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ニートクリスマス番外編<ハートで勝負>

2018-05-07 11:24:52 | ニートクリスマス後編

前回
⑧ニートクリスマス番外編 彼が初恋



「カ、カノ」

「ん?」

「俺が、あの、その」
「既婚者だったおやじのことも」
「その、なんていうか」
「カノの小学生時代のことも」
「全部俺が受け入れる」

石野真子 ハートで勝負

ハートで勝負
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Victor




 その後、カノは俺をしばらく見つめ

「早く退院してね」

「う、うん」



「じゃね、お大事に」

「いつもありがとな」

カノと俺との仲に将来が見えた。



 以前は邪な気持ちでカノに描いていた恋心も

「構えられるのダメなんだよねー」

「え!」

と、簡単に跳ね返されていた。



 構えられるのがダメだったカノが、ニートになった俺に身構え、すべてを引き出し病室から出て行った。



 その後、俺は退院し、久しぶりにオンラインゲームにログインをした。しばらくログインをしてなかったことで、彼女もログインしていないと思っていたが、




が、しかし、彼女はまだ俺のギルドの中で待っていたかのようにオンラインゲームを続けていた。



「お久しぶり」

「お久しぶり」
「しばらく来なかったね」

「ちょっといろいろあって」
「変わりない?」

「はい」

 俺は久方ぶりの再会に感動した。これまで何人かと組んで遊ぶ相手もいたが、数日、数週間ログインしていないと離れていく世界。しかし、俺がいない間も彼女はずっとそこで遊んでいた。



彼女を今後は粗末には扱えないと思い、再びオンラインゲームを再開した。



 退院から数か月が経ち、俺は事故で保険金などが入り、そのお金で新しいゲーム機を買った。事故で後遺症が残り、仕事復帰がまだ定かではない中、俺は新しくなったオンラインゲームに生活拠点を移すことにした。



「今度出たゲームをやることにしたから」

「おおー」

「もうすでに遊んでるんだよね?」

「うん、遊んでる」

「そっちでも、また一緒にやろう?」

「うん」
「じゃ、新しいほうにログインしたら教えて」
「そのとき、わたしもいるから」

「了解」



 俺は新しくなったオンラインゲームに登録し、彼女と再会することで少し不安があった。もし、彼女が男性キャラで現れたらどうしようと不安に思いながらも、彼女に会うために新しいキャラクターを作った。



「ようこそ」

「は、はじめまして」

(よかったー女性キャラだった)
(しかも髪の色も同じだ)

 彼女は新しいオンラインゲームをある一定のレベルに達していて、初心者の俺は何もかも、彼女から教わることになった。



「ここでいろいろと貰えるよ」

「はい」

続く

次回
⑩ニートクリスマス番外編 プリティープリティー


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ニートクリスマス番外編<彼が初恋>

2018-05-02 12:05:10 | ニートクリスマス後編

前回
⑦ニートクリスマス番外編 フォギーレイン



「やー」

「病室移ったんだ」



 カノはちょくちょく花を持って来たり甘い物を持って来ては病室に見舞いに来ていた。他の患者がやっかむほど、カノは俺の見舞いに来ていて、カノが帰ったあとに他の患者たちに嫌がらせを受けていた。ある日突然、俺の病室に患者たちが酒を飲んだりタバコを吸ったりと宴会騒ぎを起こし、見かねて俺は別の病室に移された。騒ぎがあった事も知らず、カノはまた見舞いにやって来た。

「今度ここになった」

「どうお?」

「まだ、退院の話しは聞いてない」



 しばらくすると、カノが俺の昔ばなしを始めた。

「アララギ、〇〇ちゃんと付き合ってたよね」

「特に付き合ってたわけじゃないよ」

 カノのいつものパターンで、昔、噂になった俺が好きだった彼女のことを聞いてくる。その度に俺は「特に付き合ってたわけじゃない」と応えると、

「へえー」
「噂になってたのになー」

その後はお決まりで俺を茶化すループが続いていた。



「弟に彼女が出来たみたいでさ」

「へえー」

(俺はカノの弟だけあってモテる気はしていた)

「〇〇ちゃんって言うんだけど」
「アララギ知ってるよね?」

「なに?えー!」



「付き合ったことあるでしょ?」

「え!と・・・」

「弟は知らないと思うけど」

(カノに槍を向けられ、俺は逃げ場を失った)



「あ、あるけど、とっくに終わってるよ」
「な、なんでカノが知ってるんだよ?」

「アララギ、見せたがり屋だから」

「学生の頃のことじゃないか!」



「何人目?」

(そこまで聞くか!)



「は、」
「初めての相手だよ」

「〇〇ちゃんじゃなかったんだ」



「その後は?」

「その後?、何人もいないよ」



「あたしは既婚のおやじだった」

(今度はいきなり初体験の相手を向けてきた)

「なんだって!」

「すごくやさしい人だったよ」

「既婚者でやさしいって、カノとやりたいからやさしくしただけだろ!」

(俺はカノの初体験の相手を知り・・)
(ムカついた)

「やりたくて、やさしくしてた、だけだろが!」

「アララギもやさしくしてたんだ?」



「俺?」
「俺のは嘘だよ」



「嘘なんだー」

石野真子 彼が初恋

彼が初恋
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Victor


「あたしこないだお見合いしたんだよね」

「お見合いしたのか?」

「いいひとだったよ、お金持ちだったし」

「そうか」

「でも、お母さんがさ、その後、あたしより背が低いよねーって言ってさ」
「どうしようかなー」



「あたしより背が高いの」
「今のところ、アララギだけなんだよなー」

(なんてことを言い出すんだ!)



「カ、カノ」

「ん?」

「俺が、あの、その」
「既婚者だったおやじのことも」
「その、なんていうか」
「カノの小学生時代のことも」
「全部俺が受け入れる」

逃げ場のない俺は、咄嗟に思いついた大口をカノに告げることになった。


続く

次回
⑨ニートクリスマス番外編 ハートで勝負


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平穏な五月

2018-05-01 15:46:39 | 日記


 例年より早くソメイヨシノの桜の季節も終え、青葉繁る五月になりました。

多くの白鳥は故郷へ向かい遠い空へと旅立ちましたが



飛び立つことをやめた白鳥が、数羽確認することができました。



片隅にも一羽確認し、合計この場所に5羽残っていました。



飛べる鳥が飛び立つことをやめたということは、鳥の世界では哀れなのかもしれませんが、人に近い生き方を選んだのではないでしょうか。

人は人を愛し、人を産みますが、鳥も鳥とで鳥を産みます。

飛び立つことをやめた鳥たちに、平穏で無事な暮らしでありますようにと、人として想います。



ここ数か月間、川に平穏な日々が続いたこともあってか

中州に菜の花が咲いていました。

上流にダムがあり、大雨やダムに水が貯まると放水したり水かさが増す中、警音とともに中州ごと消えてしまう場所なのに、植物は花を咲かせていました。

「花は正直だなー」

中州に咲いた菜の花が、平和の花粉になりますように

雑記だねゑ: える天まるのブログ「雑記の宿」から (雑記ノベルズ)
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