家電の無料回収所を開設し、使用済み家電製品を無許可で回収したとして、岐阜県警生活環境課などは11日、廃棄物処理法違反容疑で、無料回収所「ファイブエス」経営者の小林泰誌容疑者(27)=岐阜市寺田=ら2人を逮捕した。同課によると、無料回収所の摘発は全国初。小林容疑者は「違法とは知らなかった」と容疑を否認している。
逮捕容疑は昨年11月中旬~今年1月上旬、岐阜市西中島の無料回収所で、市長の許可を受けずに、家庭で使用されたテレビや洗濯機などを回収した疑い。
同課によると、小林容疑者らは回収した家電を重機で壊し、岐阜県内の金属業者や岡山、愛知両県の輸出業者に破砕くずを売却。業者は中国などに輸出していたという。
大津市で市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、遺族が市やいじめの加害者とされる同級生3人らに約7720万円の損害賠償を求めた訴訟の第6回口頭弁論が9日、大津地裁(長谷部幸弥裁判長)で開かれた。被告の市側は第三者調査委員会がまとめた報告書に基づき、遺族側が主張した「いじめ行為」の大半が事実と認めたうえで、改めて和解を求めた。遺族側は現段階では応じない姿勢を示した。次回期日は6月25日。
市側は前回口頭弁論で、自殺といじめとの因果関係や市の過失を認めた。今回は「トイレでの暴行」など具体的行為について「いじめ行為」と認めたが、調査委が事実と確認できなかった万引きの強要などについては「詳細が判然としない」などと認否を避けた。
これに対し、遺族側は、市側が認否を避けたケースも報告書の内容から実際にあったことが強く推認されると主張。「市側が、(これらの行為の)認否を保留している限り、和解の検討に入ることはできない」とした。
閉廷後、男子生徒の父親(47)は「市が損害賠償(の責任)を認めたことは一定の評価に値するが、和解の具体的内容が分からず、応じるかどうかはまったくの白紙」と代理人を通じてコメントした。
一方、市側は、加害者とされる同級生3人の代理人の求めに応じ、裁判所に提出している報告書などの黒塗り部分を一部開示することを明らかにした。
大津市立中学2年の男子生徒の自殺問題を受け、県警と市内の中学校との連携強化を目指す「学校におけるいじめ問題等への連携・協力会議」が10日発足し、大津署で初会合が開かれた。市内の全公立中学の校長らのほか、越直美市長、県警少年課少年健全育成室の担当者ら約40人が出席した。
県警は学校問題を専門的に扱う部署として同室を3月末に発足させ、県内を7地域に分けて学校と連携を深める方針。今回は大津地域の協力体制を築くのが目的で、同市のいじめ対策推進室など今春新たに設置された部署の紹介があった。会合は非公開だったが、中学校長から学校で困っていることや、警察との連携でうまく解決できた事案などが報告されたという。
越市長は、学校が警察への相談に消極的だったと指摘し、「なるべく早い段階で連携し、いじめや非行を解決してほしい」と述べた。少年健全育成室の時田保徳室長は「他の地域でも協力を進めたい。学校とお互いに腹を割って話せるようになれば」と話した。
■原告代理人「現状での和解困難」
大津市立中2年の男子生徒の自殺をめぐる損害賠償請求訴訟の第6回口頭弁論で、市側は9日、昨年5月の第1回口頭弁論を最後に控えてきた、原告遺族側の具体的な主張に対する認否を行った。いじめ行為などその主張をほぼ認めた上、法廷で市側代理人が「市の過失と損害賠償責任を認める」と発言。「市に過失責任はない」とした約10カ月前の答弁書と百八十度異なる準備書面も提出され、市が遺族側と主張の歩調をほぼ同じくした形となった。
大津地裁で開かれたこの日の弁論では、遺族側がこれまで主張してきたいじめ行為や教諭らの過失などについて、裁判所が一覧表に整理することを決定。今後、整理された個々のケースに対して、いじめたとされる同級生側3人が認否を明らかにする見通しで、これまで詳細に踏み込まれていなかった同級生側の主張に注目が集まりそうだ。
遺族側代理人は閉廷後、大津市内で会見を開き、市側が遺族の主張の一部について認否を留保し、同級生側がほとんど認否を明らかにしていない状況に触れ、「現状で和解の検討に入るのは困難だ」と改めて和解に慎重な姿勢を示した。遺族の父親も「和解と別に、因果関係や予見可能性について引き続き主張したい」とコメントした。
一方、越直美市長は「市の第三者調査委員会の報告書に基づき、全ての主張に対する認否を行った。具体的な条項を示すには議会の承認がいるが、遺族側との和解を進めたい」との談話を発表した。