ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

おすすめの本はこちら?ブックス・ラパロスコピスト

大阪だなぁ2

2006-07-30 | 大阪日記
大阪弁でいうなら、大阪やなぁ~、大阪やわぁ~かな?

大阪に来たんだなぁとしみじみ思うとき、

4.うまい焼き肉を食べにいったとき

5.オペ室のBGMが、突然、六甲おろしになったとき(力抜けるわ・・・)

6.喋りはじめた患者さんが止まらなくなったとき・・・(ちゃんと聞いてますよって)
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子宮内膜症患者が腹腔鏡下手術を受ける価値があるのか?その7

2006-07-30 | 子宮内膜症
★若年女性の子宮内膜症
患者さんが若いほど、病巣がアクティブなことが多く、できるだけ病巣を切除しなければ再発しやすい。技術が伴わなければ卵巣チョコレート嚢胞の核出では、卵巣の正常部分を取りすぎたり出血させたりして、卵巣機能不全や不妊の原因になることがある。しかし、深部病変や癒着に関しては繊維化が進んでいないことが多く、意外にも癒着剥離しやすかったり、切除しやすかったりする。

★30代後半より年齢の高い女性の子宮内膜症
月経が始まってから20年以上経過しているので、子宮内膜症自体が年季が入っている。(変な表現?)繊維化が進んでいて癒着を剥離するのが難しいことが多く、骨盤の奥深い組織が引っ張られるように癒着しているので深部病変を完全に切除しようとすると出血が多くなることがある。(骨盤の奥深くにある静脈の近くにまで病変が及んでいる。)しかしながら病巣自体は繊維化が主体で子宮内膜症病変はそれほど多く存在しないことが多く、多少残ったとしても月経痛は治りやすい。閉経まで10数年だから、それまでのことを考えておけばどうにか管理できる。

★手術の戦略は?
子宮内膜症手術の基本的な戦略は、腹腔鏡下で腹腔内を十分に観察し、子宮内膜症病変をできるだけ切除することだ。骨盤痛が主訴になる場合には特にそうしなければならない。しかし不妊が主訴で骨盤痛があまり強くない場合には術後癒着や妊孕性温存のことを考えておくべきだろう。このように病変がどれくらいアクティブか繊維化が進んでいるかで、どれくらいラジカルに手術するかを考えた方がいいのではないかと思っている。
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『気長な性格』

2006-07-29 | 腹腔鏡
ソフトバンクの王監督が胃がんで腹腔鏡下手術を受けた。
執刀したのは、慶応大学消化器外科胃グループの宇山一朗教授(藤田保健衛生大学)だ。

AERA('06.7.31)の記事に宇山先生のコメントが載っている。
「技術的には私が特に優れているとは思いません。もし腹腔鏡下手術に向いているとすれば、それは『気長な性格』です。腹腔鏡下手術は慎重に進めなければいけないので、短気な医師は向いてないんです。」

たしかにそのとおりだ。私は病院のホームページに治療に対するモットーとして、「丁寧な手術をすること」と載せた。自分では気が長い性格なのかどうかわからないが、宇山先生のコメント見て自分のやってきたことが正しいのだと再認識した。私は、以前より「こんなん、どうやってやるんだろう?っていうオペでも淡々とやってしまう」と言われていた。ラフな手術はしたくない。私のチームには短気な人はお引き取り願いたい。

「手術は野球と同じようにチーム力が重要」AERAの記事の中で慶応大学の北島教授が語る。

そう、腹腔鏡下手術は一人でするものではない。術者の2本の鉗子のほかに、助手がスコープ、補助鉗子などを操作する。私は最高のチームを作りに来た。大事なことは、金儲けでも手術件数を増やすことでもない。いい手術をすることである。
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チョコレート嚢胞は虫歯?

2006-07-17 | 子宮内膜症
昨日は、子宮内膜症は雑草という比喩をした。
伊藤先生のブログ(伊藤病院)を見ると、チョコレート嚢胞を虫歯に例えた話をしておられる。

「虫歯は自然に治らないどころか、徐々に進行し、放っておくと抜歯しなければならなくなってしまいます。」

お腹の中なので見えないが、チョコレート嚢胞も同じである。チョコレート嚢胞が自然に消失することはまずない。(消失したとしたのなら、それは、出血性の機能性卵巣嚢胞だったのだろう)放っておくとどんどん大きくなるか、破裂してしまう。破裂したらメチャクチャ痛い。破裂をくり返すと状況はどんどんひどくなっていく。おまけに痛みもひどくなる。

チョコレート嚢胞が出来ている時点で、子宮内膜症としてはほぼ三期以上である。本当は放置してはいけないのだ。
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子宮内膜症が雑草で?

2006-07-16 | 子宮内膜症
先週、両側多房性チョコレート嚢胞核出&深部病変切除をした。
ボスが回診でその患者さんに面白い説明をした。

「今回は松本Dr.がきれいに病巣を取り除きました。
でも、子宮内膜症は雑草みたいなもので、
一度きれいにしても、また生えてくることがあります。
術後もきちんとフォローしてください。」

子宮内膜症が雑草?
そうなら、治療は庭の手入れみたいなものだ。
腹腔鏡下の病巣切除は、ていねいに雑草を根っこから引き抜いて除草剤をまいたようなものである。
チョコレート嚢胞の経膣エタノール固定は農薬をばらまいたようなものか?

経膣エタノール固定後で不妊治療が行われていた場合、
しばしば多房性のチョコが発生し、非常にタチが悪い。
卵巣の周りに炎症がつよい。ダグラス窩の深部病変もしばしば見られる。
私には、土壌まで汚染されてしまったようなイメージだ。

もちろん、腹腔鏡下や開腹でラフな手術をした場合のイメージは、
雑草を根っこから引き抜いたのはいいが、
まわりの花や樹木まで抜いてしまったり刈り取ってしまった・・・といったところだろうか。

低用量ピルや偽閉経療法は、”秋~冬”の状態であり(雑草はとりあえず枯れておとなしくしている)、
不妊治療は(高エストロゲン状態になるわけで)"真夏"にしているようなものだ。(雑草はどんどん生えてくる)

庭はきちんと手入れしておかなければならない。
いざというときに(妊娠&出産)庭がボロボロになっているかもしれない。

庭の手入れは、腕のいい庭師に頼まなくてはならない。
下手な庭師だと雑草が残り放題だったり、逆に花や樹木まで枯らせてしまう。
放置しておけば、庭は荒れ放題になり、
庭師を呼んだときには「まぁ、ここまでよくも放置しましたねぇ・・・」なんてことになる。
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第46回日本産科婦人科内視鏡学会総会セミナー

2006-07-13 | 結紮縫合
8月に行われる第46回日本産科婦人科内視鏡学会総会で結紮縫合セミナーの講師を務めます。

エキスパートから学ぶ体内結紮の集中トレーニングコース
 ー腹腔鏡下手術 体腔内操作へー

このブログでも、受講者を募集しようと思ったのですが、
30人の定員のところ、
あ~っというまに60名もの申し込みがあり
定員をはるかにオーバーしてしまったそうです。

受講できなかった先生方、申し訳ありません。
秋、冬にも、(少人数ですが)開催したいと思いますので、ご参加ください。
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ご自由にお撮りください

2006-07-12 | 大阪日記
最近、手術で摘出したものを見たいという方が多い。
自分の身体の中からでてきたものだから、感慨深いものがあるのだろうか?

しかし、麻酔が覚めたばかりで意識がはっきりしている人はほとんどいない。
見ても無駄だと思う・・・絶対覚えていない。

そこで・・というわけだろうか?
最近、家族がデジカメや携帯持参でやってくる。
説明が終わるとパシャ、パシャ撮りまくって帰る方が多い。
本人の希望で撮っているそうだ。

ふう・・・
ご本人の希望なら、全然構いません。
ご自由にお撮りください。
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休診のおしらせ

2006-07-12 | 腹腔鏡
8月4日(金)、18日(金)は休診です。
よろしくお願いいたします。
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子宮内膜症患者が腹腔鏡下手術を受ける価値があるのか?その6

2006-07-07 | 子宮内膜症
★子宮内膜症とその自然史
子宮内膜症患者は10代から場合によっては50代まで幅広い年齢層にわたっている。子宮内膜症は加齢によって以下のように変化していくと言われている。患者さんの年齢によって、同じ子宮内膜症でも腹腔内の状態はまったく異なり、同じ子宮温存手術であっても手術の戦略は異なっている。

子宮内膜症は、若年期(20歳以前)に発症し、最初は初期病変の透明水疱や活動性の高い赤色病変であり、生理活性物質を大量に産生して痛みの原因となるが、次第に活動性の低い黒色病変となり(30歳以降)、黒色病変の瘢痕化した一部が深部浸潤性病変へ移行し、活動性を維持して強い臨床症状を引き起こす。(子宮内膜症の自然史、日本臨床 2001増刊号、杉並洋)

私は16歳女性ですでに深部病変のかなり進行した重症例を手術した経験がある。20代ですでにかなりの繊維化がすすんでいる例を見ることも少なくない。つまり、必ずしも全ての患者がこのとおり(上記文献のとおり)ではない。

しかし、20代~30代前半の女性では透明水疱や赤色病変などの腹膜病変が頻繁に見られるし、深在性病変も繊維化や瘢痕化が進んでいないことが多い。一方、30代後半~40代では活動性の高い病変は少なく、活動性の低い白色病変、繊維化の進んだ深部病変が見られることが多くなってくる。

つまり、若年者では活動性の高い子宮内膜病病変が痛みの原因となり、年齢が進むにつれて、慢性的な炎症が続いた結果、繊維化の進んだ深部病変と強い引きつりが痛みの原因となるようだ。(というか、そういうことが多い)

子宮内膜症は月経が何度も発来する間に病変部で出血をくり返して起こし、慢性的な炎症が少しずつ進行してくる。つまり年齢が進むにつれて子宮内膜症も奥深くへとすすんでいく。そうなると深部病変を全て切除しにいくのは困難で、奥深いところにある静脈が傷つきやすく、出血のコントロールが難しい。どこかで深追いするのはあきらめて妥協しなくてはならない。

そういう意味では、10~20代女性のほうが手術は容易であることが多い。しかし、若い女性では病巣を残すと再発しやすいので、繊細で丹念な手術操作が要求される。逆に30代後半-40代女性の場合には繊維化した病巣が多少残っても若年女性ほど痛みが再発しやすくはない。

どこまで攻めるかは腹腔内所見や患者の年齢などで多少異なってくる。たとえば、20代女性であれば、活動性の高い病巣を十分切除するとか、30代後半の女性で繊維化した深部病変は必要以上に切除しない(もちろん癒着や引きつりは完全に解除するのは必要)というのもよい戦略である。もちろん中途半端な切除では治療効果はないから、病変の多くは切除できた上での話である。。

手術のリスクと術者の技量を考えて20代までの女性ではラジカルな手術はしないほうがいい、という意見もある。私はそれも戦略の一つだと思うが、そういう術者のほとんどは深部病変の切除の経験がない。
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宝塚!?

2006-07-06 | 大阪日記
今週は2件の腹腔鏡下子宮腺筋症核出術を施行した。
どちらの手術も予定通り終わり、今週はほっと一息だ。

月曜日に腹腔鏡下子宮腺筋症核出術を施行した患者さん、
今朝、回診に行ったら、「センセー、今日、宝塚歌劇に行きたいんですけど、いいですかぁ~?」
花組の"ファントム"を見に行くらしい。

術後3日目だぞ。
ちょっと、驚きだが、ピンピンしている。

病院の近くに大阪四季劇場がある。
マンマミーアを見に行く人はいるかもしれないと思っていたが、
外出して宝塚とは・・・

歌劇は楽しかっただろうか?
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