医療や介護において、患者さんがベッドの上でどのような姿勢で過ごすかというのは、
非常に重要なことです。痰を出すこと、褥瘡(床ずれ)の予防、拘縮(関節が硬くなること)の予防、
さまざまな意味があります。
そういった良い姿勢を検討し、実際にその姿勢にしてあげることを「ポジショニング」といいます。
「ポジショニング」は患者さんの関節可動域(体の柔らかさ)、呼吸状態などから微調整が必要なため、
一人一人に合ったオーダーメイドの作業となります。
今回はその「ポジショニング」を検討し、介助者への情報共有までを含めた取り組みをご紹介します。
まずは目的に応じた、良い姿勢を検討します。その上で大切な点は3つ!
①安全性
②安楽性(苦痛が少ないこと)
③有効性(目的を果たすこと)です。
※写真は一部を加工し、患者さんのご了承を得た上で掲載しています。
この写真の患者さんは自力で寝返りなどの身動きが取れません。また、ご病気により
声を出すことが難しく、文字盤や顔の表情でコミュニケーションをとります。
入院中に痰が出しにくかったため、痰を出しやすい姿勢をご家族にお伝えすることとなりました。
スムーズに、また細かなところまで意思を伝えられないこの患者さんにとって、写真付きのポスター
を作ることは非常に有効であり、ベッド周りに貼ることで介助者も実践しやすくなります。
まずはリハビリの際に、様々な姿勢をとって頂き、安全・安楽であり(具体的には褥瘡、痛み、
呼吸困難等を引き起こさないこと)、目的を果たす有効な姿勢(今回は痰が出しやすいこと)が
どの姿勢なのかを検証しました。できれば一度だけではなく、何度か検証することが大切です。
その姿勢の写真を取り、ポスターを作成します。ポスターは見やすくわかりやすいことが大切です。
文字を大きくし、重要な点を少なめに記します(ごちゃごちゃしないように)。
その後は介助者の方へポスターを見せながら、実演して伝達します。さらに実践していただき、
介助のポイントも説明します。痛みや呼吸困難等のトラブルが起こった場合の対応についても説明します。
伝達後も本当にその姿勢が有効であったかを検証し、適宜修正していきます。
月日が経つと患者様の身体の状態も変化するため、検証した日付も書くようにしています
(数ヶ月後、数年後まで、この姿勢が有効とは限りません)。
当院には寝たきりで身動きがなかなか取れない慢性疾患の患者さんが多く入院されており、
ご紹介した「ポジショニング」は多く活用されています。
更に慢性疾患に限らず、急性期や回復期の患者様でも症状悪化を防ぎ、回復を促進する意味合いがあります。
すべての患者さんが、ベッドで安全・安楽に過ごせるように、日々頑張っていきます!
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当院および当科の総意でもありません.引用や臨床実践等は各自の判断と責任において
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