-写真の部屋-

奥野和彦

映画

2017-06-08 22:19:35 | 写真


どこへ向かっているのか分からない中年男性とその妻が
映画を観に行く。
「美女と野獣」のチケットをもらってあったので
シネコンに向かったものの野獣はこの次にしよう、
なんとなく見ることになったのは

山田洋次監督の「家族はつらいよ2」で
まるでその世代の人たちが観客のほぼ全員で
映画を観て爆笑してはいるが、多分自分たちの普段が
そのまま映画になったものを観て笑っている。
映画の中で夜寝ている間に年寄りが一人死ぬが
映画が終わった時にこの劇場の中で誰かが
死んで動かなくなってるんじゃないかと思った。

妻曰く、「この中で私が一番若いな。」

スクリーンを出た私以上の初老の人たちが
ぞろぞろとトイレに入り
危なっかしいおじさんがやっぱり便器の横におしっこが飛んで
「ああっ!」なんて声を上げる。
その人がそこを離れて手を洗い始めた頃
次のおじさんが入って来て、こぼれているおしっこを靴で踏んで
「ああっ!汚ねぇなもう!」なんてキレている。
全く映画の中のそのままで笑いをこらえた。

主人公の役者さんも笑わせてはいるが
最近、その息子が警察のお世話になって
息子の出ている映画は上映中だったのに間も無く打ち切りになる。
お父さんも仕事自粛などとネットニュースに出ているが
それはそれで「家族はつらいよ」そのままのお話みたい。

何か山田監督は無難な優等生の喜劇を作っているイメージで
昔お仕事で手伝っていた頃を過ぎてからは映画を観ていなかった。
ところが、昨今の作品があちこちに気を遣って問題にならないように
怒られないように作っているのに対して
その隙をついて山田さんは飄々と好きなように作ってる。


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