旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

人は見た目

2007年11月15日 | 旅行一般
ある時、イスラム教国の人々について知人が"あの人たちは、宗旨か何か、皆ヒゲヅラで、どうしても悪人に見える。だから世間の悪者扱いされても仕方がない"と話すのを聞いた事があります。そういえば内容は知りませんが、"人は見た目が9割"という本も出版されています。

実際、初対面の人間に対する印象というのは見た目が強烈な印象として残る事が多く、だから人と合う時はある程度は見た目を気にした方が良いのは間違いありません。それが現実的な側面です。見た目を気にしないのであれば、逆にわざわざ反感を買うような見た目をする必要もないでしょう。

一方で、昔から"人は見た目によらぬもの"とか、とにかく人を見た目で判断してはいけないという考え方があります。この事を理性では理解していながら、現実にはけっこう見た目に判断が影響されてしまうのが人間の弱さというものでありましょうか。

初対面の人間を判断する時には、実際には見た目で判断していながら、時々、"イヤ、見た目で人を判断してはいけない"と軌道修正し、それでも結局、見た目に引きずられてしまう。そういう現実を捉えて、結局、人は見た目で判断される。だから見た目に気をつかわない人間は誤解されても仕方がない。という理論を展開するのはいかがなものかと思います。前に挙げた例で言えば、イスラム教国の人はヒゲを延ばしているから悪者扱いされても仕方がないという意見は、自分が見た目でしか物事を判断できない事を棚に上げた、いかにも幼ない意見であると言えます。

この話に限らず、人間の現実的な面を捉えて、それに反する理想主義的な考え方を否定するような主張が最近増えてきているように感じます。そういう意見というのは誰もが恥じて言なかった事を言ってのけたに過ぎないように思えますが、逆に誰もが感じているからこそ妙な共感を得て、"売れる"意見になるのでしょうね。

人間は、理想と現実の間で右往左往してもがきながら、それでも少しずつ理想に近づいていく存在だと思いたいですね。



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