旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

連載 1 私の海外ツーリング

2005年03月29日 | 海外ツーリング
~少し時代をさかのぼって私自身の海外ツーリングの話をしてみましょう~

【プロローグ:今だから明かせる旅の動機】

 20歳の時に体験したタイへの一人旅は極端に頑固で暴力的な父親とやはり暴力的な母親の監視下で”学歴過保護”に育った私にとって非常に衝撃的な体験でした。

 当時は今ほど観光地化が進んでいなかったタイへ渡航した動機は、それまでに貯めたアルバイト料でたどり着ける行き先であったことだけ。特に深い考えもなく行き先を決めた私は当然、ガイドブックを頼りにウロウロするだけで、何がなんだかわからないままに滞在日数2週間が過ぎ去っていったのでした。ただ、そこで出会った沢山の旅行者がひたすらに逞しく見え、うらやましく感じたものでした。

 帰国便がドンムアン空港を離陸する時に、なんとなく頭に浮かんだアイデアは、”次はバイクで”という漠然としたイメージでした。その理由をカッコよく表明したいところですが、実のところ、ちょっとした自己顕示欲の屈折した表現方法だったのだと思います。

 つまり、”バイクで海外走ったとか言ったら女性にモテるかも”とか、”尊敬されるかも”とか、”就職活動の時に面接で有利かも”とか、そういう妄想が99%以上を占めていたということです。

 しかしながら、若いときの”モテたい”という一念はまことに凄まじいエネルギーを伴っているものであって、私は海外ツーリングについて強烈なエネルギーを持って調べ始めたわけです。

 動機がそういった事だったので行き先なんてどうでもよかったのが現実。行き先を決めるのもやはりモテたい一心ですから、”やっぱり国境を越えた方がモテるだろう”とか、”ちょっと危なっぽいところのほうがモテるかな”と行き先を絞っていきます。でも”ホントに危ないところはいやだな”という軟弱なところもあるのです。国境を越えないからオーストラリアは除外、北南米はホントに危なそうだから除外。ヨーロッパは冒険っぽくないから除外、アフリカ・・本気で危なそうだから除外と消去法でパキスタン-ヨーロッパを走ることに決定。まことに不純な動機、まことに不純な計画であります。

 渡航先がパキスタンと決まったら、これに向けての準備です。まず、オーストラリアやヨーロッパと違ってバイクの現地調達はほぼ不可能。そうなると日本から輸送するしかありません。

 日本からの車両の輸送について調べ、関税について調べ、そして万が一故障したときのためにバイクショップに弟子入り。このあたりは

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