こんにちは、東埼玉病院のリハビリテーション科の作業療法士(以下OT)です。
日頃、患者様のリハビリを行う上で日常生活動作(ADL)と手段的日常生活動作(IADL)の介入
を主に意識して取り組んでおります。
ADLは「基本的な動作」のことで着替えやトイレ動作、歩くことなど最低限の日常生活が
ご自身の力でどの程度行えるかを示します。
IADLは「応用的な動作」のことで調理、買い物や屋外での生活を示します。
私は回復期に勤めているため、自宅に戻られる方が多くいらっしゃいます。その中で患者様から、
「トイレを一人で行けるようになりたい」「退院後も家事を行いたい」といった要望が多く聞かれます。
OTとしては、実際に患者様の自宅に伺い動作訓練を実施し、福祉用具の検討や手すり設置位置を決定
する事もあります。
IADL動作の訓練では、ADL室にある洗濯機や電子レンジ、冷蔵庫、物干し竿を実際に使用して動作訓練
を行います。動作としてだけではなく、判断や意思決定がしっかり行えているかも訓練の中で大事な
ポイントとなります。
上の写真は当院のリハビリ科キッチンスペースですが、今回は先日行った調理訓練について
紹介したいと思います。
患者様は脳卒中で片麻痺を呈した女性で、主婦として家事を行っていた方でした。
事前に患者様によく作る料理のメニューを聴取し、「ポテトサラダ」と「お味噌汁」を作りました。
調理訓練を行う上での確認事項として、
① 火の取り扱いや刃物の取り扱いが安全かどうか。
② 調理手順に計画性があるか。(効率の良い調理手順を踏めているか。)
③ 作業中は立っている姿勢を保てるか。血圧・脈拍の異常がないか。
以上の3項目に注意しながら訓練を行いました。
調理後は、作った料理を患者様とOTが試食をして、煮込み時間が丁度よいか、味が濃すぎないかを
確認します。食器洗いなどの後片付けも患者様に行って頂き終了となります。
上の写真は調理の際に使用した片麻痺の方が包丁を使いやすくするための自助具(ワンハンド調理台)
と使用例の写真ですが、釘の部分に野菜を刺して固定するので片手で野菜などを切ることができます。
他にもボウルを固定できるような機能が備わっている物もあります。患者様の残存している機能状態に
合わせて慎重に自助具を選定します。
以上のようにADL・IADL動作を病院内で模擬的に行うことで、怪我や転倒のリスクを評価し、環境調整
や訓練を重ねることで安心した生活を送っていただけるお手伝いをさせて頂いております。
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本ブログの掲載記事は,個人的な見解を含んでおり正確性を保証するものではなく,
当院および当科の総意でもありません.引用や臨床実践等は各自の判断と責任において
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