遥か彼方へ

行きかう年は旅人なり
いずれの年よりか、片雲の風に誘われ漂泊の思いやまず
我、前だけを見据え最期まで走らむ

美ヶ原高原美術館へ

2022年08月03日 | 評論

7月30日(土)

 

朝の5時ごろ。

▲ 標高が日本一高い道の駅・美ヶ原高原 の朝

 

 

▲ 山並みに面した駐車場から

 

 

▲ クルマがすでに集まってきている。

朝方の外気温は17度C。十分に涼しい (笑)。

夜中に少し雨が降ったが。今日は晴れて、夕方にかけてまた雷雨の予想。

朝食を作って食べて、朝9時からの野外美術館の開場を待つ。

 

▲ 一番で入場。

大人1000円(ネット割引で900円)。

 

▲ 地図

中央の道の駅の建物から入場して、右手を周って右手上のビーナスの城まで行く。その後は左手へ反時計回りにめぐって戻ってくる予定だ。

ここは、標高2000m雲の上のアートリゾート「美ヶ原高原美術館」。

大パノラマが広がる4万坪の展示場に350点あまりの現代彫刻を常設展示しているユニークでスケールの大きい野外彫刻美術館だ。ボクには2011年10月以来の訪問。

 

▲ 愛のモニュメント Monument "Amore"  新谷琇紀

ボクは左端の2体がいいな。

 

▲ 翔ける女 翔ける男

空に向かって翔けるような、この躍動感がボクをワクワクさせる。

 

うしろから眺めると、

▲ 妙にリアルな男女像が有って・・

 

 

▲ 家族 Human Family  1972  菊池一雄

家族という題だが、英題では動物ではなくHumanと断っている。「人間の家族とは」を表現したかったのだろう。平凡な顔の男女、女は逞しそうな表情だが男はお疲れモードにも、女は男を掴み、真ん中の赤子の手もさりげなく握って。この人間形態(夫婦?)は永遠か? 製作時から50年も経ったからな。

 

オオッ、あそこに

▲ すくっと立つ6m余の巨大な像

 

 

▲ うむう、圧倒的なボリューム

 

 

▲ アイアン・レディー Iron Lady  1982  関正司

ご立派です!

1982年の製作だから、当時の英国首相、鉄の女と異名のあったマーガレットサッチャーを想定してるのだろうか。

 

 

 

▲ 寄りかかる2体の像が置かれている。

 

 

▲ 壁に、脚を投げ出して寄りかかる男女

その肢体はひび割れて、ところどころが損傷、欠けて、崩れている。

 

 

▲ 時の残像 と名付けられた。

一気に解釈を試みるなら、二人の男女が共有してきた記憶、体験も、時を経ていけばボロボロに風化、崩れ去る・・ということを表現したかったのか。

 

 

▲ そして、二人は、今空を見上げて、何を想っているのだろうか。

見上げる先に、何かポジティブなものを見出したいが、見上げる方向も微妙に、異なっている・・

 

 

▲ 今、ボクが眺めるのは道の駅の駐車場(笑)。

 

 

 

▲ 書斎机の人 Man at Writing Table  1986  ベルト・アンテンシュタイン 独

かなりご高齢の人が、椅子にもたれて脚を机に投げ出している。何か大事なモノを握りしめ、考え込んでいるようだが、その表情は苦痛にさいなまれているような・・

ドイツ哲学は観念論。あたまでっかちで、考えなくても良いことまで考えて悩んで・・なんか役に立つの?

これ、ボクじゃないの。

 

 

▲ ビーナスの城

展示場の一番高台にある建物。

 

 

▲ 中に入って見ると、センターホールにはステンドグラスに囲まれた、ミロのビーナス像が。

 

 

▲ 塔の上に上ってみると

360度の大パノラマが広がる。

 

▲ 屋外展示場の全景

向こうの駐車場をズームアップ

 

▲ Harmony が。

まだこの時は駐車空があった。

 

中央分離の橋を渡って、左部分に移動する。

▲ のぞみ Nozomi  1968   清水多嘉司

空を見上げて、彼女が今何かを望んでいる との解釈か。両手を腹に当てているから、出産の望みかな。

 

そして、この蠱惑的な女性像は

▲ 両脚を大胆に押し曲げたポーズで

先のミロのビーナスも両腕が無かったが、あれは元は有ったが発掘時に失われたもの。この女性像は初めから両腕は作成されなかった。製作者の意図・関心はこのボディだけにあると言うことだろう。

 

 

▲ 大胆なポーズにも拘わらず、その顔はあどけなくも見える

 

 

▲ うっすらと、笑みをうかべて、恥じらうこともなく、前方を見据えている。

 

 

▲ ここまで撮るかよ、のアングルだが、追求心が強いもので (笑)。

臀部が、異常に強調デフォルメされている。

 

▲ 製作者は非常に心理学的な題を付けている

「心象」は心の中に秘めた形のはっきりしないイメージ・像。それに対して「表象」とは「心象」が外に現れ出たもの。それを美術作品と呼ぶかも。附された「中間距離」とは? 日本語は漢字が意味内容を含んでしまうので却って真の意味混迷になるが、英語はもっと直截なので英語から考察。 ”Appearance” とは、とにかく外に現れた「見かけ」。製作者の「心象」風景には、魅惑的な女体と清楚な表情が矛盾的に混在している。しかし、混在イメージのまま(思ったとおり)「表象」させると、この像になりました。この「表象」されたボディは、現実的には有り得ないもの。だから、現実>表象>心象の距離関係になる。現実と心の中の中間に有るものとして、この彫刻像を理解してください。ということか?

ああ、疲れた。

次、行こう (笑)。

 

▲ 雲 The Clouds  1986 市村緑郎

手を真っ直ぐ伸ばして擬人化された三つの雲。ドンドンと流れていく雲。背筋をピューッと伸ばして飛んでいくスピリットに惹かれる。

 

鏡面のような金属を打ち付けたオブジェがあった。

美しい彫刻像に触発されて

▲ 自分を映してみる気になった。

ああ、残念。きわめて貧弱、矮小化された自分が写った。(笑)

 

一番左端にある最大の建造物。

▲ マイ・スカイ・ホール(天をのぞく箱) My Sky Hole  1981-82    井上武吉

 

 

 

▲ ボクも箱の中から、天をのぞいてみた

覗いている自分が見えた。

 

もう一つお気に入りを

▲ フライングマン Flying Man 1986   佐脇健一

 

 

▲ 昔から空を飛ぶことは人類の夢

ボクも幼少の時から、よく自力で空を飛んでいる夢をみた。そのくせ高所恐怖症てのが笑える。

 

さあ、彫刻像も最後に近づいてきた。

コンクリートの壁前に、置かれた像があった。

 

▲ レダ Leda  1980     桜井祐一

恍惚感に浸る?女性

「レダ」を検索してみると、

ギリシャ神話で、スパルタ王テュンダレオスの妻。 白鳥に身を変えたゼウスと交わって卵を産み、それからヘレネ・ポリュデウケス・カストル・クリュタイムネストラの四子が生まれたという。

 

▲ うむ、ゼウスとの夢幻の時か・・

芸術だ。

 

 

▲ マリリンモンローも顔負けの モーレツ!! (ジジ、ふるくせーな)

で、お題は

太陽讃歌 Hail to the Sun    1982   桑原巨守

太陽を見上げて讃えるあまり、お召しもめくれ上がったということか。いいんじゃない。

 

さあ、終わった。

鑑賞し、思索し、堪能したね。

Life is short. But art is long. だね。

 

 

▲ 道の駅・美ヶ原 へ戻る。

2時間ほどのウオーキングに。

 

 

▲ 時は11時、駐車場は満車状態。

 

 

▲ うしろの高台が美ヶ原高原美術館だった。

さて、お昼を食べて、午後からは高原美術館のさらに後ろの、牛伏山を遊歩しよう。

 

To be continued...

(無断転載自由)

 



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