「炭素繊維強化複合材や翼の製造、アビオニクス、ミサイルに搭載する目標物識別、ナビゲーションなどの技術分野で日本の競争力は高く、米国も注目している。ただ日米共同開発で、より大きな恩恵を受けるのは日本の方だ」 ただ日本政府の対応には問題がある。たとえばF35をめぐりロッキードは三菱重工やIHI、三菱電機との協力を深めたいと繰り返し表明しているが、こうした民間企業への日本政府の支援がまだまだ足りない。日本からのF35のコンポーネント(構成部品)輸出が実現していない背景にも、政府の支援不足がある。防衛装備庁設立を機に国際化に向けた政府の取り組みがどこまで進むか、また、三菱重工など日本の防衛各社が事業の構造改革を通して価格競争力を高められるかが成否を左右する 「中国は軍事面で過去数年間、超音速ミサイルや潜水艦からの発射技術などを急ピッチで開発。しかも東アジアの現状変更を狙っている。これが米国にとっての大きな懸念材料だ。こうした緊張の高まりの一側面として貿易戦争が起きたととらえている。米国が日米戦闘機のインターオペラビリティーを確保し、作戦能力を高めたいと考える背景にも中国の脅威がある」 「中国の軍事技術の脅威と、米中間の緊張が高まっている中で多くの軍事アナリストや軍の幹部が、東シナ海や南シナ海で両国が相手の行動や反応を読み間違えて軍事衝突に発展するリスクが増大していると指摘している。平和の維持には両国間の対話継続が必要だが、行き詰まりを見せている」(佐藤健二) 産経新聞