旅のウンチク

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旅を楽しむための心構え-基礎編

2019年06月25日 | 旅行一般
 旅する事は日常生活とは異なる場所に身を置く事、そして日常生活で頼りにしている人とのつながりのない場所で一定の時間を過ごす事になります。それが一番の魅力なわけですが、上手く頭を切り替えないと旅先で過ごす時間がただただ苦痛な時間となって帰国した暁には”二度と旅行になんていかない”という結論に至る事になりかねません。

 実際のところ、”自分は旅に向いていない”という人と出会ったことはたくさんありますし、”何が面白いのかわからない”という人もたくさん目にしています。身近な例で考えると私の父親も”旅嫌い”な一人。それなりに旅行はしていましたが、日常を愛するあまり、非日常はあまり好きにはなれないようで、旅どころか外食すらもあまり楽しむことができないようです。

 さて、非日常の世界に身を置くにあたり、最初に要求されることは”順応”だと思います。これは異国に身を置く場合に限らず、アウトドアでの生活や、場合によっては引っ越ししてすぐの生活にも当てはまると思います。海外は宗教や文化の違いがあるのでより顕著になります。あるいは、上手く順応できないけれど旅行には出かける人の特徴はやたらと荷物が多い事。旅先でも日常を維持するために多量の物資を持ち込んで対処しようとするためです。

 日常、自分のライフスタイルを主張したがる最近の雰囲気が更にこの順応性の低さに輪をかけます。

 たとえば、”毎日米を食べたい”とか”毎日お風呂にゆっくりつからないと過ごせない”とか、そういう個性の主張ってホントに必要で、ホントに日々守っているでしょうか?。インフルエンザにかかって40℃近く熱が出ても欠かさず入浴しているとかではないと思うのです、だから自分の欠かせない習慣なんて大抵の場合幻想。旅先で過ごす決まった期間、その習慣をかなぐり捨てても特に人生に大きな打撃は残さないと思います。

 そして、この、”一定期間、自分のライフスタイルを引っ込めてみる”事を意識してみるのが旅をするうえでの最低条件となります。

 そう、この段階では旅を楽しむための心構えではなくて、旅を生き残るための基礎的条件となります。

 人が住まないアウトドアで過ごす場合よりも旅先での順応は気持ちさえ切り替えれば容易です。アウトドアでは失敗すると生き残れませんが、旅先ではそこで生きている人たちを見習えば命まで落とす事はありません。大抵の国で数千年から数百年人は生きてきていてその知恵が蓄積されているのです。その知恵に敬意を払う事がスタートライン。自国の文化や自分の日々の習慣を持ち込んで訪問先の生き方を判定したりするのをまずはやめましょう。

 たとえば列車が時間通り来なくても、それはその国の事情。それを受け入れてタイトなスケジュールを組んだ自分を反省すべきであって列車がほぼ時間通りに来る自分の国を誇ったり、こなかった国を非難したりするのはお門違い。順応して明日からの予定を調整するのが旅先でのまともな過ごし方です。

 訪問先の事情を非難したり、判定したりすることをやめて、その事情に合わせた過ごし方するのが旅人流。自分を相手に合わせる事を常に考えるようにするのが旅への第一歩なのです。これに成功すれば、あなたの荷物は劇的に減る事でしょうし、旅先で不快に感じた事の多くは自分のわがままだった事に気づくことができると思います。

 旅先で過ごす時間なんて大抵の人にとってはたいして長い時間ではないはずです。その短い期間くらい、自分のライフスタイルに対する主張なんて小さい事は引っ込めて新しいライフスタイルの体験だと割り切って過ごしてみてはいかがでしょうか。

 


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