-写真の部屋-

奥野和彦

ボックスシート

2013-10-15 21:37:43 | 写真
131015
昼に入ったマクドナルドで
左斜め前方5mほどの席に座った50歳代の
スーツ姿の頭の7:3もポマードでビシッと固めた
バリバリのサラリーマン風おじさんが、お待ちの
番号札2番をテーブルの上に立てて、先に受けとった
と思われるソフトクリームをもの凄い勢いで
食べ始める。というか舐め始める。
ぐるりぐるりと手首を回し溶けて流れ落ちる間もない
ぐらいに、夢中で食べている。よほどソフトクリームが
食べたかったのだろう。あっという間になくなって
店員が番号札2と引き換えに置いて行ったのは
カゴメ野菜生活とフィレオフィッシュであった。
そのおじさんがソフトクリームをおいしそうに
頬張る様を昔の私だったら、これぞ決定的瞬間と
写真に撮ったし、そういうことでトラブルになったりも
したが、今はそこに写真的興味は無いので目で見て
観察して終わりにする。

今度は急行キハのボックスシートに乗りたいと
EIZOU君が言っている。私もそうしたいが
『阿房列車』のなかに
「…そうすると私(百閒先生)と山系は同じ方を
向いて並び、気違いが養生しているような事になる」
とあって、初めて読んだ時には吹き出したが
今、EIZOU君と自分が、そう広くはないキハの
ボックスシートに2人並んで首からカメラを
ぶら下げて窓外のあらぬ方向を眺め、座っている姿を
想像すると笑えない。
前時代の文章の引用なので差別用語は勘弁頂く。

ボックス席には座りたいがEIZOU君、
せめて窓際に2人が向かい合って座るような券の
買ひ方をしませう。進行方向に向かってどちらが
座るかはじゃんけんなり、道中の半分ずつなりに
すればよろしい。