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旧える天まるのブログ
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80年代男性ロックバンド神セブン

2019-10-14 11:45:48 | ミスDJ神セブン

 台風19号の影響により被害にあわれた地域の方々にはお見舞い申し上げます。

 私の住む地域では、幸い大きな被害とならず、週末週明けを過ごしました。ラグビーワールドカップが中止となった試合におきましては、選手の方々には日本国として、1日本人としてお詫び申しあげます。開催地釜石では、参加選手によって復旧作業のボランティアを行っていたとお聞きしました。あらためてお礼を申し上げます。

I would like to apologize to the players as Japan and as a Japanese  World Cup.I heard that the participants volunteered for restoration work at the host Kamaishi.Thank you again.

 昨日、W杯男子バレーボールでは、日本チームが史上初の五連勝を飾り、こうしていられたことに幸せを感じております。

 ラジオでは文化放送『ミスDJリクエストパレード』『80年代男性ロックバンド神セブン』が放送されました。

『80年代ニッポンのロック、男たちの歌・神セブン』

1位 ff / HOUND DOG

2位 Marionette / BOØWY

3位 紅 / X

4位 リンダ リンダ / THE BLUE HEARTS

5位 ONLY YOU / BOØWY

6位 TRAIN-TRAIN / THE BLUE HEARTS

7位 B・BLUE / BOØWY

ありがとうございました! #joqr#ミスDJ#文化放送#千倉真理

Twitterからの引用コピーで大変恐縮なのですが、オンエア結果は以下の順位となりました。

 HOUND DOGとARBは、非常にカリスマ性が昔からありました。ヒットソングとしてはHOUND DOGのほうがより多く世の中にひろめたのかと思います。

 でも、HOUND DOGに関しては、友達がHOUND DOGのコンサートによく行っていて、その凄さを自慢してましたが、僕は仲間外れになって誘われないコンサートの後に「車でむかいに来い」と、使い走りに扱われ、そのトラウマがあってHOUND DOGは好きにはなれませんでした。

 コンサートやライブは今でも臆病になっています。

 先週土曜日に『ジェーンスーは生活は踊る』のトークイベントのチケットを前売りで買ったのですけど、今回中止になりまして、僕はどこか呪われているんです。

 HOUND DOGのことは許しますが、久しぶりに僕を飲みに誘ってください。誘う勇気があるのならば。

 話題を変えますが

 チェッカーズも人気がありましたが分類としてはロカビリー。一世風靡セピアはパフォーマンス集団。一風堂はテクノに分類するかもしれません。横浜銀蝿は80年代初期にブームがおきましたが、バブルと呼ばれた頃には歌われなくなりました。もんた&ブラザーズ、クリエイションは、その80年初頭にベストテン入りをしていましたが、僕はその頃中学生で「なんでそんなに流行ってるんだろう?」と、銀蠅世代の子供としては謎でした。今思えば大人には評判がよかったのだと思います。

 今回、僕が投票したのは『安全地帯』でした。ちょっと背伸びしていた頃の80年代でしたので『安全地帯』の曲に投票しましたけど、ランクインには至りませんでした。ロック度数が薄すかったです。ストリートスライダーズも押したかったのですが『マスターベーション』でちょっと躊躇しました。

『ザ・モッズ・激しい雨が』『レッドウオリアーズ』も80年代インパクトがありましたけど、時代を駆け抜けていた点については、 BOØWY、THE BLUE HEARTS でした。

 爆風スランプの『たいやきやいた』も注目に値するかもしれませんが、ちょっとド忘れしてたかもしれません。

 


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熟れたノミネート

2019-10-09 09:08:05 | ノミネート(雑記の宿)

 

<ボジュール、アン>

ボンジュール、アン(字幕版)
ダイアン・レイン,アレック・ボールドウィン,アルノー・ビアール
メーカー情報なし

 2016年の作品で、ダイアンレインもその当時は51歳と、熟年齢を設定した映画。英米合作で舞台はフランスと、『リトルロマンス』を初め『トスカーナの休日』など、合作ものにはことかかない女優のダイアンレイン。

 内容は、フランスカンヌで映画の買い付けに来た米国人の映画製作プロデューサーのマイケルと同行した妻のアン(ダイアンレイン)をビジネスパートナーのジャックとふたりでパリまで行かせるという内容。当初はマイケルとアンだけ、飛行機に乗って行く予定だったが、耳の調子が悪くなったアンは急きょ、ジャックの自動車でパリまで行くことになった。

 フランス人のジャックの自家用車は1時間おきに給水するほどの古びたオンボロカーで、それに乗ってパリまで移動するという珍道中。ジャックはフランス料理の紹介と観光案内をアンに対し積極的に行い、最終的にはアンに自身が抱く好意を伝えます。浮気心を揺さぶられた映画でしたが、ジャックの想いはいったいなんだったのか?

 アンの夫、マイケルは米国人で映画製作でもヒットを連発するほどの敏腕プロデューサー。一方のフランス人のジャックは、映画のバイヤーといった感じで、いい映画を紹介し、配給する側の立場。箱物で言えば映画館みたいな存在で、ヒットするしないに関わらず、自分がいいと思った映画を人々に振舞っていた。

 作り手と贈り手の間には、当然、儲かる、儲からないといった損得も発生し、暗い過去なども経験します。片方はプライベートジェット機にも乗れるようなビジネスパートナー。自分はというと、オンボロカーに乗ってまでパリに行くような貧祖な立ち位置。互いに熟年齢になった今、その格差を距離と時間で表現していたのでしょう。最終的にジャックは、アンを再びドライブに誘います。一方、マイケルは留守中のアンにフランス人は信用できないと、留守番電話で漏らします。

 ジャックの想い。ほんとうはアンの夫、マイケルと対等に接したかったのかもしれません。

<熟れたアモーレ>

熟れたアモーレ(字幕版)
アンジェロ・オルランド,ベイバ・ズリアプチヴィッツ,ジャンルカ・カルティ,アンジェロ・カルクーリ
メーカー情報なし

 2015年のイタリアンエロス。恋は盲目といったような直に激愛へと突っ走る映画でしたが、設定がスーパー強盗を取り締まっていた刑事とそのスーパーで働く主婦との不倫劇。実際にスーパーに強盗が襲い、刑事もまた、そこで出会った主婦のジュリアナを奪ってしまうという展開になる。

 夫に別れを告白し、そこで口論となったあげくに夫を殺してしまうジュリアナ。それを知った不倫相手のレオナルドは、ジュリアナを連れて逃亡。ジュリアナは自首を望むが、レオナルドは結局は自己保身のために逃げ惑う。悪いとこだけよく目立つといったような今の日本のお偉いさんを見ているような映画でした。

 こんなことを書くとすぐに逆ギレするのが今の日本の現状なのでしょうけど・・・

<熟れた快楽>

熟れた快楽(字幕版)
スヴェン・タディッケン,マヌエル・ビッケンバッハ,アレクサンダー・ビッケンバック
メーカー情報なし

 2016年のドイツ映画。何章かに分けて物語が進み、文学的な作品にも思えた。嫉妬深くサディスティックな夫との間に、人を救うためにポルノ映画を観続ける医師との関係を描く。

<熟れた本能>

熟れた本能 (字幕版)
カトリーヌ・コルシニ,ファビエンヌ・ヴォニエ,ミシェル・セイドゥー,ステファン・パルトネ
メーカー情報なし

 正直、お腹いっぱいで、ここまではまだ観れませんでした。

 


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『毛皮を着たヴィーナス』召使い

2019-10-07 00:37:29 | DQX毛皮を着たヴィーナス

初回

DQX毛皮を着たヴィーナス

前回

『毛皮を着たヴィーナス』交換

 <召使い>

 朝九時、わたしたちは軽馬車でカーペシアン保養地をあとにした。

州の首都について駅までくると、馬車をおりた。

 彼女は毛皮をぬいで、わたしの腕にかけて、自分で切符を買いに行った。そしてもどってくると、

「これ、おまえの切符、グレゴール」

 と高慢な淑女そっくりの語調でいいながら、一枚の切符をつきだした。

「へえ、三等切符!」

「だっち」

 わたしは唖然とした。

「あたりまえよ。これからわたしのいうことに注意してよ。わたしが車室に落ちついて用事がなくなるまで、おまえは汽車に乗ってはいけません。どこの駅についても、すぐにわたしのところへかけてきて、わたしの命令を待つのよ。忘れてはダメよ。さあ、わたしの毛皮をちょうだい」

 あいた車室を探して彼女を落ちつかせると、わたしは彼女の両脚を熊の皮で巻いてやり、湯たんぽのうえに足をのせた。

 わたしは列車が駅にとまるたびに三等車からいち早く飛び出して、彼女のそばへかけ寄って命令を待った。

コーヒーといえばコーヒーを、水といえば水を、すぐさま持参した。

 彼女は同じ車室の数名の男たちを近くにひきよせて、機嫌をとらせていた。

わたしは嫉妬で死ぬ思いをしながら、身を粉にして彼女のために働いた。

 汽車がウィーンに着くと、彼女は贅沢なガウンを買うために途中下車した。

 彼女は温泉に入り、わたしは相変わらず彼女の召使いとして、十歩の間隔をおいてうやうやしく従った。

「温泉に入ったって、ウィーンの温泉?」

「湯布院だっち、大分だっち」

「湯布ウィーン!」

「だっち」

 翌日、そこを出発する前に、彼女はわたしの服を全部取りあげてホテルのボーイにくれてやり、わたしには、お仕着せだといって、彼女好みの明るい青地に黄色い縁取りの付いた服と、橙色のバンダナをくれた。この服が妙にわたしに似合ったとは!

 うるわしい女魔王の彼女は、ウィーンからフィレンツェへ。

 豪華な一等車でふんぞり返っている彼女にひきかえ、わたしは三等車の拷問台のような木製寝台に横たわった。からだがこわれてしまいそうだった。

夜のとばりの くまなくて

かぎりなき 星のまたたき

深きあこがれ いつしかに

夜にしみ入る やわらかく

 

夢のわだつみ 帆をあげて

わがこころ ひたぶるに

君が胸をば 求むなれ

やすらいの 永久のとまりと

わたしはドイツの民謡を口づさみながら、毛皮につつまれて帝王のように満足してねむる彼女の姿を想像するのだった。

 フィレンツェに到着、駅前は群衆、叫喚(きょうかん)、うるさくせがむ運搬夫、辻馬車の客引き、彼女は馬車をえらんだ。

「グレゴール、これ、引き替えの切符、さあ荷物をとっておいで」

 彼女は毛皮につつまれて、馬車におさまってしまった。わたしは汗水たらして重いトランクをつぎつぎに運んでいった。最後のひとつをおろしそこねて、危うく押しつぶされてるところだったが、一人の騎銃兵が手を貸してくれたので助かった。彼女は笑いながら眺めていた。わたしは額の汗をぬぐって馭者台にのった。数分ののち、立派なホテルの前に着いた。

「部屋はあって?」

「はい、ございます」

 とマネージャーはいんぎんに答えた。

「一等室をふたつ。それはわたしの分よ。それから別に召使いの分をひとつ、みんなストーブ付きで」

「はい、一等室のほうはみなストーブがついておりますが、お召使いさまのほうは?」

「ストーブがなくてもねむれるから、いいわよ」

 部屋の検分がすむと、彼女は、

「グレゴール、トランクを運び上げなさい。わたしは、着替えをして食堂へ行ってくるわ。おまえも用事がすんだら、なにか夕食をとりなさい」

 といって、さっさと部屋におさまってしまった。

 わたしは荷物を運びあげてから、ボーイのてつだいをしてストーブに火をたきつけた。

 ボーイはわたしを歓待しようとして、ドイツ語でいろいろと苦労話しをしながら、食堂へ連れて行ってくれて食事の給仕をしてくれた。わたしは三十六時間ぶりで、はじめて口あけの酒を飲み、あたたかい肉をフォークで口に運んだ。

 そこへ彼女が入ってきた。わたしは急いで立ちあがった。

「まア、これはどうしたわけなの。召使いが食事しているようなところへ、わたしを案内するなんて!」

 彼女は怒りに燃えて、給仕をどなりつけると、さっと身をひるがえして出て行ってしまった。

 わたしは食事を終わって四階にあるわたしの部屋にのぼっていった。そこにはみじめな油ランプがひとつ燃えていた。ストーブもなく、窓もない、痛風口がひとつあるだけの屋根裏の部屋であった。わたしはあきれて自嘲的に笑っていると、急にドアが開いて、給仕が芝居がかった身振りで、

「ご主人様が、すぐにくるようにとの仰せでございます」

 わたしは大急ぎでかけおりて、彼女の部屋のドアをノックした。

「おはいり」

 わたしはなかへはいって、ドアを閉めて、彼女の前に直立不動の姿勢をした。

 彼女は心待ちよげに長椅子に腰かけていた。大燭台の黄色い灯火。大鏡の反射。暖炉の赤い焔。織物の外套をはおった彼女は冷然とした表情で、

「よくやってくれたわね。グレゴール」

「はいだっち」

 わたしはうやうやしく頭を下げた。

「もっとこっちへお寄り」

「はいだっち」

「もっと、そばへ」

 彼女はうつむいて、白い手で毛皮をなでまわしていたが、

「織物を着たヴィーナスが、その奴隷を接見するわ。おまえは、夢想家以上の夢想家ね。わたし、そういうのが好きよ。おまえは、むかしの帝国の時代だったら、さしずめ、恋の殉教者よ、フランス革命の時代だったら、断頭台にのぼったジロンド党のひとりというところ、でも、おまえはわたしの奴隷、わたしの・・・・・」

 彼女は急に立ちあがった。織物はずり落ちた。彼女はそんなことにはかまわず、わたしの首のまわりにやわらかく両手をまきつけて、

「わたしの愛する奴隷のゼフェリン!いきな男ぶり、今夜は火の気のない部屋で、ひとり寝とは寒いでしょうね。わたしの毛皮を一枚あげましょうか、かわいいあなたに・・・・・」

 彼女は、すばやく大きな毛皮を一枚取り上げて、わたしの肩にかけて、くるくるとわたしのからだをつつんでしまった。

「まあ、なんてすてき!よく似合うわ。気品が出てきたわ」

 彼女はわたしのからだを愛撫して、接吻した。それがすむと、

「あなたは毛皮を着て、ひとりで喜んでいるのね。早くそれをわたしに返してちょうだい。さもないと、わたし、威厳をなくしてしまうから」

 わたしは彼女に毛皮をかけてやった。

「今日は、あなたは堂々と役割を演じてくれたわね。わたし、うれしかったわ、でも、わたしのことをひどい人と思わなかったこと?ねえ、なんとか返事してよ。____これ、命令よ」

「どうしても、ボクの気持ちをいわねばならないのですか?」

「そうよ」

「それならいいますが、ボクは虐待されればされるほど、いっそう深くあなたを愛します、崇拝します」

 わたしは、彼女を抱き寄せて、彼女のぬれた唇を合わせた。

「わたしがいくら残酷に振舞っても、あなたはわたしを愛してくださるのね」

 彼女はほっとため息をついてから、

「さあ、お帰り!いつまでもおまえがそばにいると、退屈だわ」

 といって、いきなりわたしの耳に平手打ちをくれた。

 わたしは目から火が出たように感じ、耳の奥がぐわーんとした。

「その毛皮を着せてちょうだい、奴隷!」

 わたしは命じられるままに手をかし、できるかぎり一生懸命になって、毛皮を着せてやった。

「なんて不器用な!」

 彼女はまたもわたしの額をぴしゃりと叩いた。わたしの顔は青くなった。

「傷がついて?」

 彼女は白い手で、やわらかくわたしの顔をなでまわし、

「不平をいう理由はないわね、あなたがそうしてもらいがっているんですから、さあ、もう一度、接吻して!」

 わたしは、彼女のからだにしっかりと抱きついて、唇を求めた。そして重い大きな毛皮のなかで抱き合ったままころがった。

___メス熊がわたしを抱きかかえている。四肢の爪がわたしの背中の肉に突きささっている。

 わたしはそんな幻想にとらわれていたが、まもなく彼女はわたしをつき放して立ちあがった。

 「フィレンツェって?」

「火の国だっち」

「フィの国」

「熊本だっち」

「・・・・・・」

 次回

『毛皮を着たヴィーナス』誓約同意書

 


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『毛皮を着たヴィーナス』交換

2019-10-02 16:35:31 | DQX毛皮を着たヴィーナス

初回

DQX毛皮を着たヴィーナス

前回

『毛皮を着たヴィーナス』王子

 <交換>

 数日後、わたしと彼女はたのしいドライブに出た。

すると途中であのロシアの王子のホッピーに出会った。

 王子はわたしのそばにいるのを見ておどろき、不愉快そうな顔をしたが、稲妻のような鋭い目つきで、何度も彼女を見つめた。

 しかし彼女はそしらぬふりをしていた。わたしはそれに気づいて、彼女の前にちかずいて感謝したいほどであった。彼女は彼を一個の木石のように見なして、無関心な一瞥(いちべつ)をあたえただけで、すぐにわたしのほうをむいて、やさしく微笑した。

 その後、わたしが彼女にさよならをいって、部屋を出ようとすると、彼女は急に非常に不機嫌になって、

「逝ってしまっては、つまらないわね」

「わたしの苦しみを短くするのも長くするのも、やめるのもやめないのも、あなたの手のうちにあるのです」

「その強制で、わたしもやっぱり、苦しみをうけているのよ、そうは思わないこと?」

「それなら、苦しみをやめてわたしの妻になってください!」

「それはダメよ」

「どうしてですか?」

「あなたはね、わたしの夫になれる人じゃないですもの」

 わたしは、やむなく部屋を出たが、彼女はわたしを呼び戻そうとはしなかった。

 ねむれない一夜。

 わたしは、ああも思いこうも考えたが、気持ちがきまらず、一夜を過ごしてしまった。

 そして朝になってから、わたしたちの関係を解消するという宣言の手紙を書き、封蝋(ふうろう)を溶かして封印した。わたしは、ふるえる手でそれを持って、二階へあがっていくと、彼女の部屋のドアは開いていた。彼女は、髪にカールをつけるための髪でいっぱいになった頭をつき出して、

「あたし、まだ髪をゆってないのよ」

 といってから、わたしの持っているものに目をとめて、

「なにを持っていらしたの?」

「手紙です」

「わたしに?」

「そうです」

「わたしに別れようというのね」

「きのう、あなたはボクのことを、あなたの夫になれない人だとおっしゃったではありませんか」

「そうよ、今でも同じよ」

「それなら、それでいいです」

 わたしは全身をふるわせながら、その手紙を彼女に渡した。が、彼女は冷ややかにわたしを見つめて、

「いまのままでいいのよ。あなたが男としてわたしを満足させるかどうかは、問題ではないってことを、あなたは忘れているのね。奴隷としてなら十分にやれるわよ」

 そして彼女は、いいようのないひどい軽蔑の身ぶりをして、つーんとして、

「二十四時間以内に、あなたの身の回りをきちんと片づけてちょうだい。明後日、イタリアへ旅立つから、あなたはわたしの召使いとして行くのよ」

「ヴァンダ!」

「親切さは絶対に許しませんわ。わたしがベルを鳴らさないかぎり、わたしの部屋へはいらないこと、話しかけられるまではじっとだまって待っていること、あなたの名前はゼフェリンではなくて、グレゴールよ。わかって?」

 わたしは怒りにふるえたが、拒否することができなかった。それどころか、かえって不思議なたのしみと刺激を感じた。

 翌日の夜更けであった。わたしは大きなストーブのそばで、夢中になって手紙や書類などを整理していた。秋は急に深くなっていた。

 とつぜん、ムチの柄で窓の戸をノックする音がした。急いで窓を開けるてみると、彼女が貂の毛皮のついたジャケットを着て、カテリーナ女帝好みの貂の毛のコサック帽をかぶって立っていた。

「用意はととのいましたか、グレゴール」

「いえ、まだです、ご主人さま」

「その言葉はいいわね。これからは、いつもわたしをご主人さまと呼ぶのよ。明日の朝は九時に出発よ。それから、わたしたちが鉄道に乗ったら、あなたはわたしの奴隷よ。さあ、窓を閉めて、ドアのほうを開けてちょうだい」

 彼女はわたしの部屋にはいるなり、皮肉な調子で、

「わたし、どう見えて?気に入った?」

「あなたは・・・・・」

「だれがそんな言葉づかいを許しましたか!」

 彼女はムチをふるって、びゅーんとわたしを打ちすえた。

「非常にお綺麗でございます。ご主人さま」

 彼女はうれしそうにほほえんで、

「ひざまずいて、ここに」

 といって、わたしを椅子のそばにひかえさせた。

「わたしの手に接吻を」

 わたしは彼女の冷たい手をとって、うやうやしく接吻した。

「口にも」

 わたしはたちまち感激して、この残酷な美女の唇や頬や額や腕や胸に灼熱の雨をふらせた。彼女もうっとりとして、熱情的に雨をふらせた。

 次回

『毛皮を着たヴィーナス』召使い

 


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