化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

中国のNEV規制

2019-07-22 | 省エネルギー
新エネルギー車をたくさん生産しなさい、という中国の規制でカリフォルニアのZEV(ゼロ排出車)規制をモデルにしている。

北京の大気汚染解決のため自動車排ガス規制は待ったなしです。その切り札として排ガスを出さない車、いわゆる新エネ車を推進しようと、これまでは電気自動車に補助金を出してました。電気自動車がそこそこの生産台数になった、生産技術がだいぶ進んだということで、自動車メーカーが一定の電気自動車を作らなければならないという規制です。

年間3万台以上の自動車を製造あるいは輸入する会社が対象。
2019年は10%、2020年は12%のクレジットを達成する。

30万台製造しているメーカーは3万クレジット(3万台では無い)が必要です。でこのクレジットは作る車種により変わります。
プラグインハイブリッドならば15,000台。
電気自動車ならば9,000台(電池の容量によって台数は変動)
燃料電池車ならば6,000台(FC出力により台数は変動)

ここでのポイントは通常のハイブリッド車は対象にならないこと。
技術的な難度からFCVはもっとクレジット高い(だから必要台数が少ない)ても良いのではと思います。

この規制は既に実行されているわけですが、思いのほか電気自動車の生産が進まないようです。PHEVを作る技術は中国メーカーにはありません。ましてFCVは無理でしょう。

という事でハイブリッド車をこの規制のカウントに入れるように変更するようです。そのため、中国当局者がトヨタにお願いに行って、ハイブリッドの特許を開放してもらったとか。日経XTECHが伝えてます。


プリウスの優遇策の終わり??

2009-10-04 | 省エネルギー
プリウスに代表されるハイブリッド車や電気自動車が省エネ、CO2排出削減に寄与するという理由で数々の優遇策を得ているのは洋の東西を問いません。確かにそれは良いことではあります。優遇策を講じているのは、この手の車の普及を後押しするためですから、ある程度の台数が普及した段階、優遇策を継続する財源がなくなってしまうと優遇策は終わるのもやむを得ません。さて、ある程度の台数とは、いかほどのものでしょうか?

カリフォルニア州では来年末に85000台のプリウスステッカーが期限切れになるそうです。ステッカーとはバスレーンのように優遇されているレーンを走るための証明書です。
HOVレーン(High Occupancy Vehicle)というのだそうで、2人以上乗っているマイカーが優先的に通れる車線のことです。渋滞時にこのHOVレーンを走れるのは便利が良いですからね。プリウスは一人しか乗っていなくても、その省エネ効果からHOVレーンを走ることができました。(余談ですが、一人乗りプリウスは省エネ効果はありますが、渋滞緩和にはあんまり寄与しませんね。)

ところがプリウスがどんどん増えてきてHOVレーン(カープールとも言います)が込んできたら、一人乗りプリウスをあんまり奨励できなくなります。
そこで、カリフォルニアではHOVレーンが込んできたら、ひとり乗りプリウスは一般レーンに戻るように道路標識に表示させる、などの案が出ているそうです。あるいは一人乗りプリウスは別に料金を取ってHOVレーンを走らせる、というアイデアもあるそうです。

また、バージニア州ではI-66でのハイブリッド優遇策の期限が今年中に切れるのだそうですが、再延長されるだろうとの見込みだそうです。

さて、関連して笑ってしまうのがGMの提案で、65mil/gal以上の燃費の車のみにステッカーを上げようというものです。65mil/galは27km/lです。プリウスやインサイトの燃費はこれを下回るが、GMボルト(プラグインハイブリッド)は230mil/galなのでこの基準をクリアーできると主張しています。

GMさん、まだ市場に出てもいない車を引き合いに出すのはいかがなものでしょうか。更に、バッテリーが切れてハイブリッドモード走行でのボルトの燃費はプリウス、インサイトに及ばないのですから、その瞬間からHOVレーンから出なければいけませんよ。バッテリーが切れたらアラームがなって直ぐにHOVレーンから出ましょうという表示が車内に出ると同時に車外から見てもあのボルトは電池切れになったということが分かるような表示が必要ですよ。そういう機構を車の中に入れ込んだ上で発売するんでしょうね?

電気自動車

2008-12-14 | 省エネルギー
今日の日経新聞に電気自動車に関する特集記事があります。多面的に書かれていて分かりやすい記事だと思います。電気自動車と(ハイブリッド)ガソリン車の走行時の効率の比較、自動車の製造・使用・廃棄までを通じてのCO2排出量を比較するライフサイクルアセスメントでの比較、さらに材料・原料のアベイラビリティの観点をあげています。

単に走行時のCO2排出量のみを比較しているのではない点がよいですね。
あたしの意見は、電気自動車の導入には賛成ですが、それですべてが解決するというものではありません。

考えてみれば、日常生活に使われるものはほとんど電化されてきました。家庭内で燃料を使っていたのは、炊事、お風呂、暖房です。炊事をみればIHヒーターが普及してきました。オール電化で無い家庭でも、安全のためにIHクッキングヒーターを導入する人が増えていると聞きます。炊飯器はほとんど電器でしょう。お風呂はまだガスや灯油を使っている家庭のほうが多いですが、暖房は電気毛布や電器コタツ、エアコンなど電気機器を使っている家庭がほとんどでしょう。

鉄道も蒸気、ディーゼルから電車になりました。そう考えると電化の流れは時代の必然のような感じですから、自動車も電化されるのは不思議ではありません。もっとも、船や飛行機まで電化されるとは思いませんが。

この日経の記事に突っ込みを入れるとすれば、二つ。効率比較の数値の取り上げ方がちょっとおかしいこと、走行可能距離に触れていない点です。

エネルギー効率の比較のデータとして、慶応大学清水教授の試算(電気自動車とガソリン車の比較)と三菱自動車の試算を載せています。清水教授の試算のほうが大きく取り上げられていますが、どう見ても比較の数値は三菱自動車の試算のほうが妥当と思います。電気自動車の効率は28.5%、ハイブリッド車は24.8%というものです。まー、ほとんど同じだが電気自動車のほうが少し効率が良いのでは、といった感じでしょうか。清水教授の試算は電気自動車はガソリン車より3倍効率が高い、というものですがこれは誤解を生む数値です。

どうして三菱自工よりも清水教授のデータを大きく取り上げているのか、その点は解せません。三菱自工が「あんまり自分のデータを前面に出さないで」と遠慮したのか、清水教授が自分のデータを中心に据えろと言ったのか、あるいは編集者の判断なのか。

記事で触れていない観点に走行距離があります。
あたしの例で恐縮ですが、自家用車の使い方はこんな感じです。平日は時々通勤に使うので、10km程度。週末は買い物、子供の用事、ドライブなどで50kmくらい。夏休みや冬休みは帰省や旅行で500kmくらいの走行です。
ここで電気自動車に乗り換えようとしたときの問題が出てきます。電気自動車の弱点のひとつに走行距離が短いという点があります。そう、電気をためるのはなかなか難しいのです。現在は一回の充電で100kmくらいでしょうか。

そうすると週末の用事には耐えられますが、夏休みの旅行にはいけません。そのときにはレンタカーを借りればいいかということになりますが、国民の多くが旅行に出かける分だけレンタカーを準備するのもどうかという感じです。

以前ロサンゼルス空港の駐車場に充電用のスタンドが50台くらい並んでいる光景を見たことがあります。実際に充電している車は2-3台しかありませんでしたが、電気自動車が浸透していく風景を見たような気がします。

なんでもこれで決まり、となるような技術や製品はありません。電気自動車もその利便性と高効率を生かせる場所で活用していくことが大事です。


省エネの本質

2008-12-09 | 省エネルギー
面白い本を読みました。武田邦彦著「偽善エコロジー 環境生活が地球を破壊する」という題名です。確かに最近では、国や地方自治体、そして企業までが環境とかエコをキーワードに使っています。全てのことがエコとか環境に良い方向で無ければいけない、という強迫観念的な感じです。確かに、エコや地球環境を保全することは大事ですし、それに真正面から反対する人はいないでしょう。

ところが、企業や自治体などのうたい文句を聞いていて、それって本当に環境保全になるの、エコや省エネにつながるのかね、と首をひねりたくなるような気分になることが多々あります。
国の補助金申請時にはとにかく環境に良い、CO2排出量削減に寄与するという言葉を入れないとまず採択されないので、とにかく何でも良いからこのフレーズを入れておくなどなど。

この本は、生活者にかかわる身近な事例を取り上げて、その行為(例えばレジ袋追放運動など)が本当にエコにつながっているのかどうかを検証しています。
そしてほとんどの事例はエコではなくて単なるエゴという判定を下しています。

一読しての感想は、今まで釈然としなかったことがなーるほどとずいぶんと納得できた、ということです。如何に大企業や役所が自分たちの都合でいい加減な運動を推進しているものだ、と合点がいきます。
またこの著者は国や大企業を敵に回してここまで主張するのは、大変なものと感心します。

数年前ですが大学の恩師から「少しまじめに家庭でやっているリサイクル運動を検討したら、何もしないことが一番いいという結論に達した」と聞きました。とある学会にかかわる検討結果なのですが、さすがにそのまま発表するわけにも行かず、困ったということでした。
古紙のリサイクル、プラスチックのリサイクル、牛乳パックのリサイクルなどが、家庭でできる省エネ省資源のための運動として推進されています。ですが、無駄な労力、資源を使ったリサイクルなどせず、ごみとしてそのまま燃やし、そしてその熱エネルギーを回収するようにするのが一番効率的という結論だそうです。
こういうとプラスチックなど燃やしたらダイオキシン問題が起こるのではないか、という反論が必ずありますが、焼却炉の運転をダイオキシンが発生しない温度領域で行えば良いですし、現実にそういった焼却炉が導入されているそうです。

この本の著者は、レジ袋の追放はその原料となる石油の使用量減少に直接的にはつながらない。逆に、マイバッグを新たに作らねばならず、さらにレジ袋で代用していたゴミ袋も新たに作らねばならないので、石油の使用量は増えてしまうと主張しています。
レジ袋追放を推進しているのは、レジ袋費用が削減できるスーパー、マイバッグが売れると儲かる人たち、これに役所が加わっているが、何れも自分たちの利益につながることが追放運動の推進力になっているとしています。

最近は余り聞かなくなりましたが、割り箸の使い捨て使用を止めるといった運動についても、割り箸の使用が貴重な森林資源を浪費している野ではなく、割り箸を使用したほうが森林の消費と再植林という循環に寄与するので良いこと、と主張しています。

ほとんどの主張には同感です。ただ、一つ納得できない部分があります。水の使用に関する項などに顕著ですが、全体の使用量に対する削減量の寄与が1%未満のような小さな方策をやっても意味がない、と片付けていることです。確かに、手洗いの時にこまめに水道を止めるとか、シャワーを出しっぱなしにしないなど、効果の小さい方策はあります。それによって水不足や水にかかわる資源の保全が出来るわけではありません。しかし、省エネ、もっと言ってしまえば石油使用量削減のためにこのような小さなことを生活者がやることは意味があるでしょう。
著者の主張したいのは、このような小さなことさえやっておけば環境保全は大丈夫と思い込ませるような、国やマスコミの考え方は間違っている、といいたいのでしょう。

マスコミや各種の広告で環境に配慮した、あるいはこの環境を子供たちに残す、なんていうコピーを目にすると実はその裏で違うことやってんじゃないの、と益々疑ってみたくなります。


電球型蛍光灯とLED

2008-06-15 | 省エネルギー
少し前の話しですが、政府が期限を決めて白熱電球の製造を中止する方針を打ち出しました。発光効率の悪い白熱電球は近い将来なくなるようです。それでは今使っているトイレの電球が切れたらどうするか、電球型蛍光灯に変えることになります。

白熱電球に比べて蛍光灯のほうが発光効率が高いのは周知のことです。日本ではトイレや廊下などを除いて、ほとんどの部屋の照明は蛍光灯です。これに対して、アメリカの住宅ではいまだに白熱球を使っているところが多いはずです。彼らは間接照明を好む、という事情はありますが、一番の理由は白熱球が一番安いというてんです。

しかし寿命を考慮すると蛍光灯のほうが安いんだよ、とアメリカの知人に聞いたところ「私もそれは理解している。でもアメリカには寿命を考慮して電球のコストを比較できない人が多いのさ」ということでした。

最近では蛍光灯よりもさらに効率のよいLED照明の使用も始まっているようです。そこで電球メーカーのHPから寿命や効率の数値を拾って比較してみました。価格は量販店のHPのものです。

白熱電球60Wタイプ
電力 54W
寿命 1,000時間
価格 115円

電球型蛍光灯(60W相当)
電力 10W
寿命 10,000時間
価格 1,080円

LED(40W相当)
電力 5.3W
寿命 20,000時間
価格 7,480円

これら3種をおよそ1年に相当する10,000時間使用したときの電球代金と電気代を計算します。

白熱電球
電球代 10個で1,150円
電気代 540kWhで11,880円(kWhを22円で計算)

電球型蛍光灯
電球代 1個で1,080円
電気代 100kWhで2,200円

LED
電球代 0.5個で3,740円
電気代 79.5kWhで1,749円(60W相当で計算)

まずびっくりするのは、白熱電球の電力消費量、電気代が高くつくことです。合計のコストも飛び抜けて高くなっています。白熱電球の使用をやめようというのも無理はありません。確かに白熱電球に代わるものがあるのですから。
LEDは確かに省エネなのですが、LED球の価格がまだまだ高いこと、40W相当の明るさまでしか出せないことなどの課題があります。
現状では電球型蛍光灯が一番安上がりで省エネ性もよいという結論になります。

自家用車の燃費

2007-04-02 | 省エネルギー
ハイブリッド自動車や燃料電池自動車の話題には必ず、燃費が取り上げられます。自動車本体の燃費もさることながら、燃料を作り運ぶ段階まで含めたWell to wheelという言い方もありますが、一般消費者として関心があるのはなんといっても自動車そのものの燃費です。

先ごろe燃費の2006年分析結果が公表されました。E燃費とは実際にマイカーを走らせてガソリンを給油するたびに、その時点の走行距離と給油量(満タン)を携帯電話でデータ管理会社に連絡し、そのデータに基づいて計算されるものです。全国で40万人のユーザーがいるそうで、自分が走行している状態に近い数値が出てくるのが特徴です。

自動車の燃費には60km/h定速走行燃費、10モード燃費、10・15モード燃費などがあります。自動車のカタログには大概これらの数値が記載されています。60km/h定速走行燃費とは文字通り一定速度で走行した時の燃費で、最も大きな数値が出ます。

10モードは市街地を走行することを想定して、アイドリング、発進、定速走行、停止などの10のパターンを組み合わせたモードで走った時の燃費です。15モードは郊外を走行したことを想定した15のパターンを組み合わせたので、10・15モードは10モードを3回、15モードを1回行なうものです。

10モードと10・15モード燃費は実際の道を走るのではなく、ロードランナーの自動車版のような装置を用いて測定されます。無人で走りますが、2人の人間が乗っているのに相当するように重量物を乗せて測るなど、測定上の手順が決められています。60km/h定速走行の半分くらいの数値が10・15モード燃費だといわれています。

話をe燃費に戻します。国産乗用車部門で最も燃費が良かったのはプリウスで19.7km/Lとなっています。二位はホンダシビックハイブリッドで18.8km/Lです。プリウスは1500cc、シビックは1300ccです。同じ排気量のガソリン車の数値はフィット(1500cc)が14.8km/L、フィット(1300cc)が14.4km/Lなので、プリウスは4.9km/L、シビックハイブリッドは4.4km/Lだけハイブリッドの省エネ効果が出ています。

この辺のクラスだと排気量が大きい方が燃費が良いという傾向があります。軽自動車ではスバルステラが17.1km/L、スバルR2Rが16.6km/Lですから、普通車に比べると明らかに軽自動車のほうが燃費が良いですが、ハイブリッドほどの差は無いといえます。

また、プリウスについて言えばカタログ燃費(10・15モード)は30-35km/Lとなっており、実際の走行であるe燃費は随分と小さくなっているものだという感じがします。

家庭用SOFCシステム

2007-02-05 | 省エネルギー
大阪ガスと京セラは共同開発した家庭用SOFC(固体酸化物形燃料電池)システムの市場導入を2008年度に行なうと発表しました。2006年5月のプレスリリースでは出力1kWのテスト機で2000時間運転を達成して実証データを得ていましたが、これを700W出力に下げることで装置の大きさを世界最小クラスにしたといいます。

既に家庭用FCはPEFCで1300台のテスト運転が行なわれていますが、3-4年後追いでSOFCも実用化に向けて開発が進んでいるようです。SOFCは運転温度が750℃と高いですから、電池本体やその周辺部に高温に耐える材料を用いる必要があり、これがPEFCよりも開発が遅れた要因でしょう。

出力を1kWから700Wに下げたのは、その方が運転しやすいためと考えられます。SOFCは高温で運転されますから、運転開始・停止を繰り返すことなくずーっと運転していたい。低出力運転の限界は30%といいます。家庭での電力使用は深夜に最低になりますが、省エネ機器の導入が進んだ現在では300Wをはるかに下回っているといいます。つまり1kW定格出力装置では300Wまでしか出力を落とせないので、深夜には運転を停止しなければなりません。そこで、定格出力を700Wにすれば210Wが最低出力ですから、深夜でもSOFCの運転を継続できるというわけです。

SOFCがPEFCよりも優れているのは、発電効率が高い、したがって熱出力と発電出力の費が小さいことにあります。PEFCの実証試験結果を見ると、夏場では一般家庭の熱需要がわずかに9.7kWh/日であるのに対して、電力使用量は27kWh/日となっており、およそ熱1に対して電気が3の割合になります。つまり熱よりも電気を遥かに多く使っているということです。

ガスエンジンコジェネのエコウィルでは発電1kWに対して熱出力2.8kWで、割合は熱と電気で逆になっています。これではもっと発電したくても熱が(お湯が)一杯になるので発電を続けることが出来ません。SOFCシステムでは発電700W、熱出力470Wだそうですから、より多くの発電をすることが出来ます。つまり装置の稼働率が高くなるわけです。

同じ理由で燃料電池は寒冷地向きといわれています。

公表資料のデータを見ると電気と熱を合計した総合効率では、ガスコジェネ(エコウィル)が88.5%(22.5%+63%)、PEFCシステムは80%(35%+45%)、SOFCシステムは75%(45%+30%)になっています。確かに発電効率が高いのは良いことですが、総合効率が下がっていてはより多くの燃料を使うことになって、省エネ効果が半減します。この辺りが今後の開発課題ではないでしょうか。

SOFCはPEFCに比べて発電効率が高いのは、実証試験結果からも裏付けられています。ところでどうしてSOFCの発電効率は高いのでしょうか。不勉強で原理的にこれが説明できません。


ディーゼル車を見直そう

2006-12-15 | 省エネルギー
今年8月にベンツから新しいディーゼルエンジンの乗用車が発売されました。かつてガソリン価格が1リットル80円とか70円台だったころ、ディーゼル乗用車はそれなりに売れていました。新車販売台数の割合では96年に2.4%でした。ところが2004年には0.1%を下回っています。確かに4WDのランクルタイプ以外でディーゼル乗用車を見かけることはほとんどありません。

ガソリン価格と軽油価格にそれなりの値段差があった時代には、長距離通勤の人は燃料代を考えて少々車体価格が割高でもディーゼル車を購入していました。しかし、石油業界の規制緩和によってガソリンの価格が120円から80円台くらいに下がった90年代なかば以降、ガソリンと軽油の価格差がなくなりディーゼル車の経済有利性がなくなりました。一方、排気ガスのNOxが多い、PMと呼ばれるすすがでる、振動・騒音が大きいなどの欠点が目に付くようになり、減少していきました。

しかし、欧州は逆で2004年にはおよそ半分の新車がディーゼルです。ディーゼルは燃費がよく温暖化ガス排出が少ないことが評価されているからです。また、欧州ではシティ軽油といって比較的排気ガスのきれいな軽油(簡単に言えば日本での灯油)を使用していることもあります。

ディーゼル車の燃費はガソリン車よりも30%くらい良いといわれています。そこでこの利点を生かすために、排気ガスや振動軽減のための技術が開発されています。

95年にデンソーが開発したコモンレールと呼ばれる技術はその代表です。燃料を超高圧で噴射することで細かい霧状にし燃焼を完全にすることで、燃費向上や排ガス、騒音を改善できます。1600気圧という高圧の燃料をノズルから噴射するための容器がコモンレールです。これに電子制御による噴霧技術を組み合わせて最新車種では1サイクル中に5回の噴霧を行うそうです。

排ガス浄化のためには特殊フィルターが開発されています。さらに排ガス循環装置により、温度を下げた排ガスを吸入空気と混合させ、燃焼温度を下げてNOxを低減する技術もあります。

日本でディーゼル車が見直されるかどうかは、ガソリンハイブリッドに対抗できるだけの高燃費、低燃料代を実現できるかどうかにかかっています。

ハイブリッド車の三種の神器

2006-12-04 | 省エネルギー
いまどき三種の神器とは古めかしい言い方ですが、ハイブリッド車を支える三大技術についてです。エンジンとモーターという二つの動力源を有するハイブリッド車は、一般ガソリン車には無い装備を必要とします。それがパワーコントロールユニット、モーター付トランスミッション、大容量バッテリーです。

ハイブリッド車で高燃費、つまり高エネルギー効率が達成できるのは、極めて単純化して言うと次の通りです。
ブレーキ時に発電機を回してバッテリーに充電し、その電気を利用して発進するので発進時のエネルギー消費がゼロになる。エンジンは一定走行時主体の使用になるのでエネルギー効率が最も良く、それゆえに車体の大きさに比べて小さなエンジンでよい。
言葉で表現するのは簡単ですが、これを実現するためにさまざまな技術が開発されています。いずれも小型化・軽量化と高性能化・高出力化のための技術です。

パワーコントロールユニットとはバッテリーに貯められている電力をモーターで使用するために昇電圧したり、逆にワイパーなどの使用のため降電圧したり、直流を交流に変換したりする部分です。初期のハイブリッド車は30Lの容積を占めていたようですが、最新型では約3分の1に小さくなっています。

トランスミッションは発電機、動力分割機構(エンジンの動力を発電機とシャフトに振り分ける)、モーター、2段変速機などです。高出力を得るためモーターは500Vから600Vのものが使用されています。また、高速で高トルクを得るため変速機が装備されています。

バッテリーはニッケル水素で約300Vの電圧を有しています。出力密度と放電容量だけを考えるとリチウムイオン電池(デジカメなどに使われている)のほうが良いのですが、価格や安全性の観点から現在はNiMH電池になっています。

確かに燃費の良いハイブリッド車ですが、一般車との価格差は40万から50万くらいです。6年無いし7年で更新するとすれば、月5000円以上ガソリン購入費が下がらないとペイしません。もちろん、高燃費ゆえの省エネルギー、省資源ひいては温暖化ガス削減という大義名分はありますが、一般消費者に広く普及させるためにはコスト/パフォーマンスを度外視することはできません。

最近注目されているのが、プラグインハイブリッドという方式です。ハイブリッド車といえども走行のための燃料つまりエネルギーはすべてガソリンです。そこで家庭用のコンセントから夜間にバッテリーに満充電して、電気だけである程度走ってしまおうというものです。ガソリンと電気の価格は圧倒的に電気が安く、およそ3分の1程度でしょうか。

トヨタやGMは公式にこのプラグインハイブリッドを開発していると表明しています。ポイントはなんと言ってもバッテリーのようで、リチウムイオン電池を使用することになりそうです。カリフォルニアのエナジーCS社はプリウスをプラグインタイプに改造しています。バッテリーのみで80km走れるといいます。

ハイブリッド車の進化はまだまだ続くということのようです。


アメリカでプリウスを買ったら

2006-06-28 | 省エネルギー
アメリカでプリウスを買ったら、何年で元が取れるかという非常に下世話な話。
もう少し丁寧に言うとハイブリッド車の燃料経済性についてである。やっぱ、普通の人(自動車購入者の多くは普通の人のはず)の感覚ではこうなる。

車種   カムリ  プリウス
車両価格 $20,801 $24,030
雑費     -    $500
免税     -  -$3,150
合計   $20,801  $21,380

ということで車両の合計購入価格はプリウスのほうが$579ドル高い。しかし、カムリの燃費は24mile/gallonでプリウスは44mile/gallonです。年間12,000マイル走ったとしてガソリン価格2.5ドル/ガロンとすれば、プリウスのほうが年間にガソリン代が568ドル少なくなる。ということは、車両購入価格の差をほぼ一年で埋めてしまい、2年目からはガソリン代が568ドル/年だけ浮くという計算になる。

さらに昨年以降の原油高騰によりガソリンも3ドル/ガロンになっている地域もあるので、そこでは年間682ドルだけガソリン代が安くなる計算。

ここでプリウスの欄にある雑費とは消費税、メンテナンス、保険、ローンにかかる費用となっている。あくまでカムリとの差額です。裏返せばカムリのローンの金利は安く設定されている。それはGMやFordが半分やけで金利ただローンなぞをやっているので、それに少しだけ対抗しているということでしょう。

大きいのは免税の3,150ドルです。低公害車、環境に良い車なので奨励しようということで、税金免除(Tax credit)がついています。残念ながらプリウスはこの先奨励しなくても売れてしまうという理由で、この税金免除はもう直ぐなくなるらしい。

そうなるとプリウスとカムリの値差は3,729ドルとなり、年間あたりのガソリン代の差の682ドルで割り返すと、いわゆる元を取るのに5.5年かかることになる。厳密には5年先に払うガソリン代の差額を現在価値に割り引いて、と計算するんだろうがまーそこまでしなくても。
とにかく補助金なしでもプリウスは元が取れるというお話です。



ガソリン消費を減らす涼しいシート

2006-03-07 | 省エネルギー
世の中には面白いものがあるものです。
キャデラックSTSにはガソリンの消費を減らすことが出来るシートが装備されている。

原理はこうです。シート内に二つのファンがあり、シートの縫い目を通して運転者や同乗者の体から出る熱気や水分を吸い上げて、社外に排出する。
こうすることで車に乗っている人は涼しく感じるので、エアコンの設定を下げるので結果として燃費が向上する、というものである。
新たに二つのファンを回すエネルギーとエアコンの一目盛りのどちらが省エネかは、にわかには判断つかないが、DOEのNational Renewable Energy Labolatoryの報告では省エネ効果ありだそうです。
Renewable Energy Laboと涼しいシートはあんまり関係ないと思うが、そういうレポートが出ているそうである。

但し、こんな贅沢な装備のついた車を買う人は他にもいろいろと装備を付けるそうで、たとえばハンドルウォーマーなどがある。これなどは省エネに逆行しているわけで、結局このTSTモデルは省エネになっていないというのがオチです。

米国ハイブリッド車に税優遇

2006-01-20 | 省エネルギー
米国財務省のスノー長官はハイブリッド車と希薄燃焼車に対する税優遇を発表した。

ハイブリッド車を購入するとディーラーから証明書が発行される。これを所得申告時に添付すると税金が還付される仕組み。最大で$3,400になるようである。

米国でもようやく省エネルギー車やCO2排出削減に対して、本格的な取り組みが始まったということだろうか。しかし、ハイブリッドの技術を持っているのは実質上、日本のトヨタとホンダだけではないだろうか。GM製のハイブリッド車は確かにあるが、大分以前からトヨタが技術協力していたように思う。

この税優遇はよいことであり、ハイブリッド車の導入の加速に寄与するはず。しかし、だからといってGMやFordの経営状況改善にも寄与するかどうかは分かりません。
ハイブリッド車と同じような税優遇の仕組みはリーンバーンエンジン車にも適用されるようだ。

やっぱり、ハイブリッド車が欲しくなります。

25kW都市ガスエンジンコジェネ機

2005-12-19 | 省エネルギー
大阪ガスとヤンマーのプレスリリース。両社は25kWクラスで初めてコジェネ機からの排熱の冷房用途を実現した。

コジェネは電気と熱の両方を供給するものだが、大型(2,000kW以上)中型(300kW以上)小型(100kW以上)とマイクロ(100kW未満)に規模で分類される。また、マイクロガスタービンといえば一般に30kW以下というわけ方もある。

熱は通常、給湯や暖房用に利用されているが、冬場で暖房需要のないときや事務所などの給湯需要ですら少ない需要先では、コジェネの導入が必ずしも進んでいない。そこで、夏場等にあまる排熱を冷房用に利用できれば、コジェネの導入が進む。

冷房には排熱投入型ガス吸収冷温水器(商品名ジェネリンク)を利用する。熱(熱いお湯)を使って冷房(冷気を作る)ができるのが、吸収式冷凍機の利点である。
吸収液ラインの吸収器と再生器の間に排熱回収熱交換器を設置し、そこにガスコジェネ機からの排熱回収温水を投入する。ジェネリンク定格運転時でガス消費量が20%削減できる。ということは80%の都市ガスは使用されるということ。

大ガスとヤンマーは平成10年からガスコジェネ機を販売しており、累積で2,700台が福祉施設、病院、飲食店、湯浴施設(いわゆるスーパー銭湯など)、店舗、工場、ホテルなどに導入している。

これまでのコジェネ機では排熱回収温水の温度が65℃-75℃であり、用途は給湯・暖房に限られていた。この温水温度を83℃までアップすることで、冷房用途に利用できるようになった。

今回開発した25kW機は発電効率33.5%、熱回収効率51.0%と高く、定価は798万円となっている。最大で8台まで増設が可能で、総計200kWの発電能力となる。

省エネの切り札としてコジェネ機の導入が進んでいるが、冷房用に利用できることでさらに導入先が広がるものと期待できる。

リサイクル率アップは必ずしもエコならず

2005-10-31 | 省エネルギー
3R政策というものがあります。環境と経済が両立した循環型社会を形成するため、Reduce,Reuse,Recycleを進めようというものです。
まったく同感で使い捨て文化は手軽ではありますが、やりすぎると資源・エネルギーの限界に達してしまいます。したがって、3Rの実行は大事です。

しかし、3Rにも限度があります。やりすぎると返って逆効果になりかねませんというお話です。

しばらく前から、「古新聞・古雑誌・衣類のぼろ」という毎度おなじみのちり紙交換の声を聞くことがなくなりました。古紙の価格が下がったために商売にならないのだそうです。ところが、製紙業界は2000年に古紙利用率56%を達成したといいます。ですから、古紙の回収は増えているのです。誰が集めているのだろうと自分の町内を考えてみたら、自分たちで集めているじゃありませんか。自治会や学校のPTAなんかが主体になって各家庭から集めてまとめて業者に渡しています。

しかもこの自治体やPTAはごみ削減と資源(古紙)回収が目的ですので、古紙の値段が下がったからやめるということはなく、むしろどんどん集めてします。そのお陰で古紙の利用率というのはどんどんあがってきているそうです。
回収可能な古紙の割合上限は65%といわれているので、56%といえば大分限界に来ているといえます。

そこでこれ以上の古紙回収は必ずしもエコ、すなわちエネルギー消費抑制にならないというお話です。

紙の原料はパルプといわれる繊維です。古紙から再生パルプを作るには除塵、漂白などに電気つまり石油等必要になります。

一方、原料木材チップを溶かして化学パルプ取り出すと、後に黒液と呼ばれるものが残ります。この黒液は燃料になりますので、木材チップから紙を作るときには石油等の燃料は必要ないのです。
ちなみにこの黒液は新エネルギーに分類されていて、1999年実績で457万kL(原油換算)も使われています。2010年の新エネルギー導入目標は原油換算1910万kLですが、黒液だけですでに24%を達成していることになります。ちなみに2003年度の原油輸入量は2億4500万kLです。

回収古紙からの再生パルプの使い道ですが、板紙(お菓子の箱など)ではすでに90%が再生パルプからできるそうです。板紙は7層の紙を重ねるそうですが、間の5層は漂白しなくても良いからだそうです。新聞紙などではまだ3割だそうですが、これを今以上増やすと紙質の低下(新聞紙がすぐ破れるようになる)する。強くするために余分な処理をするとエネルギー使用が増えてしまうこととなります。

つまり古紙の回収が今以上に増えていくと、結果として黒液が減り、さらに余計な処理をすることでかえって石油などの使用が増えるということになってしまう。
環境に良いはずのリサイクルですが、限度があるということです。

では回収してもリサイクルできない分の古紙はどうしたらよいのでしょうか。それは素直に焼却炉で燃やすことです。新エネルギー導入政策の中には、廃棄物熱利用という項目があります。つまり、焼却はするが発生する熱は使おうというものです。そうすれば、その分石油が節約できます。でも、CO2が発生するなんていわないでください。紙の原料は木です。木は大気中のCO2を吸収して成長しています。結局、紙を燃やしても大気中のCO2は増えたりしないのです。もちろん、ちゃんと森林が保全されていることが前提ですが。

省エネ製品の利用

2005-10-28 | 省エネルギー
米国環境保護局(U.S.Environmental Protection Agency)は、エナジーシターと呼ばれる高効率製品(省エネ製品)の普及により、一般家庭の電力を約100億ドル削減できたと発表した。これは2500万戸の電力使用量に相当するそうで、ほかの施策もあわせて2003年度にはCO2排出量を5700万トン削減できたという。

アメリカの一般家庭ではいまだに蛍光灯ではなく白熱電球を多用しており、エネルギー効率の悪いことこの上ないですから、こういうことはよいことです。この5700万トンのCO2削減量は非常に大きくホントかいなとも思えます。というのは日本が2000年実績から2010年までに削減する目標値5900万トンとほぼ同じですから。アメリカは日本の4倍のエネルギーを消費しているので、CO2削減量も同じ比率ならば日本の4倍になりますから、この5700万トンではまだ不十分ですが、エナジースター製品の導入効果は非常に大きいものがあるといえます。

日本でも薄型テレビが良く売れていると聞きますが、省エネ機器というメリットを消費者が感じているからでしょう。食器洗い機(アメリカでは10年以上前からアパートでも完備していました)が日本で発売されたとき、食器洗いが楽になるという効果では売れなかったものが、水道(代)が節約できるというメリットを前面に押し出したら、売れるようになったと聞きます。消費者の省エネ意識が高まるのは良いことです。

日本でも経産省が音頭をとって、トップランナー方式という省エネ機器普及を推進しています。これは、エアコン、蛍光灯、テレビ、冷蔵庫、ストーブなどの製品について、現行販売されているものの中からもっともエネルギー効率の高い製品を認定し、ほかの製品をそのトップの成績のものに近づけていく施策です。
省エネ機器の進歩には目を見張るものがあります。たとえば、1991年の冷蔵庫は413Lタイプで941kWh/年の消費電力でしたが、2003年では438Lとやや大きくなったにもかかわらず消費電力はわずか232kWh/年と75%も削減されています。また、エアコンは94年の製品で10畳用で1,499kWh/年の消費電力が、2004年には941kWh/年と37%も改善されています。

これら高効率・省エネタイプの一般電化製品の導入はCO2削減に大きく寄与するものと期待できます。なお、蛇足ながら我が家では財政上の理由によりなかなか省エネ製品の導入が進まないのが現状です。