サンゴ密漁船一斉摘発へ 海保、領海外退去から転換
小笠原諸島周辺などの海域に中国のサンゴ密漁船とみられる外国漁船が多数押し寄せている問題で、海上保安庁は21日、全国から複数の巡視船を現場海域に追加派遣し、同日未明から一斉摘発に乗り出した。監視の届きにくい夜間に密漁する外国漁船などへの対応を強化する。
海上保安庁は9月以降、現場海域に大型巡視船や航空機を投入。水産庁とも連携して取り締まりに当たってきた。
これまでは外国漁船を領海外に追い出すことを優先していたが、夜間に集中的に操業するなど密漁が悪質化していることから、積極的に漁船を拿捕(だほ)して摘発する方針に切り替えた。
横浜海上保安部は21日、小笠原諸島・嫁島の領海内で操業したとして、中国漁船の中国人船長、林本章容疑者(44)を外国人漁業規制法違反(領海内操業)の疑いで現行犯逮捕した。海保によると、同諸島周辺で10月以降に逮捕された中国人船長は計8人となった。
太田昭宏国土交通相は21日の閣議後の記者会見で「24時間体制で取り締まるため態勢を強化した。夜間の監視を強めるよう指示した」と述べた。
小笠原諸島の嫁島(東京)周辺の領海内で操業したとして、第3管区海上保安本部は21日、外国人漁業規制法違反(領海侵犯操業)の容疑で、中国漁船「●(門の中に虫)連漁運61178」の船長、林本章容疑者(44)=中国籍=を現行犯逮捕した。
同諸島周辺での中国人船長の逮捕は10月以降で8人目となったが、サンゴ漁船の違法操業が活発化する夜間の摘発は初めて。海保は同諸島周辺に複数の巡視船を追加派遣し、同日未明から集中的な取り締まりを始めたという。
海保によると、21日午前1時5分ごろ、嫁島の南西約15キロの領海内で、海中に網を入れて操業している中国のサンゴ漁船を巡視船が確認。直後に逃走したため100キロ以上追跡し、同日午前7時15分ごろ、林容疑者を現行犯逮捕した。
海保は林容疑者の認否を明らかにしていない。林容疑者は取り調べのため、同日にも硫黄島(東京)で海保の航空機に乗せられ、羽田空港経由で横浜海上保安部に移される予定。