桜和尚ブログ

下記に引越しました
https://enden.amebaownd.com/

◆今知りたい臨床宗教師フォーラム7

2015年12月07日 | 臨床宗教師

12月6日 北海道東北臨宗教師会・東北大学宗教学寄附講座主催の

公開シンポジウムが開催されました。

震災を機に、心と命の現場の必要性に迫られ発足した臨床宗教師。

しかし、臨床宗教師って何?何する人たち?という世間の疑問にはまだまだ答えていません。

そこで、臨宗という物体に、いろんな角度から光を当てたのが今回のテーマです。

最初の基調講演は東北大学の谷山先生

その後4名の臨床宗教師が自らの活動を発表しました。

続いて、河北新報社の村上記者が、取材の中で記者の目から見た見方を報告。

その後、「医療者から見た臨床宗教師の可能性」という題で

石巻赤十字病院の鈴木先生からお話がありました。

先生の話の中で、臨床宗教師の生みの親である、故岡部医師との酒の席の話がとても印象的でした。

お二人の暖かな心の交流が、臨宗の原点にあったのだと推察できます。

今後の高齢化・多死化の時代に合って、命にどう向き合うかということが問われてきます。

臨宗への期待や担う役目も増してくるでしょう。

 

 


◆てあわせ桜苗ポッドで仮設の皆さんへ’15秋

2015年11月24日 | 臨床宗教師

今年も皆さんに桜の苗をお渡しすることができました。

11/20、まず秋田パドラーズの中村さんと気仙沼で合流。

中村さんたちは震災後、秋田県から何度も足を運び、仮設の皆さんを支えている方々です。

気仙沼では、最初にNPO海べの森をつくろう会の管原さんから活動を聞かせていただきました。

管原さんたちも震災後、破壊された自然環境を復活させようと、企業の協力や多くの人の手の支援を得て

一生懸命に活動されている方々です。

NPOの事務所の周辺の苗木の畑を見学の後、桜苗木を鉢(ポッド)へ移植作業の開始。

最後に、苗木に向かって供養と希望のお経を挙げ、皆さんで祈りました。

午後は陸前高田の(高田中学校の周辺に140もの仮設)高橋さん宅にお邪魔して

最近の復興事情などお話を聞くことができました。

今年の秋は事情により苗木の多くはお渡しできませんでしたが、

苗は大切に土をかけ保管し、来春仮設の皆さんにお渡しできることを約束し、確認しました。

今回、何よりも秋田パドラーズの中村さんやNPO海べの森をつくろう会の管原さんなどと

交流ができたことが一番の収穫です。

来年に向かってまた一つ希望の花が咲きました。来年は目標の千本達成です。

 


◆奥州市ケアマネ研修会で臨床宗教とマインドフルネス体験

2015年10月09日 | 臨床宗教師

奥州市のケアマネ支援研修会で、「自分らしい生き方逝き方」という内容でお話させていただきました。

参加したのは、市内の介護支援に勤務する支援専門員の方々130人。

皆さんには、臨床宗教師としての立場から話を聞いていただいた後、 意見交換及びグループワーク、そして発表していただくという内容です。

死の不安を感じる患者や家族に寄り添い、仏教的看取りを考えていこうというものです。

また、スタッフ(介護従事者)のストレス低減と燃え尽き(バーンアウト)を防止するのに効果的な

マインドフルネスを体験していただきました。

まず、気持ち良い呼吸でリラックスしていただきながら、心の平安へと導きます。

あまり気持ちが良すぎて、イビキがどこからか聞こえてきたりしますが、それも良しです。

130人がシーンと静まり返ると、何かそれだけで充実した場の空気が生まれてきます。

 

今までは病院で死を迎えていましたが、これからは家族や地域が担う時代に変わっていきます。

死とどう接するか、心理的負担をどう軽減するかという問題と、正面切って対応しなければなりません。

仏教的な看取りを少しでも多くの皆さんに知っていただき、考えていきたいものです。

 


◆河北新報に掲載「臨床宗教師の社会的使命」

2015年08月07日 | 臨床宗教師

臨床宗教師として生と死にどう向き合うか

河北新報の松田記者が、わざわざ仙台から一関に取材に来ていただき、記事にして下さったのが下記の文章です。

松田さんはマインドフルネスという心のエクササイズにとても詳しく、マインドフルネスを単なる「心のケア」

とは表現しないほうが良いとの考えを持っています。

これには私も同感です。

ただ、マインドフルネスがまだまだ知名度が低く、どのようなものか読者に伝える場合、

「心のケア」と表現したほうが一般にはわかりやすいので、メディアなどでは仕方がないこともあります。

記事は松田さんが、心のケア的表現を用いない絶妙な工夫がなされていて、とても好感を持ちました。

ところで、

私は昨年から、臨床宗教師がマインドフルネスによって終末の緩和ケアができるのではないかと考えていました。

ところが、この考えで既に以前から実践している方がいらっしゃったのです。

その方はジョアン・ハリファックスさん。(著作に死にゆく人と共にあること--マインドフルネスによる終末ケア)

藤田一照老師(曹洞宗国際センター所長)から、この本をご紹介頂きました。詳しくは、また後述します。

 

とりあえず河北新報の記事を以下引用掲載します。

 ------------------------------------------------------

<祈りと震災>臨床宗教師、社会的使命を模索

死と生にどう向き合うか。僧侶と臨床宗教師として語り掛ける後藤さん=7月13日、一関市川崎町

 

◎介護施設で仏教セミナー/心の平穏へ瞑想導入

 東日本大震災をきっかけに東北で生まれた臨床宗教師が、社会的役割をより広げようと模索している。

一関市川崎町の常堅寺住職、後藤泰彦さん(55)は地元の介護施設で仏教セミナーを始めた。

忍び寄る死の気配や大切な人を失った悲嘆に伴う根源的な苦悩を受け止め、宗教者としてそばにいるという臨床宗教の考え方に、瞑想(めいそう)などを取り入れている。
 

川崎町の特別養護老人ホーム寿松苑で7月中旬、「みとりセミナー」があった。講師に招かれた後藤さんは参加したホームのスタッフら約20人に語り掛けた。
 「震災は不条理にたくさんの命を奪った。『なぜ人は突然死ぬのか』『どうして災いが自分にばかり降り掛かってくるのか』…」
 

震災が人々に突き付けた深い苦悩にいかに寄り添うかは、臨床宗教師の大きなテーマである。

 後藤さんは続いて、宗教色を抜いた瞑想の時を設けた。参加者の呼吸を整えながら穏やかにつぶやいて瞑想に導く。

マイナス的な感情の改善などに役立つ「マインドフルネス」と呼ばれる手法だ。
 

後藤さんは震災後に東北大が開設した臨床宗教師研修に参加。臨床宗教のアプローチから死と生を考えた。一方で、マインドフルネスを仏教的視座から深めることは安定的な心の平穏につながると考え、学びを重ねている。
 

臨床宗教師の存在はまだ一般に浸透しているとは言えず、関係者は認知度を向上させ実践の場を確立していこうと、手探りの日々だ。マインドフルネスと合わせることで、新たな可能性が広がるかもしれない。


 「みとりに関わることがある介護施設の若い職員らが、死に向き合う際の心の持ちようをそれぞれに考える場にもなる」と後藤さん。臨床宗教師がこれからの社会で担う使命を思う。

 

以上