-写真の部屋-

奥野和彦

にじ

2021-07-14 20:44:01 | 写真


青春時代の事とか思い出したりした時に
甘酸っぱいだとかほろ苦いだとか形容するけれど
本当にそれはよくぞ言ったと言うぐらいぴったりした表現だ。
これは他所の国でもsweetであり、bitterで表現されるのか。
人の脳なのか五感を超えて何かあるのか、
理屈では説明出来ないような事が起きる事がある。
例えば風の便りだとか虫の知らせだとか。
なんか文章が変で上手く書けない。

昨晩は久しぶりに夢を見て
しかもロングストーリーであった。
EIZOUくんが荻窪だか三鷹だかの知ってる写真屋で
写真を展示するスペースがあるから紹介してやる
と言うので一抱えのプリントを持ってついて行く。
「今だにこんな場所があるのかって見つかるとやばいんで
ちょっとディープな場所にあります。」
と言って商店街から段々奥の方の路地裏に入って
もう来た道分かんねえよってな頃に現れた
これが本当に昭和時代の大き目のDPE屋さんで
店内はなぜか薄緑色で壁も応対のテーブルも椅子も同一色。
まだコニカカラーや欽ちゃんの幟が立っている。
自分の昔の写真屋のイメージがそうなのだろう。
EIZOUくんが店長さんと呼ぶ男に紹介されるも
「今ちょっとお客が立て込んでるんで」
と椅子を勧められる。
じゃあ私はこれで、とEIZOUくんは何故かニヤリと
笑いながら一人で居なくなってしまう。
だから、帰り道分かんねえんだけど、と思ってももう居ない。

待てど暮らせど店長が戻らないので
仕方なく写真が展示されるという隣のスペースに
その時かけてある写真を見ようと近寄って行った所
数人の人がいて
その中に中学校の頃に好きだった女の子がいて
久しぶり、でも、
えーマジぃ?でも、
うっそー!でもなく
つつーっと近寄ってきて
普通にあの頃のまま話しかけてくる。
「ここに写真飾るの?
その、手に持ってるやつ?
あれからどうしてたの?」
やっと一応長い時間を経てるような会話にもなったような
でも、あの当時のままのたどたどしさで
夢だから定かで無いが
そこでお話は終わっているようだ。

それで朝起きてみると
甘酸っぱくて、
今日の夢でもそうだった、昔もそうだった。
もっとちゃんと、もっと一杯
話をすれば良かったのに
聞いておくこともあっただろうに
もっともっとと思えば思うほどはかなくて
ほろ苦い。

で、まだその余韻の残る朝のうちに
なんとEIZOUくんからメールが来て
まあ、ただのご機嫌伺いなんだけど
昨夜は君が出てくる夢を見たら
こうしてメールが来たりする。
人って不思議なもんだよねとメールを返した次第である。
あの後、どこへ行ったのかね。