ラパロスコピストの夢

大阪梅田で子宮内膜症と闘うラパロスコピストのblog
子宮内膜症、子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術はどこまで進歩できるか?

はじめにお読みください

健保連大阪中央病院に勤務するラパロスコピスト(腹腔鏡術者)のブログです。婦人科腹腔鏡下手術、子宮内膜症、慢性骨盤痛等の治療を専門としています。

このブログでは腹腔鏡下手術、子宮内膜症、子宮筋腫に関する基本的な事柄については解説していません。まず、下記のウェブサイトをご覧になることをお勧めします。
日本子宮内膜症協会
子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

手術を希望される方はこちらをご覧ください。

医療相談、ご質問にはお答えしませんのでご了承ください。

おすすめの本はこちら?ブックス・ラパロスコピスト

大阪ハーフマラソン2009 その3

2009-01-29 | 大阪日記
JR森ノ宮駅前の交差点を左折して阪神高速の下を登っていく。上り坂が約800mほど続く大阪ハーフマラソン最大の難所である。16km走ってきたところでこの坂を登らされるとたまったものではない。しかし、なぜか坂がなだらかに見えて(こんなものだったかな、大したことないじゃん・・・と)ペースをできるだけ落とさず、上りきった。

ここまで、予定より1分近く早い。自己ベスト(93分55秒)更新いけるかな?と思ったら、登り切ったところで脚が急に動かなくなった。参った~、やっぱり大阪城公園に入る前に撃沈か

そのとき、練習会でときどき一緒に走るMさんに追い越され、「がんばりましょう」と声をかけられた。こういうときに仲間はいいねぇ~しばらくMさんを見ながらどうにか辛抱して走っていると、どうにか復活した。そのうちに、大好きないつも練習会で走っているコースへ。骨盤や脊椎に張り付いている筋肉まで、筋肉痛でなんとも言えない感覚に耐えながら20キロ地点を過ぎると、応援団の大歓声が・・・仲間に応援されるとなぜか力が出る。ペースが落ちなかったのは応援のおかげだろうか?(15-20キロ、22分20秒、キロ4分28秒)


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大阪ハーフマラソン2009 その2

2009-01-27 | 大阪日記
今年は陸連登録の部で参加したので、スタート渋滞はあまりない。はじめから予定どおりのペースでいける。しばらく走ると目の前に練習会でお世話になってるWさん、3kmほどですでにバテ気味のCさんを追い越した。長居公園内でクラブの応援団の声援を受け(めっちゃ気持ちいい)思わず笑顔でピースサイン

5kmのタイムは22分46秒、スタートロス11秒なので、ほぼキロ4分30秒ペースで序盤は完璧だ。(でも先はどうなるかわからん)しばらく進むと少しずつ道が下っていきペースアップして5-10kmのタイムは21分59秒(キロ4分24秒)予定よりちょっと早いが自然にペースアップしたのでそのままのペースを守ることにした。

12kmで練習会でほぼ同じペースで走るTさんに遭遇、がんばろうと声をかけて追い越したものの、ちょっとバテてたようだ。かなりきつくなってきたが、鶴橋~玉造とペースはどうにか維持できた。(10-15km、22分12秒、キロ4分27秒)

(つづく)
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大阪ハーフマラソン2009 その1

2009-01-25 | 大阪日記
今日は大阪国際女子マラソン&大阪ハーフマラソンの日、当然のことながら今年も参加した。目標は4分30秒のペースを刻んで1時間35分である。

会場につくと、クラブののぼりを立てているメンバー達のところへ行き挨拶。着替えてアップしているとスピード練習不足にもかかわらず身体は軽くて行けそうな感じ。しかしながら、晴れたり雪降ったり風吹いたり・・・寒い・・・ちょっとモチベーション下がってきたが、整列して、長居陸上競技場内へ。いつ見ても大きい・・・

スタート前になると、なんと高橋尚子さんが登場し、会場は大歓声に包まれた。なんかコメントしてくれてるけどエコーがかかって何言ってんのかわからん・・・

ともかく、そうこうしているうちにスタートした。何人かが高橋尚子さんに近寄り、ハイタッチしているが、Qちゃん、ちょっと顔が引きつりぎみに見えたなぁ・・・まあ、いいかー(つづく)
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子宮筋腫の診療ガイドライン その19

2009-01-23 | 子宮筋腫
開腹であれば、ほぼ全ての症例に対して子宮筋腫核出術を施行することはできる。しかし、それはどのような症例に対してでも安全にできることを意味するわけではない。カナダのガイドラインを見ると術中所見や手術経過によっては子宮全摘が必要になることがあることを説明しておかなければならないと記載されている。(非常に稀だとは思うが・・・)

Women should be counselled about the risks of requiring a hysterectomy at the time of a planned myomectomy. This would be dependent on the intraoperative findings and the course of the surgery.

子宮筋腫核出術は妊孕性の温存が目的であるから、手術をする時期についてもよく考えておく必要もあるだろう。再発のことを考えるのなら、手術は妊娠する時期のできるだけ直前(術後数ヶ月は避妊しておくとして)がよい。未婚女性が子宮筋腫を指摘され手術を勧められて大慌てで来院することが多いが、慌てて手術をしても相手が見つかる頃には再発してしまっているのがオチかもしれない。

もちろん、結婚や妊娠ばかりは相手がいなければどうしようもないし、筋腫があることが、そういうことに対して障害になるかもしれない。そういう意味では難しい問題である。



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子宮筋腫の診療ガイドライン その18

2009-01-21 | 子宮筋腫
TLMの他に、腹腔鏡を用いて行う筋腫核出術としては腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(laparoscopically assisted myomectomy, LAM;ラムと読む)がある。これは、腹腔鏡を併用して下腹部に3-5cm大の小切開を加えて筋腫核出を行うもので、子宮の縫合や筋腫の分割回収は経腹的に行うことになるので厳密に言えば開腹手術の一種である。

・腹腔鏡下での手術操作が少ないため(特に体腔内で縫合しなくてもよい)、腹腔鏡下での操作が比較的容易になる。
・TLMをするのには無理があるような筋腫の手術(大きな筋腫、多発性筋腫)でも適応できることが多い。
などの利点がある。

しかしながら、非常に小さな切開部位から手術操作を行うものであるから、筋腫が大きかったり変性をおこしていたり、また非常に数の多いものだったりすると、手術が予想外に困難であることもある。多量の出血をきたしたり、また術後血腫ができたり、変性筋腫では取り残してしまったりすることもありうる。術後癒着も開腹と変わらないだろう。(むしろ狭い術野でラフな手術操作をすれば、かえって開腹より癒着しやすいかもしれない。)

そういう意味では何でもかんでもLAMでできるわけではないが、TLMではどうかな?(時間がかかりすぎるとか)という症例がLAMでスムーズにできることもある。(とくに大きな漿膜下筋腫など)

腹腔鏡下手術に固執して、非常に大きな筋腫や多発性筋腫でも腹腔鏡を希望して来る人も少なくないが、客観的に考えるとLAMの適応は"TLMと同等かもう少し大きなものまで"にしていたほうがいいかもしれない。本来、開腹手術でもかなり難しいような手術はLAMでも簡単にできるわけがない。

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子宮筋腫の診療ガイドライン その17

2009-01-19 | 子宮筋腫
TLMの手術適応を考える上で、その手術成績(予後)がどうであるかということも大事である。

・妊娠の予後について
きちんと多層縫合をすれば、妊娠予後は開腹と変わらないはずである。分娩中に子宮破裂(もしくは切迫子宮破裂)が起こった場合、すぐに帝切が施行できれば胎児を救命できる可能性は高くなるが、そのためには分娩室と手術室が直結しており、麻酔科医が常駐していなければならない。この医師不足、医療崩壊の時代に、関西で麻酔科医と産科医を病院に常駐させておく余裕があり、上記のような設備の整った病院などない。必然的により安全を期して筋腫核出後は帝切ということになる。

・術後癒着について
どんなに丁寧に手術をしてもある程度の術後癒着は起こる。その程度については、創面をいかにキレイに縫合できたか、愛護的な手術操作ができたかによる。普通は腹腔鏡下筋腫核出術のほうが開腹よりも術後癒着は少ないと思われているが、ラフな手術をすれば腹腔鏡だって癒着は強くなるだろう。また、多発性筋腫の核出後は、子宮は縫い目だらけ。全然癒着しない人もいないではないが、どこかが癒着すると思っていたほうがいい。
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子宮筋腫の診療ガイドライン その16

2009-01-17 | 子宮筋腫
TLMの手術適応(私の個人的考え)つづきである。

・多発性の筋腫の場合、子宮はより大きく腫大するため、最大筋腫径が8cm未満であっても手術が困難な場合がある。たとえば、直径7cm大の筋腫が3-4個あったらどうだろうか?子宮の可動性はなく一つ一つの筋腫へのアプローチもより困難になる。核出、縫合操作ともに難しくなるのでTLMはやめたほうがいい。

・最近、二番目に大きな筋腫の直径が難易度と比例しやすいという意見を耳にしたことがある。言われてみれば、そうかもしれないと思う。それに関する学会発表や論文を見たことはないが、検討してみる余地はあるかもしれない。

・多発性筋腫の手術に関しては、子宮全体の大きさがそれほど大きくなければ手術することは可能であろう。問題は手術ができるかどうかではない。筋腫が多数ある場合、MRIや超音波検査に写らないほど小さなものも多数ある。見えているものだって取りきれるかどうかわからないのだから、見えないものが取りきれるとは思わないほうがよい。一番大事なことは、何のために手術をするのかということである。

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子宮筋腫の診療ガイドライン その15

2009-01-15 | 子宮筋腫
手術成績は術者によって大きく変わる。つまり、手術適応についても術者の技量によって大きく変わるのは仕方がない。そこで、ここではTLMの手術適応について個人的な考えを述べてみる。

・肥満患者、腹壁の固い人(運動不足や姿勢が悪い人など)では腹腔内が狭く(とくに未経産女性のとき)適応は厳密であるほうがよいかもしれない。TLMを安全にすすめるためには腹腔内にある程度広いスペースが必要である。子宮が大きければ、当然、腹腔内のスペースはさらに小さくなるので不利である。おまけに大きなものや多発性のものほど、出血量が多くなり手術時間も延長する。

・だいたい普通、筋腫の直径が7-8cmを超える場合、出血が多くなる例がある。直径10cmになると、それなりの出血は覚悟しなくてはならないだろう。一般論として直径8cmまでの筋腫であればTLMの適応としては問題なさそうである。

核出術の難易度は筋腫の大きさだけではなく、筋腫の位置、変性の程度、子宮の血流などの影響を受けるので一概には言えない。直径12cmの子宮頚部筋腫を核出(TLM)して、それほどの出血もなく首尾良く終わったこともあるが、結果的にうまくいっただけのことで、このような手術をするには、患者も術者もそれなりの覚悟は必要だ。経験豊富な術者であれば大丈夫だと思う人は多いが、子宮筋腫の大きさだけ血流豊富な子宮筋層を切開し、大きな欠損面ができれば、縫合が終了するまでに、どれだけ出血するのか想像がつくだろう。大きな筋腫の核出はやってみなければわからない手術である。
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子宮筋腫の診療ガイドライン その14

2009-01-13 | 子宮筋腫
カナダのガイドラインでは腹腔鏡下手術に関する記載はあまり多くないが、子宮筋腫核出術については、以下のように記載されている。

・手術時間は長くかかるが、入院期間を短縮し回復は早くなる。
・術後妊娠において子宮破裂の報告がある。
・再発率はより高いが、術後癒着は少ない。
・5-8cmを超える大きさのもの、多発性のもの、筋層内の深いところにあるものについては開腹手術を推奨する。

なお、ここでいう腹腔鏡下子宮筋腫核出術(laparoscopic myomectomy; LMもしくはTLM)は、すべての手術操作を腹腔内で行う術式を指しており、3-5cm長の小切開を加える腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術(laparoscopically assisted myomectomy; LAM)とはまったく異なる手術である。(LAMは腹腔鏡下手術というよりは、むしろ切開の小さな開腹手術というべきであろう。LMというとLAMもLMのうちであると考えている人も少なくないので、ここでは厳密にTLMとLAMとして区別することにする。)
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子宮筋腫の診療ガイドライン その13

2009-01-10 | 子宮筋腫
ガイドラインは以下の結論で締めくくられている。

Conclusion
Thirty percent of women have uterine fibroids and the majority of them will not require intervention. For those women who present with symptoms, the menu of options for the treatment of uterine leiomyomas is expanding. These technologies are relatively new and although many are promising, they often lack long-term data, which interferes with our ability to present all risks and benefits with assurance. Ongoing research and data collection will help us assess the relative merit of newer options as the technology continues to expand.

30%の女性に子宮筋腫があり、その大部分は治療をする必要がない。症状のある女性に対して、治療の選択肢は拡がってきている。しかし、それらは新しく、長期予後はわかっていない。・・・・ということである。

おそらく、一般の人がこのガイドラインを読めば読むほどわからなくなってくるかもしれない。

この勧告にしたがえば、
・症状のない筋腫は治療の必要がない。
・(妊孕能の温存が必要ない場合)いまでも子宮全摘が根治的で高い満足度を得られる治療法である。
・筋腫核出術やその他の子宮を温存する治療は、再発や再治療の可能性を理解しておくべきである。
ということになり、結局、むやみやたらと治療する必要はないと言っているように思える。

子宮筋腫で手術を希望して大勢の方が私のところに来られるが、手術になる(私が手術をすすめる)のは結局3割程度しかなく、「まだ、しなくてもいいんじゃない?」ということになることが多い。筋腫を指摘されても、とくに症状がなければ、ゆっくり考えてから治療を選択すればよい。あまり症状のない人(筋腫があることで特に困っているわけではない人)は、わざわざ手術の専門医を受診しなくてもいいのではないだろうか?
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