東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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ボツリヌス毒素療法について

2021年01月25日 | 紹介
ボツリヌス毒素療法について

運動麻痺が生じてしまった場合、少しでも機能が回復するように、残存機能を用いて少しでも豊かに生活できるようにしていくことが、我々リハビリテーション科の役割です。しかし、脳卒中、脊髄損傷、頭部外傷、低酸素脳症など、中枢神経が障害される疾患で運動麻痺が生じた場合、痙縮(筋緊張増加、深部腱反射亢進、クローヌス…)と呼ばれる症状がリハビリの阻害因子となる場合があります。痙縮治療には薬物療法、手術療法、装具療法、物理療法など多面的なアプローチが存在しますが、その中の一つがボツリヌス毒素療法であり、脳卒中ガイドラインでも強く推奨されています。ボツリヌス毒素はあくまでも注入された筋肉の収縮を抑制する薬剤であり、「麻痺が良くなる魔法の薬」ではありません。しかし、痙縮を改善させることで、残存機能が活用しやすくなる、ADL(歩行や更衣など)が実施しやすくなる、疼痛が改善する、などの効果が得られるケースがあります。ただし、ボツリヌス毒素の効果は投与後数日で発現し、投与後4ヶ月前後で消失してしまいます。そのため、効果発現中にリハビリを並行して実施することが重要とされています。当科では「入院→評価→ボツリヌス毒素を投与する筋を選定→標的筋にボツリヌス毒素を注射→2-3週間程度の入院リハビリ」というリハビリがセットになった治療を行っております。入院期間中、必要に応じて装具の調整やホームプログラムの作成・見直しなども実施しております。「麻痺のある手(足)が、固くて困っている」、「ボツリヌス毒素療法に興味がある」という方は、ぜひ当科外来へお越し下さい。診察の上、治療適応を検討させて頂きます。




図1 ボツリヌス毒素を下肢の筋肉へ注射する様子


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