西田敏行さん主演の映画”遺体”を見て涙しました。
それ以前に、原作も読んでましたが、どちらも衝撃と感動でした。
死体ではない、ご遺体だということ。
ご遺体は声をかけてあげると、人間としての尊厳を回復するということ。
私も入棺や出棺の際、声をかけてください、顔を触っても構わないですよ、
とよく話します。
遺族はご遺体に触れることによって、その感覚がいつまでも手に残るように、
故人をいつまでも忘れないことでしょう。
亡くなっても、耳はまだ聞こえている。声をかけることによって伝えることができるのです。
本や映画で、そんな今までの思いが共有できたように感じます。
なんといっても、舞台は岩手、釜石です。
震災後、避難所に南こうせつさんの兄の南えしょうさん(大分県住職)と私も足を運びました。
歌う住職として知られる南さんは、歌で避難されている方々を励ましました。
そしてまた、ここはラグビー新日鉄釜石を育てた場所でもあります。
学生時代、楕円球を追いかけた者として、ここ釜石は特別のあこがれの場所でもあります。
その場所で起こった釜石の人たちの壮絶な戦いと人情に、強く胸を打たれました。
映画の中で、遺体安置所で僧侶がお教を挙げるシーンがあるのですが、その住職は涙でお経が読めないのです。
そんなことも、あの頃のことを思い出します。