小さい頃、バスで旅行したとき不思議に思うことがあった。
行きと帰りと同じ道を通るのに、決まって、行きの時の時間は長く、帰りの時間は短く感じられた。
今でも、歩く通勤経路を少し変えると、歩いている時間は変わらなくても、普段よりも長く歩いているように思える。
初めて通る道は、当然のことだが、新しい発見がいくつもある。
だから、なるべく、違った経路で通勤しようと思うが、いつの間にか、普段の、通いなれた経路で歩いている自分に気がつく。
足が、通いなれた道を、覚えているのだ。
犬と散歩しているときもは、犬が散歩道を覚えてしまう。
だから、散歩道をほんの少し変えてやる。
そうすると、犬の好奇心がまったく違ってくる。
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5つ星のうち 5.0 ボケの認識を変える!, 2003/12/31
By シャムー "shamuu" (千葉市) - レビューをすべて見る
母親の物忘れがひどくなってきたので専門病院で診察してもらったらアルツハイマーの初期症状とのこと。アルツハイマーは進行を遅らせるのがせいぜいで回復することはできないという一般論に悲観的になってしまいましたが、この本を読んだら、本人や周囲の努力しだいで老人のボケ症状はまだまだ回復できるのではと楽観的な気持ちになりました。できれば、浜松方式の治療をしてくれる全国病院リストなどもあるとありがたいのですが……。
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5つ星のうち 2.0 ボケは「自業自得」なのか, 2008/5/6
By カスタマー - レビューをすべて見る
「若い頃から勉強や仕事はできたかもしれないが、音楽にも絵画にもスポーツにも感動せず、碁も将棋 もトランプもしたことがない」「決まって親友や異性の友達もいないし好奇心も少ない、精神的にゆとりが なく人生を楽しむということもないヘンクツ、出不精、遊び知らず」
これらが序文から一部引用したボケる人の特徴だそうです。そして本人のみならず家族もみんな自己中心的で非協力的な連中ばかりだからなお悪いのだと言いきります。もちろん著者が実際に多くの患者と接してきて実感しているのだろうし、私自身もそういう人はたしかにボケやすいのだという意見には納得することが出来ます。
しかし、私には本書におけるこうした物言いが単に事実を述べるという以上に、痴呆になりやすいタイプの人間に対する蔑視やヘイトすら漂っているように感じられ(上記では「決まって」なんて言い方してますし)読んでいて非常に不快な気分になりました。
逆に、自分がいかに感受性に富んで、好奇心いっぱいで生きているかを対比で語るのも少々鼻につきます。
そもそもこうした生き方の違いは全てが本人の心がけの問題と言い切れるのでしょうか。私などは恵まれた戦後世代ですから子供の頃から趣味を持ちそれに没頭できる程度には経済的および精神的余裕がありましたが、現在定年を迎えている終戦直後あるいは戦前生まれの世代では、生きるだけで精一杯という子供時代を過ごし、大人になっても自分の幸せうんぬんよりひたすら「家族のため」といった気持ちで目の前の仕事に邁進してきた方も多いでしょう。実際定年を迎えたとたん生きる目的や目標を見失う熟年世代の問題などがしょっちゅう報道されているわけですが、それらを一方的に本人および周囲の人間が自ら蒔いた種であるかのような徹底した「自業自得」的なスタンスに世代は違えども疑問を抱かずにはおれません。
ボケは自分が変わることにより自分で治すのであり、そのためには家族の協力も不可欠なのはわかります。 今までの生き方を見つめ直し根本から改めることがどれほど重要でしかし高齢者にとって困難か、それを伝えたいからこそあえて少々手厳しいくらいの言い方をされているのだと解釈したいですが、痴呆になる人がみんな貧しい感性、人間的に冷たくユーモアもない家族などと徹底して決め付けこれまでの他人の生き方を頭ごなしに全否定するかのような物言いは、心当たりのない人にはとても素直に受け入れがたいのではないでしょうか。「いやそれは本人達が自覚してないだけだ、だから目を覚まさせるために厳しいことを言っているのだ」ぐらいのことを著者はおそらく思ってらっしゃるのでしょうけど、本書の語り口を読む限り著者の考えはすごく自己完結的な印象を受けます。陳腐なたとえで申し訳ないですが学校教育でも罵倒に近い叱責をされて伸びる生徒もいれば、かえって強い自己否定に捕らわれる生徒などがいるわけで、もう少し柔軟なアプローチは意識できないものでしょうか。
ちなみに私は、物忘れが目立つようになった友人の親(とても人当たりのよい優しくて気配りのある方です)がこの先生の噂を知り本書を買ったあと実際にカウンセリングを受けに行ったはいいが、その後大変落ち込んでしまった(理由は上記レビューより察して下さい)という話を聞き、試しに借りて読んでみた次第です。
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