旅のウンチク

旅行会社の人間が描く、旅するうえでの役に立つ知識や役に立たない知識など。

信頼すれど、依存せず

2007年12月13日 | 旅行一般
旅先では時としてトラブルに巻き込まれる事があります。いや、何一つ事件の起こらない旅だったら、それはそれで面白くないし、トラブルを恐れて消極的な旅はしたくないものですが、それと同時にどうしても避けたいのはトラブルに巻き込まれる事そのものよりも、トラブルに巻き込まれた結果、その国の人や、その町の人を自分が嫌いになってしまう事です。

ツアーなどの守られた環境でしか旅行をした事のない人は、旅行会社に文句でも言えばよい話でしょうが、自分の責任で旅をしている場合は文句を言う相手もいません。強いて言うなら、その国の人や、その町の人という事になり、その結果、嫌いになってしまう事があります。

自分が信頼してつきあっていた人間から金蔓扱いされている事に気がついた時などは、本当に気が滅入りますし、その町の人皆が悪人に見えてきて嫌いになったりした経験は私にも何度もあります。そんな気分のまま飛び出した町もいくつか思い出されます。

かといって、人をいちいち疑ってかかるのも面倒ですし、それでは自分の行動も制約されます。旅をしている意味も半減してしまうのではないでしょうか。

私の場合、以前ここでも触れたように基本的に人を信用するというスタイルで旅をしてきたので、このあたりは重大な問題であったわけですが、何度かの失敗の結果、一つの結論として考えたのは、

"信用はするけれど、依存はしない"

という方法論です。たとえば、自分にとても親切にしてくれる人物に出会ったとしても、その人物と四六時中一緒に行動する必要はありません。むしろ、四六時中一緒にいてもらうのは相手にとって迷惑な話です。だから自分で判断して行動できるときは、どんどん自分で行動すればよいのです。

自分で判断して行動する事を止めて、相手の親切に依存しっぱなしになれば、相手だって、最初は親切心であったものが、だんだん"手数料"の一つも取りたくなるかもしれません。自分がその人を"嫌な奴"になるようにしむけているかもしれないのです。

どこの国でも困っている自分を助けてくれる親切な人が沢山います。相手に対する自分の無遠慮な依存が、結局、その国の多数派を占める親切な人々への感謝の心を失うようなトラブルへの入り口となってしまっては悲しい事です。

"いろいろあったけど、楽しかったなぁ"と思って旅を終えたいではありませんか。


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