今日、急に思い出した小説がある。
芸術家ではないが
芸術家になりたいと思ったことはある。
中学校の教科書の中で
太宰治の短編『畜犬談』というのが教材に使われていた。
その中に
「芸術家はいつだって弱いものの味方だったはずなんだ」
と主人公が言うシーンがあって、
それなら芸術家も悪くないなと思ったのだ。
画家、写真家、音楽家、あらゆる家があるけれど
弱いものの味方どころか、いかに作品を売って
人並み以上の生活をするか、しか考えていない芸術家が多くて
本来芸術家はお金とは反対側にいて
弱いものの味方をしてくれるはずだったんだが
芸術家=金満家になっている。
芸術をする人だって人間だから
屋根の下に暮らして、食べ物も食べて、乗り物にも
乗らなければならないから
まず売れるようにならなければいけないと努力するうちに
売れることが目的になってしまう。
そうすると、本当にしようと思っていたことを
忘れてしまったり、捨ててしまったり。
私は芸術家ではないが
その後の学業において課される作文や論文に
『畜犬談』は大きな影響を与えた。
文章を書く宿題、提出物、卒論などは
いつも無駄に評価され、大学生の友人の夏休みの課題を
代筆したものも、ゼミの教室で彼は朗読させられ
大会に出すからもっと書けと先生に言われて
どうしてくれるのだと恨まれたことがある。
『畜犬談』読んで見たい人はここで読めます。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/246_34649.html