-写真の部屋-

奥野和彦

余韻

2006-05-22 21:25:50 | 写真
060522b私の蔵書の中に山渓カラーガイド日本の私鉄1(昭和51年発行)というのがあって、その中の「上毛電気鉄道」のページは粕川駅の上り下り列車の交換風景が写っている。2月に自分が赤城に行って、その上毛電鉄にちょっと乗ってみて、もちろんその本の写真は頭の中のどこかにはあったのだが、駅名も憶えちゃいないし、ちょっと乗ってちょっと降りた駅で、ああ、こんな風だったぞと撮った写真が粕川駅であったことに今日、気がついて本を開いて確認した。データによると写真は昭和51年に撮られている。だからその写真と30年の時間をへだてて僕がその駅に降り立って偶然同じような写真を撮った事になる。今、きちんと見てみると、多分鉄道写真家の廣田尚敬さんは僕と反対側からホームを見ていて、僕はその写真の中で人が渡っているホームの下から撮っている。この写真集の何が好きかというと、列車が写っているだけなのではなくて鉄道を舞台として人間の暮らしが写っている写真が多いという所なのだと思う。鉄道おたくと笑われもするが、僕に人の暮らしを切り取る面白さを教えてくれた、大切な本なのだ。鉄道というジャンルを超えて、他の写真集とともに僕の書棚から消えることはない。同時にこんな鉄道の撮り方の出来る廣田さんを尊敬する。僕が降り立ったのは平日の学生たちが家に帰る時間だったと思うが、昭和51年ほどの活気はホームにはなかったように思う。ローカルはローカルだけど、過疎というほどの町ではないだろう。だとすれば、人間そのものにいきいきしたものがなくなったのか。明日にでもここにその写真をならべて載せてみたいと思っているのだけれど、営利目的ではないので、許してもらえるものなのでしょうか。いい写真なんだけど…。



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