化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

投票率ワーストワンかも! 静岡県富士市で12%

2005-12-26 | エネルギー
本ブログのテーマとは少しかけ離れますが。

市議会議員の補欠選挙で投票率12%であったとのこと。

いったい選管は何を考えているのか。年の瀬の3連休最終日を投票日にすること自体、投票にこなくていいと言っているも同然と考えなかったのだろうか。富士市内でこれまで過去最低の23%を下回ったことに選管関係者はがっくりとか。
こんな日程設定で23%を上回るはずがないし、そもそも23%を上回ればそれで良しと考えていること自体、常識はずれでしょう。
選管は投票率100%を目指さなければならないし、そのために法の許す範囲ではあろうが、投票率向上の方策を探すのが仕事でしょうに。

もう日本も日曜投票をやめるべきです。そもそも、サービス業や交代勤務で日曜が休日でない人口比率はかなり多いはずです。さらに言えば、投票日を1日に限らず1週間くらいにするとかして、投票率そのものを向上させる工夫をすべきです。カナダなんてやってるじゃないですか。

確かに選挙は国民の権利であり、それを放棄(棄権)するやつの方が悪いとの考えはあるでしょうが、選挙のやり方そのものを旧態依然として踏襲している選管の職務怠慢は批判されるべきです。ただし、選管だけが悪いわけでなく、自治体や議会そのものに責任の大部分はあるのでしょうが。


立候補者2名で有権者の20分の1とか、30分の1の得票率で当選できてしまうことは尋常ではない。



国内最大規模の木質バイオマス発電施設を建設

2005-12-25 | バイオマス
やまがたグリーンパワー(株)は発電出力2,000kWの国内最大の木質バイオマス発電設備を工費15億円で建設します。2006年4月着工、2007年2月運転開始予定です。
これは経済産業省「新エネルギー事業者支援対策事業」として、1/3の補助と90%の債務保証を受けている。

同社は平成 17年7月29日、日本バイオマス開発株式会社(代表取締役社長:鈴木 誠氏)および五十嵐特殊建設株式会社(代表取締役社長:五十嵐 邦夫氏)が共同で設立したベンチャー事業会社です。

燃料となる木質バイオマスとしては、間伐材、道路河川事業樹木、支障木、ダムの流木、松喰い虫被害木、果樹剪定枝等をチップ化して利用し、使用量は年間約 20,000トンです。

燃料ボイラーによる発電においては木質バイオマスは水分量が多いため、乾燥する必要があり(乾燥のためのエネルギーを必要とする)、さらに50t/d程度の施設では発電効率が低く、事業化は困難とされていた。

今回の装置はJFEエンジニアリングが受注し、デンマーク・バブコック&ウイルコックスフェルント社の装置を導入する。
この装置はガス化炉・ガスエンジンの構成です。排熱を融雪やビニールハウスへ供給することも可能としている。JFEエンジによれば装置の特徴は以下の通り。
・ 水分が 35%~55%含まれるバイオマス資源を、乾燥工程を経ることなく直接処理することが可能。
・ガス化炉内部で熱交換が行なわれるアップドラフト式ガス化炉を採用しているため、総合エネルギー効率が高い。
・約 30%の高い発電効率 (総合効率は80%以上のようです)
・ガス化炉は、 10%まで低負荷運転が可能であり、運転のフレキシビリティが高い。
・完全自動化により、少ない保守要員で運転可能。
・独自のガス処理システムにより生成ガスの清浄度が高く、ガスエンジンの長期連続稼動が可能。
・タール含有排水は、独自のシステムで浄化。

ガス化炉方式の課題はタール分をどう少なくし、どうしても発生するタールをどう処分するか、です。また、ガス化材として利用する水(水蒸気)を使用後どう処理するかです。このあたりはJFEが独自技術で対応しているということのよう。

木質バイオマス利用促進は、新エネルギー導入の要でもありますからプラントの成果に注目です。

Cabon Capture and Storage

2005-12-21 | 石炭
大気中のCO2を減らす方法としてCCSがある。これは、発電所や工場の排ガスからCO2を回収してどこかに圧縮貯蔵し、化石燃料の燃焼により大気に放出されるCO2を力ずくで減らそうというもである。

先ごろ、三菱重工はJパワー松島火力発電所(長崎)で「火力発電所石炭焚ボイラー実排ガスからのCO2回収長期実証試験」のための大規模試験設備の建設に着手した。これは、RITE:(財)地球環境産業技術研究機構の技術開発促進事業の一環で、2006年7月から5ヶ月にわたって最適なCO2回収システム構築のためのデータを蓄積する、と報道されている。

排煙脱硫後の排ガスから吸収塔にて化学吸収液にCO2を吸収させ、Rich液から再生塔にてCO2を加熱回収する方法である。処理ガス量は1,750nM3/h、CO2処理能力10ton/dである。

カナダではこのCCSをEOR(Enhanced Oil Recovery)の中に組み込む構想がある。これは、原油生産サイトでCO2を油層に圧力注入し原油生産量を上げる方法である。生産する原油からのCO2発生量のうち、20-67%相当が圧入可能との報告もある。

石炭・石油といった化石燃料を利用しても、実質CO2を排出しない方法を確立するものである。電力分野ではオイルショック以降、石油依存度を減少させるため石炭焚火力発電所を作ってきた経緯がある。また、一般工場ボイラにおいては価格競争力のある石炭ボイラを持つところも多い。ところが、ここにきてCO2発生源単位の大きい石炭は槍玉に挙げられている。そのため、CCSが注目されている。

カナダではConventionalな原油に加えて、OilSandの開発が盛んである。その豊富な埋蔵量はサウジアラビアを上回るとさえ言われている。但し、これらの化石燃料の使用にはCO2排出による制限がかかるので、これをCCSで解決しようということである。

排ガスからのCO2分離・回収技術は既存の技術の応用が可能であるが、回収CO2の圧縮、パイプライン輸送や地中への圧入には技術的問題もさることながら、コスト負担をどうするかという問題もある。また、かなり長い間(100年?)CO2を地中・岩盤に安全に貯めておけるのか、地震などによりリークしないかなど、検討課題は多い。

CO2制限により化石燃料の使用そのものを放棄することはできないので、何らかの対策が必要である。それには、何か一つの特効薬的な方策はなく、いくつかの方策を組み合わせたポートフォリオ的考えが必要である。
エネルギーの使用そのものを抑制する、エネルギー製造ならびに消費の段階で効率を向上させる、CO2発生の少ない方法に移行する(再生可能エネルギー、原子力、CO2回収を伴う化石燃料)、バイオ的にCO2を押さえ込む方法などである。
このような方法の中から、国の事情、その地域の事情にあった最適組合せを模索していく必要がある。

25kW都市ガスエンジンコジェネ機

2005-12-19 | 省エネルギー
大阪ガスとヤンマーのプレスリリース。両社は25kWクラスで初めてコジェネ機からの排熱の冷房用途を実現した。

コジェネは電気と熱の両方を供給するものだが、大型(2,000kW以上)中型(300kW以上)小型(100kW以上)とマイクロ(100kW未満)に規模で分類される。また、マイクロガスタービンといえば一般に30kW以下というわけ方もある。

熱は通常、給湯や暖房用に利用されているが、冬場で暖房需要のないときや事務所などの給湯需要ですら少ない需要先では、コジェネの導入が必ずしも進んでいない。そこで、夏場等にあまる排熱を冷房用に利用できれば、コジェネの導入が進む。

冷房には排熱投入型ガス吸収冷温水器(商品名ジェネリンク)を利用する。熱(熱いお湯)を使って冷房(冷気を作る)ができるのが、吸収式冷凍機の利点である。
吸収液ラインの吸収器と再生器の間に排熱回収熱交換器を設置し、そこにガスコジェネ機からの排熱回収温水を投入する。ジェネリンク定格運転時でガス消費量が20%削減できる。ということは80%の都市ガスは使用されるということ。

大ガスとヤンマーは平成10年からガスコジェネ機を販売しており、累積で2,700台が福祉施設、病院、飲食店、湯浴施設(いわゆるスーパー銭湯など)、店舗、工場、ホテルなどに導入している。

これまでのコジェネ機では排熱回収温水の温度が65℃-75℃であり、用途は給湯・暖房に限られていた。この温水温度を83℃までアップすることで、冷房用途に利用できるようになった。

今回開発した25kW機は発電効率33.5%、熱回収効率51.0%と高く、定価は798万円となっている。最大で8台まで増設が可能で、総計200kWの発電能力となる。

省エネの切り札としてコジェネ機の導入が進んでいるが、冷房用に利用できることでさらに導入先が広がるものと期待できる。

ConocoPhillipsの合併

2005-12-15 | 石油
ConocoPhillipsとBurlington Resourcesが合併する。これにより、エクソンモービルを抜いて、北米一のガス生産会社となる。原油高に引きづられたガス価格高騰が、合併の一つの背景になっている。

コノコは売上高$8.1B、従業員36,000人のHoustonに本社を置く独立系石油会社です。2002年にはコノコとフィリップスが合併しています。
バーリントンは売上高$1.5B、従業員2,300人の同じくHoustonに本社を置くガス生産会社で、ガス生産量はほぼコノコと同じです。この二つが合併により全米第一位のガス資源量の会社になります。
新会社の石油とガスの資源比率は59:41ですから、依然としてコノコは石油会社ということになるのでしょう。
かつてDupontの100%子会社であったことを思うと、随分といろいろな経緯を経て今日にいたっているというか、アメリカのダイナミックな動きにびっくりする。アメリカでは大会社でも日本のIT企業のように簡単に合併が進む。この辺がアメリカンエコノミーのダイナミズムであろうか。

話は変わって:
夏のあのハリケーンの頃の勢いはないものの、依然として原油高である。そんな中、OPECは先の総会で現在の原油生産枠を維持する決定を行っている。通常ならば、春の需要減退期に向けて減産をしていくはずが、今年は依然として需要が強くしたがって原油価格の下落がないことから、増産の維持を決めた。
ここで減産して原油価格のこれ以上の高騰を望まないというか、高騰の後に来る暴落を望まない、ということのよう。
ちなみにサウジの石油収入は前年比1.5倍の1570億ドルだそうだ。この積み上がったお金は米国債券の購入に当てられるらしい。日本の貿易黒字と同じ状況である。

WTI先物市場:
コノコの本拠地であるテキサス地域で算出されるWTIの生産量は70万BD足らずで、世界の石油生産量の1%にも満たない。この原油が市場では一日あたり2.6億BBLも取引されるそうで、世界の生産量の3倍、WTIの生産量から言えば実に370倍である。先日、流通量の40倍の株式の売り注文を誤って出した証券会社があったが、WTI取引はそんなもんじゃない。
今の原油高はアメリカの精製設備能力の不足が招いている側面もあり、地上空前の利益を石油会社は上げているのだから、設備増強せよとの意見がある。しかし、石油会社は設備計画は20年以上の先を見越して行われるべきもので、すぐにはできないと、オイルショック後の需要低迷の教訓を忘れていない。




2030年の世界エネルギー見通し

2005-12-14 | エネルギー
エクソンモービルから2030年のエネルギー見通しが発表されている。

世界の経済成長と人口増加から、2030年のエネルギー需要は225MBDOEから50%増加して335MBDOEになると予想される。増加量のうちの80%はnon-OECDである。

エネルギー利用効率を増大させることはキーである。
石油、ガス、石炭が依然として主役であり、80%を依存している。
残りの20%の内訳は原子力20MBDOE,水力10MBDOE、バイオマス32MBDOE、太陽光1MBDOE、風力2MBDOEとなっている。

既存の化石燃料に依存していることから、CO2排出量は現状の250億トンから40億トンへ年平均1.7%の増加である。もちろん、経済成長・人口増加が大きくエネルギー利用効率の低いnon-OECD地域からの排出量増加が80%を占めている。

石油の需要は80MBDから110MBDに増加するが、non-OPEC出の増産は10MBD程度にとどまるから、残りの20MBDの増産はOPECが担うこととなる。

2005年現在の原油埋蔵量は3.2TBOと推定される。さらにnon-conventionalな資源が4TBOあるとしている。仮に、3.2TBOを2030年の生産量の110MBDで割り返すと80年という答えが得られる。石油は当面なくならないといえるが、non-OPECの石油生産は2015年頃にピークとなるので、それ以降の消費増加の分はOPECによる増産に頼ることとなる。

石油の用途の60%は車の燃料である。北米や欧州での輸送用燃料は現状でほぼ頭打ちとなるが、Asia Pacificでは4倍に急増する。
ハイブリッド車は北米と欧州で2010年以降目だって増え、2030年にはfleet台数の10%、新車販売の30%に達する。

この辺は日本の感覚からするともっともっと前倒しのように思うが、ExxonMobilはこれくらいゆっくりを想定している。

エネルギー消費としての電力は2.0%の伸びで2030年には130MBDOEとなっている。発電のための1次エネルギーは、石炭、天然ガス、原子力の順であるが、Asia Pacific出の石炭の発電消費は3.9%の伸びで倍増し、40MBDOEとなる。
日本での石油の発電消費割合は21%で最も大きいが、世界では5%未満ということになっている。

世界のエネルギー消費は、石油を輸送用燃料として利用し、(ガスもあるが、原子力自動車や石炭自動車はできない) それ以外の石炭、ガスを発電用にまわすということから、日本とはずいぶんとその構造が異なっている。