化学系エンジニアの独り言

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マヨネーズの値上げ!!

2007-05-12 | エネルギー
一ヶ月以上、更新をサボっていましたがその間にもこのページをビューしてくれる人がいることには感謝とともに、感激です。
春は移動の季節ですから、筆者も数年ぶりに職場が変わり、新しい仕事への対応におわれていたのです。

さて、ニュースではマヨネーズが値上がりしますよ、ということが各社で取り上げられていました。聞けば17年間まったく価格が変わらなかったが、事情により今般値上げとなったそうです。

街角インタビュー(主婦やサラリーマン)では、家計に響くので値上げは困りますね、というありきたりのコメントを流しています。値上げのニュースなんだから、消費者がそう反応するのは当たり前で、何でわざわざ街頭インタビューなんぞを流しているのかわかりません。これって、ニュース価値はまったくないと思うのだが。

値上げは困る、というまえに小生は17年間も値段が変わらなかったの!ということに逆に感激ですね。土地の値段や株価を別にして17年前、1990年当時と同じ値段のものを思いつきません。マヨネーズ、キューピーはえらかったんだと素直に思います。

確かに自動車や家電製品を見れば、機能が向上しているので機能で割り返した価格下がっているでしょうが、製品個別の価格は上がっているのではないでしょうか。激安パソコンなど、一部には価格そのものが下がっているものもありますが。

食料のように生産性や機能の飛躍的向上が望めないものは、この17年では確実に値上がりしている、あるいは1パックの量が減っているのが通常でしょう。

マヨネーズは卵と食用油が主原料です。卵は物価の優等生というそうですが、その卵の価格が安定していることがマヨネーズ価格が一定だあった最大の理由です。今回の値上げは、食用油が値上がりしていることに起因しているそうです。

なぜ食用油が値上がりしているかといえば、食用油の原料となる菜種などがバイオ燃料に回っている、バイオディーゼルになっていることがあげられます。しかし、バイオディーゼルはそれほど量的に多くないので、これが主原因ではありません。

もうひとつのバイオ燃料であるバイオガソリン(エタノール)が売れるので菜種を作らずに、バイオエタノールの原料になるとうもろこしを作るようになり、食用油の供給量が落ちてきたためだそうです。

エネルギーと食料がトレードオフの関係になる、価格的にではなく量的にトレードオフになるということはこれまで経験したことのない事態です。

かつて食料難に対応するため、原油から食肉を作る(正確には油を食べて増殖するバクテリア)研究がありましたが、まったく逆のことが行われているということです。

エネルギーも食料もどちらも人の生存には欠かせないものです。ですから、どちらか一方を犠牲にするということは出来ません。地球温暖化による化石燃料消費の抑制という地球そのものが持っている存続のためのスタビライザーが地球温暖化ではないか、と小生は考えています。ですから、食料になる植物からエネルギーを得るというのは中長期的に見て無理がありましょう。

エネルギーでは有りませんが、かつて化学肥料が発明されたことで食料の生産性は飛躍的に向上しました。エネルギーと食料の二つを共存させる技術はやはり化学によるほかはないでしょう。理系離れなんて悠長なことを言っている場合ではない、人類を救うのは化学だ。というのはいいすぎですが、こんなにやりがいのある命題はないのですから、もっともっと化学に人材を投入したら良いと思うわけです。