでは見方を変えて、腰痛に影響を及ぼす要因について紹介します。

厚生労働省では、腰痛の要因を動作要因、環境要因、個人要因の3つを挙げています(図)(2)。
この3つの要因が相互に作用することで、腰痛に影響を与えるとしています(2)。
それぞれの要因に含まれる構成要素を下の表にまとめました。
これらに加え、近年で過度なストレスなどによって生じる心理的要因も注目されてきているようです(2)。

図.腰痛の要因:これらの要因が相互に関与する。厚生労働省ホームページ:腰痛対策(2)より作成

表.腰痛の要因に関与する構成要素:日頃、関わりのある構成要素を変えていくことが腰痛予防に繋がると考える(2を参考に一部修正)。


3. 腰痛が起きてからでは後のまつり
実は、腰痛は起きてから治すために病院へ通うよりも、予防することが最も重要なのです。
さきほどの表の構成要素が起因となる可能性がある腰痛を予防するためにはどうすれば良いのか。
これは、筆者の個人的な意見ですが、「自分を追い込まないこと」ではないかと考えます。
例えば、「寒ければ、暖かくする」、「過剰な身体的ストレスがかからないように、道具を使う」、「床や階段で足を引っかけないように、物を地面に置かない」など、対策は色々と練ることができます。
きっと、そういった対策の積み重ねが「腰痛予防」に繋がるのではないでしょうか。


なお、当院のリハビリテーション科では、1年に1回職員向けに腰痛予防教室を行っています。
これは、主に上記の動作要因に対しての勉強会です。
腰痛に関しての基礎知識、腰痛の車椅子への乗り移りでの介助方法や注意点など、情報共有と職員の健康を守るため、楽しい学びの場を開催しています。
その中で生まれる各職員間でのコミュニケーションもお互いの業務を理解し合うためには、欠かせない機会となっています。

【参考文献】
1. 厚生労働省ホームページ 職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会報告書.http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4-att/2r98520000034mu2_1.pdf(2016年11月13日引用)
2. 厚生労働省ホームページ 腰痛対策.http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4-att/2r9 8520000034mu2_1.pdf(2016年11月13日引用)

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