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なぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠

2009年06月01日 | 谷本歩実柔道一本勝負
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 労働組合の際限なき要求と経営陣の妥協が招いた顛末記 GMは蛇足, 2009/4/6
By tonny_ - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)
昨今経営危機が叫ばれているGM(ゼネラル・モーターズ)が主題のごときタイトルだが、GMに関する記述は本書全体の3分の1程度で、残りは米国の公務員年金に関する記述である。
全般的には、企業年金の給付を巡っての、労働組合の際限なき要求と経営陣の妥協が招いた顛末を綴った内容。年金給付の引上げは、原資を直ちに必要とする賃上げとは違い、原資の積立てを将来に先送りしたまま約束だけは容易にできてしまう。そのため、労働組合および経営陣双方の体面保持と点数稼ぎのために企業年金給付が「労使交渉の具」として利用されて来た経緯を本書は詳細に綴っている。そしてこの傾向は、株主の存在が辛うじて歯止めとなるGMなどの民間企業よりも、そうした規律が無い(労組が主要な票田であるため議会のチェックも働かない)公務員・自治体年金の方が遙かに深刻であることを本書は示唆している。

なお、日経の書評ではあたかも「エリサ法(年金受給権保護のための法律)が企業年金を駄目にした」かの如く紹介されていたが、本書におけるエリサ法に関する言及はごく僅かであり、ミスリードも甚だしい講評である。エリサ法の成立経緯については、同時期に刊行された『エリサ法の政治史』を参照されたい。
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21世紀後半の主要自動車生産国は、中国とインドになるのだろうか。
そのとき、自動車の主力は、ガソリン車か。電気自動車か。ハイブリッドか。
その鍵をリチウム電池と、その進化型が握っている。

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5つ星のうち 4.0 GMは転落するべくして転落した, 2009/5/28
By あらフォーティー "Z" (東京都) - レビューをすべて見る
GM転落の歴史を、経営者と労働組合の立場を中心に詳細にたどった秀作。その本の分厚さに圧倒されるが、日本ではほとんど報道されてこなかった事実をていねいにひろって行く内容で、これを読めば、経営者も労働組合も、それぞれの時点で最善の選択を重ねてきた結果が、現在につながっていることがわかる。足らなかったのは、良い車(売れる車ではなくて)を作ろうというモノへのこだわりと、消費者のためにという視点ではなかったか。業界関係者、アメ車を語る人にとっては、必読の書ではなかろうか。
なぜGMは転落したのか―アメリカ年金制度の罠
ロジャー ローウェンスタイン
日本経済新聞出版社

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