オーストラリアを初めて訪れたのは社会人になってからのことでした。
当時働いていた会社が”研修”という名目で与えてくれた休暇で、行き先も会社の指定。航空券代も会社負担というとても理解のある会社だったのですが、給与面ではそれほど優遇されているわけではなく、なけなしのお金でどうやって現地で過ごしてくるかが一番の”研修”となるのが悩みどころでした。
長距離バスを使い、バックパッカーズに泊まって旅する事などを検討した挙句、レンタカーを使ってバックカントリーを旅する事に。シドニー往復になっていた手配を、会社にお願いして帰りはブリスベン発にしてもらい、シドニーからブリスベンまでレンタカーで旅することにしたのでした。
社員が海外を旅する事を奨励してくれていた会社だったので、研修旅行期間は驚きの14日間。私の立てた計画は前半1週間はシドニー滞在とブリスベンまでのドライブ。後半はブリスベンを起点として車なしの旅というパターンでした。
”研修”という名目が付いているので、一応現地に到着すると現地オフィスへ顔を出しますし、場合によっては仕事があるのですが、この時は挨拶程度。数日をシドニーで過ごしたあと、いよいよ最初のドライブ目的地、ブルーマウンテン国立公園へ向かったのでした。
シドニーをゆっくり出た私は途中、雨での視界不良に悩まされながら、バイクとは違ってあまり運転に自信のない四輪車を懸命に走らせるのですが、なかなか距離が稼げません。カトゥーンバに立ち寄ってケーブルカーに乗ったり、ロープウェイに乗ったりして更に時間を使い、モーテルに入ることにしたのでバザーストで1泊することにしました。
ハイウェイ沿いにあるモーテルに無事部屋を確保。とにかく贅沢に空間を使ったモーテルで、何故か部屋はシングルベッド1つにキングサイズベッドが1つ。小さいキッチンもついています。部屋を確認したあと、フロントで手続きを終えた私にフロントのスタッフがキーと一緒に小さいピッチャーを手渡しました。
昔、喫茶店などでミルクが入ってきたような金属製のフタ付きピッチャーです。蓋を開けてみると中にはまさに”ミルク”が入っています。
もしかすると、オーストラリアの内陸部では、”ウエルカムミルク”みたいな習慣があるのか?
出されたら目の前で一気飲みが礼儀?
あるいは、もしこれを飲むと高額の請求書がつきつけられるのでは?
などなど、様々な妄想が渦巻きながらも、なんとかフロントのスタッフには笑顔を取り繕って落ち着いた素振りで”サンキュー”と言って部屋へ向かいました。
どうやら”目の前で一気飲みが礼儀”ではなかったようです。
”聞けば済む話”ではあるのですが、あまりにも当然の事のように手渡されると”このミルクは何に使うの?”とか”このミルク幾らですか?”などと尋ねるのはなんだかアホっぽいではないですか。
部屋に入って関連を思いついたのは”コーヒーメーカー”。どうやらコーヒーのお供ということのようです。
とはいえ、ホテルのミニバーみたいに”手をつけたら高額の請求が来る”可能性は否定しきれません。
コーヒーメーカーでコーヒーを入れながら悶々と悩み続けます。
幸い、私は普段、コーヒーにミルクを入れる習慣がありません。ひとまず冷蔵庫に入れておくことにしました。冷蔵庫を開けてみると、中は空。ミルクピッチャーの独壇場です。
翌朝、紅茶を入れながらいよいよ決断を迫られます。コーヒーとは違い、私は紅茶にはほとんど必ずミルクと砂糖を入れる習慣があります。悩みに悩んだ挙句、ミルクを入れて紅茶を飲んで、ミルクピッチャーは洗って流しに置いてチェックアウト。
どうやら高額の請求をされることもありませんでした。ホッ。
翌日以降のモーテルでもチェックインすると必ずミルクを渡されます。紙パック入りの小さいミルクの時もあればミルクピッチャー入りの事もあります。一度だけ、手渡されなかったと思ったら部屋の冷蔵庫にしっかりミルクピッチャーが入っていたのでした。どうやらオーストラリア全土の習慣なのでしょうか。ある地域の習慣なのでしょうか。未だにしっかりした知識は得ることができていません。
それから十数年後、何度もご利用いただいているお客様の一人がオーストラリアをツーリングされるという事で手配を受けました。雑談している中で、ふと思い出したのはこのミルクの事。この話を伝えたところ、この習慣は今も続いている事を帰国後にご報告いただく事ができました。流石に今はミルクピッチャーではなくて全て紙パックになっているそうです。
当時働いていた会社が”研修”という名目で与えてくれた休暇で、行き先も会社の指定。航空券代も会社負担というとても理解のある会社だったのですが、給与面ではそれほど優遇されているわけではなく、なけなしのお金でどうやって現地で過ごしてくるかが一番の”研修”となるのが悩みどころでした。
長距離バスを使い、バックパッカーズに泊まって旅する事などを検討した挙句、レンタカーを使ってバックカントリーを旅する事に。シドニー往復になっていた手配を、会社にお願いして帰りはブリスベン発にしてもらい、シドニーからブリスベンまでレンタカーで旅することにしたのでした。
社員が海外を旅する事を奨励してくれていた会社だったので、研修旅行期間は驚きの14日間。私の立てた計画は前半1週間はシドニー滞在とブリスベンまでのドライブ。後半はブリスベンを起点として車なしの旅というパターンでした。
”研修”という名目が付いているので、一応現地に到着すると現地オフィスへ顔を出しますし、場合によっては仕事があるのですが、この時は挨拶程度。数日をシドニーで過ごしたあと、いよいよ最初のドライブ目的地、ブルーマウンテン国立公園へ向かったのでした。
シドニーをゆっくり出た私は途中、雨での視界不良に悩まされながら、バイクとは違ってあまり運転に自信のない四輪車を懸命に走らせるのですが、なかなか距離が稼げません。カトゥーンバに立ち寄ってケーブルカーに乗ったり、ロープウェイに乗ったりして更に時間を使い、モーテルに入ることにしたのでバザーストで1泊することにしました。
ハイウェイ沿いにあるモーテルに無事部屋を確保。とにかく贅沢に空間を使ったモーテルで、何故か部屋はシングルベッド1つにキングサイズベッドが1つ。小さいキッチンもついています。部屋を確認したあと、フロントで手続きを終えた私にフロントのスタッフがキーと一緒に小さいピッチャーを手渡しました。
昔、喫茶店などでミルクが入ってきたような金属製のフタ付きピッチャーです。蓋を開けてみると中にはまさに”ミルク”が入っています。
もしかすると、オーストラリアの内陸部では、”ウエルカムミルク”みたいな習慣があるのか?
出されたら目の前で一気飲みが礼儀?
あるいは、もしこれを飲むと高額の請求書がつきつけられるのでは?
などなど、様々な妄想が渦巻きながらも、なんとかフロントのスタッフには笑顔を取り繕って落ち着いた素振りで”サンキュー”と言って部屋へ向かいました。
どうやら”目の前で一気飲みが礼儀”ではなかったようです。
”聞けば済む話”ではあるのですが、あまりにも当然の事のように手渡されると”このミルクは何に使うの?”とか”このミルク幾らですか?”などと尋ねるのはなんだかアホっぽいではないですか。
部屋に入って関連を思いついたのは”コーヒーメーカー”。どうやらコーヒーのお供ということのようです。
とはいえ、ホテルのミニバーみたいに”手をつけたら高額の請求が来る”可能性は否定しきれません。
コーヒーメーカーでコーヒーを入れながら悶々と悩み続けます。
幸い、私は普段、コーヒーにミルクを入れる習慣がありません。ひとまず冷蔵庫に入れておくことにしました。冷蔵庫を開けてみると、中は空。ミルクピッチャーの独壇場です。
翌朝、紅茶を入れながらいよいよ決断を迫られます。コーヒーとは違い、私は紅茶にはほとんど必ずミルクと砂糖を入れる習慣があります。悩みに悩んだ挙句、ミルクを入れて紅茶を飲んで、ミルクピッチャーは洗って流しに置いてチェックアウト。
どうやら高額の請求をされることもありませんでした。ホッ。
翌日以降のモーテルでもチェックインすると必ずミルクを渡されます。紙パック入りの小さいミルクの時もあればミルクピッチャー入りの事もあります。一度だけ、手渡されなかったと思ったら部屋の冷蔵庫にしっかりミルクピッチャーが入っていたのでした。どうやらオーストラリア全土の習慣なのでしょうか。ある地域の習慣なのでしょうか。未だにしっかりした知識は得ることができていません。
それから十数年後、何度もご利用いただいているお客様の一人がオーストラリアをツーリングされるという事で手配を受けました。雑談している中で、ふと思い出したのはこのミルクの事。この話を伝えたところ、この習慣は今も続いている事を帰国後にご報告いただく事ができました。流石に今はミルクピッチャーではなくて全て紙パックになっているそうです。
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