a lady's handは貴婦人のような繊細な手をもつということである。たぶん、単に器用なという意味ではなさそうだ。おおざっぱで雑なという意味ではなく、丁寧で細かな手術操作ということだろう。腹腔鏡下手術では鉗子を通してしか手術操作ができないので、開腹手術よりもおおざっぱな手術操作しかできない人が多い。パワーソースに頼りすぎて他臓器損傷を引き起こす場合もある。しかし、腹腔鏡では拡大して見ることができるので逆に開腹手術よりもはるかに細かい手術操作ができるのだ。
何故、多くの術者にはそれができないのだろうか?何が必要なのか?
たぶん意志だと思う。より安全で美しい手術をしたいという気持ちがあるかどうかが大事だ。はじめは不器用かもしれないがそういう意欲を持って手術を続け、術者を目指すうちにlady's handは身に付いてくるものだと思う。
次に、身体の柔らかさを身につけること。必要以上に硬直した身体ではよい手術はできない。腹腔鏡の場合、なおさらだ。いかに身体をゆるめるかが大事ではないかと思う。腹腔鏡下手術は開腹手術より時間がかかるし難易度もはるかに高いので、ガチガチの身体では緊張が続かないし細かな手術操作ができなくなる。
a lady's handとは繊細なだけではない、強い意志と柔らかさがその繊細さを支えている。