旅のウンチク

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地図で遊ぼう:東京トレッキングのコース作り

2010年05月12日 | 旅行一般
 地図の話題を続けてきたところで、5月29日の第7回東京トレッキングの準備を進める時期がやってきました。ちょうど良いので計画段階で地図をどう使うかの一つの例をご紹介してみましょう。

東京トレッキングでは最終的に皆さんの手に渡るルートブックはラリー用のコマ地図ですが、コマ地図は実際に歩いて作成しています。その前に、どこをどう歩いてコマ図に仕上げていくかを計画する必要があります。全体を10km前後に仕上げているので、”実際に歩いてみたらダメだったのでやり直し”というのは不可能ではありませんが、大きく時間を浪費します。私が関わる旅行プランの中ではダントツで緻密に計画を行っています。その舞台裏を少し紹介してみようというわけです。

コース作りに悩んでいる私を見て、私の周囲の何人かの人間は”まだまだいくらでもコース作れる”と心強い助言をくれたので、”それじゃ作ってみて”と頼りにしていたのですが、未だにコースは届けられていません。私も少し安直にコースを作ろうと考えた事があって、”東京散歩ガイドブック”の類の本を書店で何冊も手にとってみましたが、いずれも東京トレッキングにはコースが短すぎるという点と、どちらかというと道中のお店の紹介に多くが割かれていて、そのエリアのいわれや歴史にあまり深入りしていないという点で、使える物を見つけることができませんでした。もしかすると、一般的な”東京散歩”と東京トレッキングにはこのあたりに違いがあるのかもしれません。

少し話が逸れましたが、そのような事情により、ガイドブックは参考にすることがあってもコースは独自に作るしかありません。

まず最初にどのエリアを舞台とするかを考えます。この時点では地図は必要ありません。ニュースの1場面に登場して興味を引かれた場所や、小説の場面に登場した所、あるいは何かの時に通りかかって気になっている場所などについて、インターネットなどで少し掘り下げます。そこが東京トレッキングの舞台に適していると思えたら、そのエリアをカバーする地図を取り出します。

大抵の場合、一番原点となった場所には傾向があります。参加したことがある人はご存知の通り、例えば東京の自然を感じる場所であったり、歴史を感じる場所、江戸っぽい場所など。それが決まるとコースの傾向が決まります。自然をテーマにするのなら周辺で自然を感じそうな場所をガイドブックなどから選んでどんどん地図に書き込んでいきます。この時点ではルートを線で結ぶことはしません。ただ、丸を書き入れていくだけです。

どんどん丸を書き入れていくと、何となく大まかなルートができてきます。目を細めてみると、丸印がつながって、1つのルートが見えてきます。ルートが見えてこない場合は、丸印の数が不足していますので、もっとそのエリアについて調べて丸印を増やします。丸印をつなぐ流れが見えたら、出発地点とゴール地点の最寄り駅なども考えながら全体の距離を計測して、狙った距離になるように微調整していきます。

上手く丸印を結べるルートというのは数通りしか思い浮かばないので、このあたりでコースがほぼ確定してくる事になります。

ここまでの作業を繰り返していくと、下の写真のような地図が出来上がります。今回の地図を掲載するとネタバレになってしまうので、第4回の準備に使った地図を引っ張り出してみました。(クリックで拡大)


下見で実際に歩いてみる前に、地図の世界の中ですでにここまで詳細にルートを決める事が可能です。地図上で複数の選択肢を決めかねた場合に、実際に現場を見て絞り込むという作業を残している場合は下見まで未確定な区間を残しますが、大きく変更する必要が生じることはまずありません。むしろ、下見では、ほとんど機械的に地図で決めたルートについて、方位を計測したり、ラリー用コマ図に書き起こす作業だけです。

このような作業を今回も行って、第7回のルートについては下見はまだこれからですが、地図上ではかなり満足出来るルートが出来上がっています。
第7回東京トレッキングは、申し込み締め切りは5月22日です。今回は新しい趣向を織り込んだ企画。過去の参加経験者にも楽しんでいただけると思いますので、皆さんもどんどんお申込みください。


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