中国:米国産原油を拒絶 https://www.youtube.com/watch?v=5jLNvBCbTsQ
Donald Trump:
China's Election Meddling Is A Bigger Problem Than Russia https://www.youtube.com/watch?v=OBlsEYGipgM
Jamal Khashoggi's disappearance tests U.S.-Saudi alliance https://www.youtube.com/watch?v=OaOVui3uZZ4
Saudi Arabia under pressure for Jamal Khashoggi disappearance https://www.youtube.com/watch?v=vi_C7PH6MRU
今年も流行期が近づくインフルエンザ。その治療薬の勢力図が一変しそうだ。1回の服用で治療できる塩野義製薬の新薬「ゾフルーザ」が本格投入され、中外製薬の「タミフル」を抜く可能性が高まる。ゾフルーザは今秋には米国でも承認される見通しで、年間売上高1000億円以上の「ブロックバスター(大型新薬)」入りも見えてきた。M&A(合併・買収)などによって新薬の種を社外に求める動きが潮流となるなか、自社開発を貫く…「逆張り」の戦略が実を結びつつある
■小児向けも申請へ
塩野義が3月に発売したゾフルーザは細胞内でウイルスの増殖を防ぐ仕組み。効果が早く表れて長く続くため、1回の服用で治療できる。5日間服用が必要なタミフルなど競合薬に比べて患者の負担が軽くなり、飲み忘れも防ぎやすい 「インフルは塩野義の製品だけあればよい、というところまでやっていく」。塩野義の手代木功社長はこう強調する。初めて本格的に市場に出回る今シーズンは、国内だけで130億円の売上高を見込む 大人1回分の薬価は2錠で4789円と高めだが、「使い勝手や効果を考えれば問題にならない」とみて攻勢をかけている。小児や錠剤を飲み込むことが困難な患者向けの粉末剤についても年内に承認申請するほか、予防投与の臨床試験(治験)も近く始め、19年秋の承認申請を目指す
厚生労働省などの調査によると、日米欧のインフルエンザ患者数は年間4500万人程度。死者数は世界で年間50万人いるとの推計もある。抗インフル薬の世界市場は日本と米国が大きく、市場規模は日本が400億円程度、薬価が高い米国が最大で1000億円弱とされる ゾフルーザは米国でも今秋にも承認を得て、近く流通が始まる見通しだ。当初は年末の承認予定だったが、重症化のリスクが低い患者に高い効果が見られたため、全ての治験の最終結果を待たずに審査へ進んだ 塩野義はゾフルーザについて、日本と台湾以外の市場では中外の親会社でスイス製薬大手のロシュと提携する。ロシュが世界で展開するタミフルの17年の売上高は約600億円。ただ後発薬の登場で販売は減少傾向にあり、ゾフルーザの効果を認め塩野義と組んだ。塩野義はゾフルーザの世界売上高を年間1000億円以上に引き上げる計画だ
■自社開発比率は74% ゾフルーザは、塩野義が約10年かけて自社開発した 抗エイズウイルス(HIV)薬の開発を通じて習得したウイルス増殖の仕組みや薬剤合成についての知見を応用した 既に治療薬が確立されているインフルエンザ薬の市場規模はがんなどと比べ小さいが、画期的な効果が生み出せると判断。一時は年間の研究開発費が100億~200億円膨れあがったが、開発を最優先した 塩野義の18年3月期の連結売上高は3446億円。国内製薬大手の中でも規模は小さい。研究開発費は年間600億円程度と、国内最大手の武田薬品工業の5分の1にすぎない。それでも大型新薬を生み出せる背景には、自社開発を重視する戦略がある 塩野義の場合、開発品の74%が自社または他の大学や企業との共同によるものだ。ほとんどの製薬会社はこの比率を開示していないが、一般的には2~3割程度といわれており、際だって高い。売上高営業利益率が約3割と2割弱にとどまる他社を大きく上回るのも、ロイヤルティーなどを他社に支払う必要がないためだ
■創薬特化型にも道
インフルエンザやHIVなどの感染症に領域を絞り込み、「ファースト・イン・クラス(FIC、画期的医薬品)」の開発に注力するのも塩野義の独自の戦略だ。一般的な製薬ビジネスは、巨額の売り上げが見込める新薬が登場すると、効果を高めた「第2世代」の製品を投入するのが定石 実際、ゾフルーザは優れた医薬品や医療機器に適応される「先駆け審査指定制度」で初の対象になり、申請から4カ月と従来の半分以下の審査期間で承認された。この実績や1回の投与で済む効果が薬価にも加算されている
世界で薬価引き下げの圧力が強まる中、いかに収益力を維持しながら新薬を生み出すか。巨額M&Aで規模拡大を狙うだけが道ではなく、「創薬特化型」という処方箋があることを示している
塩野義製薬の「ゾフルーザ」は錠剤を1回飲むだけという手軽さで抗インフルエンザ薬市場を大きく変える
日本経済新聞