光と影を用いて幻想へと誘う影絵は、特撮以前の特撮というべきかも知れない。ゴシック建築を飾るステンドグラスは動かないがジャワの舞踏の影絵は激しく動く。
ウルトラシリーズの冒頭、オープニングを飾る影絵は当然セブンでも継承された。そして、このボックスのパッケージのとおりセブンの頭のちょん髷のようなものが影絵だと格別映えていた。
現代劇は、時代の制約の中で光のみを描かざるをえない。もちろんNHKのハゲタカのように現代劇の中でも闇に鋭く切り込んでいく作品もないではないが、それらはほとんど例外にすぎない。そうしたなかで、必殺をはじめとする時代劇ですら描けなかった影を描ききった特撮の最初の作品がウルトラ・セブンだった。
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5つ星のうち 5.0 アンヌ隊員の胸には、男子の“夢”と“希望”がいっぱい詰まっているんです!!, 2009/6/3
By しんのじ (仙台市) - レビューをすべて見る
(TOP 50 REVIEWER)
思い切ったプライスでの週1回リリースに加え、件の定額給付金やなんかもあって「予約しておいた“セブン”が毎週届く」、あるいは「毎週“セブン”を買って帰る」といった、まるで夢のような状況が続いている方も少なくないだろう。通常、かなりの覚悟が必要か、でなければあきらめるしかなかった「ひとつの作品を、まとめて揃えて楽しむ」という喜びを多くの人のものとしてくれた《ウルトラ1800》シリーズには、ファンの一人として本当に感謝している。
そして、この“セブン”は、そうやって揃えて、何度も見るだけの魅力/価値のある作品だ。実際オレも好きなエピソードを何度となく見て、明日への英気を養っているところではある。ジャケットもなかなかいいし。
収録内容そのものは、旧ジャケットで出ていたDVDと同一とのことだが、かつて再放送の粒子の粗い映像で親しんだ“セブン”が、これほどまでに美麗な画質で見られるのは、本当に驚異的なことだ。一部の方が指摘されている、第1話終盤の画面のゆれだが、当方の再生環境では特に問題はなかった。ただし、これは他の巻にも共通のことだが、1話ずつ再生させると、プレーヤーによってはおしまいの部分がブツ切りっぽくなってしまうのが、ちょっと気になる。
音はセリフのみ、ややこもった感じになってしまっているが、ステレオ2chの音響は全体にダイナミック(各巻1話ずつ、5.1ch音声も収録)。オリジナルのモノラル音声も収録されているので、たまにはそちらで見てみるのもストイックな感じがしていいかもしれない。また、各巻に収録された映像特典(スタッフインタビュー)も、ほどよい長さで見やすくてよい。
この美しい画質で、興奮と感動の最終回〔前後編〕まで、しっかりと見届けたいと思う。そしていつか、すでにデジタル化作業を終えているというあのエピソードが、美しい姿で現われてくれる日を待ちながら………。
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17 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 うれしい廉価版登場でも初号試写の色合い, 2008/10/1
By あららあ (千葉県鴨川市) - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)
「地球は狙われている」1999年にDVDウルトラシリーズのファーストタイトルとして発売された日本特撮映像作品に燦然と輝く「ウルトラセブン」が廉価版として発売の運びとなりました。値上げ値上げの世の中ですが、ちょっと嬉しいお知らせではないでしょうか?
企業としてTYOグループに参入した円谷プロの業績が思いの他好調と報道され、2008年に公開された八木毅監督「大決戦!超ウルトラ8兄弟」も大ヒット。ライツ事業の展開として第一期ウルトラの廉価版がリリースされます。もう40年前のタイトルですが、本当に良質な作品を作れば多くのみなさんの心に残るのではないでしょうか。これを機会にかつてのウルトラ少年たちも、超ウルトラ8兄弟やメビウスからウルトラを観たみんなもみんなで見ようよ。あしたのウルトラマンを誕生させる種籾になるはずです。映像特典はウルトラアペンディクスとして当時のスタッフインタビューを収録。音声特典は5.1CHのサウンド版を1話収録しています。
地球は狙われている。
今、宇宙に漂う幾千の星から恐るべき侵略の魔の手が!
今、侵略の、恐るべき、魔の手が迫ろうとしているのです。あなたの隣人は大丈夫ですか。
セブンことモロボシダンには力強い味方がいる。カプセル怪獣のミクラス、アギラ、ウィンダムたちだ。実は今や世界的なキャラクターとなったポケットモンスターの原点はこのカプセル怪獣だということは意外と知られていない。平成のウルトラシリーズで人気番組となった大怪獣バトルという作品もカプセル怪獣ならぬバトルライザというスロットで怪獣を召還するというもの。セブンの命脈は力強く受け継がれているようです。
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11 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 細かい所までこだわる映像、ストーリーが堪能できるDVD, 2009/1/2
By くみお (京都府) - レビューをすべて見る
あのセブンが低価格にて再発売。
第1話は東京で人が突然消失する事件が多発。ウルトラ警備隊は早速調査を開始しますが・・この作品の見所はなんと言ってもこだわりのメカ描写です。特にウルトラホーク1号の分離、合体シーンは今見ても素晴らしいです。これはその後の特撮、アニメに多大な影響を与え、まさに合体物の元祖と言って過言ではありません。またミリタリズム溢れるポインターの出動、煙幕噴霧、帰還シーンもマニアの心をくすぐります。セブンが今だ支持される理由の1つがこういう所にあるんですね。所でキリヤマ隊長“えっ宇宙人?”って今まで遭遇したこと無かったの・・?登場宇宙人はクール星人です。あとカプセル怪獣(ダンをサポートする怪獣)ウィンダムも登場する見所満載な回です。
第2話は地球防衛軍のイシグロ隊員が宇宙ステーションから帰還。ダンは家まで送るのですが、隊員の家で謎の金属塊を発見。それはワイアール星の金属チルソナイト808でした・・この作品はホラーテイスト満載で、私も幼少時怖かった思い出のある作品です。これは脚本家の故・金城哲夫氏がややもすると子供向けだったウルトラマンではできなかった、ホラーへの傾倒をスパークさせた意欲作でもあります。このホラーテイストもセブンが今だ支持されている大きな理由の1つに違いありません。また走行中のパノラマカー車内でロケを敢行(今では絶対できない)するなどスタッフのこだわりがひしひしと感じられる意欲作でもあります。それにしても奥様がワイアール星人にミカンををあげるシーンは何度見ても笑えます。普通気がつかんか・・
第3話は木曽谷付近に巨大な物体が落下の報告をうけ、ウルトラ警備隊は早速調査を開始しますが・・この作品は謎の少女を巡るミステリータッチな内容が見所です。またカプセル怪獣ミクラスも登場し、怪獣エレキングに(操ってるのはピット星人)戦いを挑みます。またこの作品ぐらいから合成動画を多用してきます。40年前とは思えないレベルの高さに改めて円谷作品の凄さを感じさせられます。
第4話は極秘命令をうけたアマギ、ソガ隊員をマックス号へポインターで送ったダンは帰り道で謎の美女に車を止められますが・・この作品の見所は目まぐるしく変わる人物、場所設定です。またセブンもゴドラ星人もでっかくなったり小さくなったり、ウルトラ作品中ここまで変化に富んだ作品はありません。これだけクルクルかわると撮ってる人達も訳わからんかったのではと思う程、映像のこだわりが凄く感じられる作品です。しかし宇宙空間にヘルメットだけで出て行くのは如何かと一応突っ込んどきます。