旅のウンチク

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裏口を開けておくテクニック

2007年05月12日 | 旅行一般
数日前に玄関と裏口について書いたわけですが、本日は裏口を開けておくためのアイデアについて。

そんな事をしなくても"君子危きに近寄らず"を貫いておけばある程度は危険を回避できるわけですし、あまり体験主義的な立場をとると、訳知り顔で"自己責任"と言われて見捨てられる全体主義的な世の中であるようなので、ほどほどなバランス感覚が必要ではありますが、それでも、火山を遠くから眺めているだけで満足の観光客ではなく、噴火口を覗き込んでその熱やニオイを感じてみなければ気がすまない"旅人"がまだまだ存在していてほしいと思います。そこで私が過去にかなり真剣に考えたシステムをご紹介しましょう。これをベースに自分なりに調整を加えて、実験してみてください。

ここでは自分に他人が話しかけてきた時の事を想定しています。

まず、第一に、どんなに怪し気な服装をしていても、基本的に相手は善人で信用できると分類します。最初に入るのは"善人ボックス"。この他のボックスは"以下ボックス"、"悪人ボックス"の2つがあります。以下ボックスは善人、悪人の区別をする必要がない人が入ります。

まずは善人ボックスから以下ボックスへ移される人々について。

相手の職業がわかっている場合は以下ボックス。例えばサムロー(輪タク)のドライバーであれば、自分が今、乗り物を必要としているかどうかを考えて、必要なければ断ります。必要な場合は目的地までの料金が自分と相手の合意に至るかどうかを試してみます。このあたりは事務的な作業に近いですね。裏口、玄関を考える必要はありません

問題は何だかわからないけれど話しかけて来る人物。旅しているとこういう人との出会いは意外と多いのです。

この場合、以下ボックス行きは単純に"異性"です。人によっては海外での一時のアバンチュールを想像するかもしれませんが、断言しましょう。"私ならともかく、あなたがそんなにモテるわけありません。"だから、この人たちには玄関を開けなくて良いので、裏口も不要です。

上記2つのフィルターでまだ未分類の善人ボックスの人。この人たちに対応するのが裏口。これは相手に合わせて用意するしかありません。

これに備える事前準備が2つほどあります。

*貴重品を持たない。
貴重品は肌身離さずとよく言われますし、私も言いますが、持っていないのが一番です。パスポートなどは、できれば信頼できる所に預けておきます。先日この話をしていたら、"両替する時"という話が出ましたが、両替のついでに冒険はしてはいけません。両替したら一度宿泊先へ戻るなどして両替したお金とパスポートを両方預けてしまえば良いのです。お金はその日使う分だけを持って、更に2つに分けます。私の場合はシャツの胸ポケットに1食分。それ意外はズボンのポケットに入れていて、お金は必ずシャツのポケットからだけ支払うようにしていました。使い切ったら他の人が見ていない所でズボンのポケットからシャツのポケットに再び少額を移動させる手法です。

*走れる格好で。
ガイドブックなどに暑い国ではビーチサンダルでという話が時々出てきますが、私はサンダルでは歩いてもビーチサンダルでは歩かないようにしていました。必ず踵に回るベルトのあるサンダルを選んでおりました。スニーカーなどならなお良いでしょう。女性の場合はスカートはよろしくないかと思います。それから、カバンも持たないのが一番良いですね。

これらの準備ができていたら、善人ボックスの人への対応は簡単。当面、全員善人です。

かなりの人数が善人ボックスに残ると思います。この人たちの中から私の経験では20%弱の人が最終的に悪人ボックスへ移動します。驚くべき事に80%は善人ボックスのままなのです。だから玄関を閉ざすのはもったいないでしょう?

さて、それではこういう善人に対して用意する裏口はというと、

"案内してあげるよ"などと言われたら、"今日はお金を持ってないからガイド料は払えないよ"とはっきり言っておきましょう。私はこの時、ポケットからお金を実際に出して見せて"ホラ、今は食事するお金しか持って出てないんだよ"(もちろん、別のポケットにもう少しお金を持っているんですが)というパフォーマンスも使いまひた。お金を持っていない強みを最大限発揮します。

"イイ所を知ってるんだよ"とか言って、歩き始めると、だんだん仲間が増えてくるパターンの場合。これは要注意善人です。増えていく人間を全員何気なく自分より前に立たせて歩かせてみます。悪人ボックス行きとなる人々の場合、必ずメンバーの誰かが自分よりも後ろを歩こうとします。つまり囲んだ形で歩く事になる場合は赤信号。人通りが多いうちに"あっ、用事を思い出した"とか、"喉がかわいたから飲み物を買ってくる"とか、その場を上手く言い逃れて、同行を中止します。

連れて行かれた店などが2階や地下の場合は入らないのはだいぶ前に書きました。ただ、E&Gも5階なので一概に言えないのですが、窓から逃げたりできなくなるのは事実なので、裏口を失う事になります。"この店はあまり好きじゃないなぁ。別の所に連れていってよ"等、適当に言い逃れしてみる方が無難。

だいたいそんな所に注意すれば良いと思うのですが、このやり方を完成させるために意識する必要がある重要な事が残されています。それは自分が善人に徹する事で相手を善人ボックスから出れなくする事です。

考えてみてください。上の例のようによくわからない人物が案内を買って出てくれたりした場合、"やった、無料でガイドを手に入れた"と考える自分は善人ボックスに入れないでしょう?だから、途中で"何か冷たい物でも買ってこようか"とか、時々気をつかってあげてください。自分から飲み物を奢ってあげればその人は善人ボックスに置いておけますが、"飲み物くらい奢ってよ"と相手に言わせたら悪人ボックスへ移動させなくてはならなくなります。

相手だって人間です。悪意を持って近寄って来たとしても"こんなに良い奴の事をカモにできない"と思わせればこちらの勝ち。この人物が本当に悪い奴であった場合は回りの悪い奴から守ってくれる結果となります。逆に善意で声を掛けてくれた人に対して自分がちゃんと接する事ができなければ、その人は"何だコイツは"と思うでしょうし、そうなったらこちらから見て相手は悪人に見えてきます。そのあたりをマジメに考えながら人と接する事を心掛けていれば、噴火口を覗き込む所まで行けるかもしれません。ただしあくまで"自己責任"でお願いします。

どんな目遭うかが不安な人は観光客に徹するのがよろしいかと。


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