桜和尚ブログ

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◆幽霊と鎮魂慰霊碑建立

2013年07月31日 | 震災関連

ネットで被災地・幽霊と検索すると、たくさんの幽霊話がヒットします。

タクシーに乗車したはずの客がいなくなった・・とか

ある場所を通ると、夏なのに「寒い寒い・・}という声が聞こえる・・とか

この話を聞いて、私はこう思うのです。

それは、災害・事故で身近な死が突然訪れると、人間の心が先祖がえりするのではないか、ということです。

先祖がえりと言うのは、昔昔、人間は人の死を畏怖の念を持って接していました。

簡単に言うと恐怖の対象です。

目に見えない”霊”、この不安定な霊をアラミタマと呼ばれるものでした。

この時代、呪術的な要素の儀式などを執り行って、霊を安定させようとしました。

ところが、時代が進み、仏教が広まり、仏の威光で成仏することができるようになってきました。

さらに近代~現代には、科学技術の進歩により、目に見えないものは非科学的と言うレッテルが張られ、

魂や、霊やというスピリチュアルなものは影が薄くなってきたのです。

ところが、命に係わる非常事態(死)が身近に起きたり、大規模な災害・事故・戦争などが起きると、

人間の眠っているDNAが目覚めます。

遺伝子は昔々の縄文時代、死は恐ろしいものという記憶を呼び覚ますのではないでしょうか。

戦争で亡くなった兵隊さんの霊が、南方の島々で目撃されるということもあります。

こんな時代が進んだ文明にあっても、突然の無念の死は、霊となって見える人には見えるのでしょう。

否定はできません。

だから、鎮魂の供養が必要なのだと(私の立場から考えて)思います。

誰かが、「鎮魂とはゼロにまで引き上げる供養}と説明しましたが、まさにその通りだと思います。

ただ死を恐れ、呪文などの民間的信仰に頼っていた時代から、仏教の伝搬により

仏の功徳によって清め、成仏させることによって安心(あんじん)を得るようになりました。

このことが、日本のその時代の文明レベルを一つ引き上げたのだと思います。

幽霊は見える人には見える。感じる人には感じるのです。

霊となって現れるのは成仏しない霊です。

その霊に「あなたは亡くなったんですよ。成仏しなさいよ」

と言ってあげるのが、供養のひとつになります。

慰霊は霊を慰めるという意味ですが、その場所となるのが慰霊の場です。

民俗学者の柳田國男霊は、人は亡くなると霊になって山に向かうといいます。

そのいわれからも、15882の慰霊碑建立を被災地の地理的中心、

沿岸700キロの真ん中であり、愛大の被災地石巻(広域圏では6千人弱が亡くなっている)

に鎮魂の森をつくろうとする意味合いがそこにあります。

桜によって清められ、魂が花のように昇華することを祈る場。

生きるものと死者の交流の場。

それが、鎮魂の森の慰霊碑建立の動機であり、供養することは我々の当然の使命でもあるように思います。


 

 

 


◆仮設に千本桜の夢託す

2013年07月29日 | 鎮魂の桜の森

 仮設住宅では少しずつ転居が始まり、新居への移転で空き仮設が目立ってきました。

いろんな人たちがここ(仮設)で巡り出合い、励まし合ってここまでやってきました。

その想いを桜に託し縁にして、将来の希望に向かっていってほしい。

そんな仮設の方々の願いから、仮設千本桜計画が始まりました。

今日(7.26)の河北新報に掲載されましたが、

仮設の方々から希望があれば、東北3県どこへでも伺います。

一応条件としては、仮設自治会単位ごとで10本以上の希望者がいらっしゃること。

贈呈は秋(10~11月)頃。もちろん無料。

皆さん、仮設の方々にご紹介下さい。

連絡は0191-43-3932 岩手県一関市 常堅寺 後藤泰彦まで



 


◆共感力は人を動かす

2013年07月28日 | 心と体のホットケア

先日、NHKのクローズアップ現代で”人を動かす共感力”というテーマで放送していました。

共感力を使ったイメージ戦略で業績をあげている企業。

社長とフェイスブックで意見交換し、新商品開発をしているスーパーのパートさん。

(社長が自分達の意見を共有してくれるというのが、開発意欲のモチベーションをあげているといいます。)

何年も行政と地区住民の話がまとまらない問題には、ファシリテーター(会議の中立的な立場で相互理解を進める担当者)

が仲介し、共感力を武器に話を円滑に進めることもあるそうな。

その会議の模様の中で、グループごとの自己紹介の場面がありました。

自己紹介も、ちょっと自分の弱みを一言紹介するという方法をとると、その後の会議も和やかに進歩的に進むと言います。

これを見ていた我が家の長男、いわく

『相手に弱み見せちゃだめだよな。なぜ、こんな紹介するんだろう』

確かに一理あります。

私、『たぶん、弱みと言うよりは、自分の失敗談や苦しかった思い出など話すと、

相手も自分の過去の経験など思い起こすんじゃないの。

そこで、自分だけじゃないという、相手を理解しようとする共感を感じるだと思うよ』

長男『なるほどね!』

普段すぐには納得しない生意気盛の中3の彼も、この時だけはすぐに理解したようです。

私は一人心の中で『よかった。共感を説明するのに共感してもらった』

と、思いました。

人を動かすための共感力。磨いていきたいですね。

 

 

 


◆写経に込めた祈りと支援

2013年07月23日 | 鎮魂の桜の森

鎮魂の桜の森に慰霊碑を建立したいという願を立てました。

設計は東京大学の川添先生に依頼し、素晴らしいご提案を頂いています。(当HPご参照ください)

さて後は実行のみですが、先に立つものはなんと言っても資金です。

5月に永平寺の同安居会が30年ぶりに開催されるというので、札幌まで行ってきました。

その際に、慰霊碑建設に関わる支援協力を法友に御願いしました。

支援といっても、お金の協力ではなく、写経を奉納する際の納経料として檀家さん方に御願いできないか・・・ということを申し上げました。

写経は上の写真の通り、一筆せん写経といって、南無釈迦牟尼仏だけ写経し、後は願文とお名前を書くだけです。

鉛筆で書くもよし、ボールペンもOK.

それに、1枚2千円の納経料を添えて頂くというもの。

願文は大震災物故者供養やご自分のご先祖の代々供養、心願成就、家内安全など様々です。

でも、その願い事と同時に慰霊碑の建設資金の一部にもなるのですから、納経した方は二重の功徳があるのではないでしょうか

北海道の法友から最近続々と届けられます。有り難いことです。

願わくは、多くの方々の願いによって慰霊碑が建立されるように祈ります。

 

 


◆仮設住宅千本桜

2013年07月18日 | 鎮魂の桜の森


   

この活動(手あわせ桜プロジェクト)を始めた最初の頃、

「何とか桜を植えて行きたい、植えるところはないか・・」

といろんな人に声をかけ回っていました。
1本植えることによって、一人の供養ができるかもしれない、と考えていたのです。
しかし、塩害地やまだ整理の行き届かない土地、堤防のかさ上げ工事で数年間は何もできない公有地。
そんな壁にぶつかって、植樹すること自体がもう限界だとと思っていました。

そのような事情があって、実家の裏山を伐採して桜の森を作ろうという作戦に方向転換したのです。

ところが、意外な盲点があったことに気づかされました。
それが、ポット苗による仮設での育苗です。

このヒントを頂いたのは、石巻市向陽仮設で自治副会長を務めている遠藤さんです。
遠藤さんから、

「最近転出する人たちが増え、仮設も櫛の歯が抜けたようになってきた。」

いつかはみんなバラバラになるかもしれないが、

ここで苦しい時を一緒にしたという縁や、

これから未来に向かう希望に桜はぴったりの花。
ぜひこの桜を転居する人たちに贈りたい。」

このような連絡を頂きました。

そうです。この方法があったのです。

新しく家を建てることになったり、被災した家を修復して転居する人たちに、

桜を手渡すことができれば、きっと誰かの供養のためにもなり、

また将来の希望の木にもなることだろうと思います。

それぞれの人がそれぞれの場所に、この手あわせ桜を植えて頂くことによって

「昔、こんなこともあったけど、何とか乗り越えてきたね」

と数年後、数十年後、大きくなった桜を見上げて思っていただければいいのです。

仮設千本桜計画!

その第1号贈呈式を14日に行いました。

希望者を募れば、まだまだ苗を欲しいという人は多いと、遠藤さんは言います。

秋に向かって、仮設千本桜を募集してみようと思います。