平成28年の政治資金収支報告書では、「公私混同」と指摘されかねない不明朗な支出や政治目的かどうかが判断しづらい記載があった。政治資金規正法は自由な政治活動を保障する観点から、政治団体による政治資金の使途を具体的に定めていないが、政治資金の透明化を図る制度の趣旨を踏まえ、専門家は「公私を峻別(しゅんべつ)し、支出目的を明確にすべきだ」と指摘している
28万、28万、45万円…。28年11~12月に政治資金から「自動車修理代」として高級外車ディーラーに支出していたのは、日本維新の会の藤巻健史参院議員の資金管理団体「経済泰斗の会」。計100万円超を計上したが、産経新聞の調べでは、この車は藤巻氏が所有する自家用車だった。関係者によると、自動車税や保険料も支出していた
藤巻氏が代表を務める政党支部も11月の同じ日に自動車修理代25万円超を支出していた。藤巻氏は「この車を自分で運転し、国会、議員会館への往復や政治活動に使っている。9割以上が政治活動」と釈明したが、政治資金に詳しい上脇博之神戸学院大教授は「自家用車で通勤している人に会社から自家用車の修理代は出ない。本来はポケットマネーで負担すべきものだ」と指摘する
自民党の足立敏之参院議員の資金管理団体「足立敏之後援会」は3~7月、「データ入力代」として560万円超を計上した。足立氏の事務所は「後援会に入会した100万人以上の紙ベースの名前や住所などを電子化した際にかかった費用で、1人当たり5円程度。格安で入力してもらった」と説明している
加藤敏幸前参院議員が代表を務めた政党支部は4~8月に「政策情宣用電話代」として約952万円を支出した。加藤氏の事務所は「当時の民進党の政策を理解してもらうため、数百台の携帯電話をレンタルして数万人に電話した」と説明するが、上脇教授は「あまりに高額。十分な説明をする必要がある」と話す
自民党の石原伸晃衆院議員の資金管理団体「石原伸晃の会」は1~12月、渉外費として飲食店やホテルに計約890万円を支出した。石原氏の事務所は「規正法や政党助成法などの法令に従って適正に処理し報告している。記載以上の詳細は法の趣旨から回答していない」とした