2014年7月28日(月)~29日(火)、快晴
参加者: G.G.他3名
アクセス: 各務原 7:00→(東海北陸道)→荘川IC→(R156)→(R451)→9::00大白川登山口(P)
コースタイム:
第1日目 P9:30→12:10大倉山避難小屋12:40→14:45 室堂センター(以下センターと呼ぶ)
第2日目 センター4:00→(御前峰でご来光参拝)→5:40センター
センター6:35→7:40御汝峰登山口→8:15御汝峰8:30→8:45御汝峰登山口→池巡り→9:30御前峰取付き→10:00御前峰10:10→10:45センター11:00→13:15メンバー転倒・骨折→(3時間ヘリの救助を待つ)→16:15負傷者ヘリに収容→17:25 P
行動時間:
第1日目 5:15 、第2日目 7:50(ご来光参拝時間は除く)
歩行距離:
第1日目 約7.9 km 、第2日目 約13.2 km(ご来光参拝時間は除く)
コース:実際に歩いたGPSトラックを下に示す。赤線は登り、青線は下りを示す。
×印はヘリ救助現場を示す。
まえがき:
■今回の山行には特別な目的がある。今が花のハイシーズであるので名にし負う白山のお花畑見物、8月予定の折立→黒部五郎→鷲羽岳→雲ノ平→折立3泊4日の周回山行の足慣らし、そのために購入したハイドレーションシステムの使い勝手の確認である。
■下山時にメンバーの一人が転倒・骨折し岐阜県警のヘリで救助されるハップニングがあったので、その顛末も記した。
山行記事(1日目):
■9:30に登山届を投函し登り始める。左眼下には時々、湖面がエメラルドグリーンの水を湛えた白水湖が眼を楽しませてくれる。湖面の美しさは筆舌に尽くし難いので、コバルトブルー、トルコ石色、翡翠色、など色々な表現を捜すも今一である。カナダの氷河湖でも同じ色を見たことがあるのを思い出した。
■大倉避難小屋を過ぎたあたりで、山腹に雪渓を抱いた白山3峰の内の御前峰と剣ヶ峰の2峰が姿を現す。
もう一峰の大汝峰は剣ヶ峰の陰で見えない。
■カンクラ雪渓のビューポイントに差し掛かり一息入れる。可なりの残雪があり、涼風が気持ちよい。
■漸く、広大な室堂平の端に着く。室堂平の雪渓を渡ると室堂センターが視界に入ってくる。雪渓の水に手を浸しみて、その冷たさに驚く。10秒も浸していると痺れてしまう。
■14:45に室堂センターに到着する。ここまでの所要時価刊は5:15(食事時間30分を含む)であった。
途中、白水湖や花々を眺め、写真に収めたりしたので可なりのスローペースになったようである。
■受付を済ませ、今夜の寝場所に荷物を下し一息入れる。因みに今晩の宿泊客は約500人だそうである。
16時から1時間ほど、周辺の高山植物ガイドツアーに参加する。ベテランの指導員の説明はとても参考になり、興味津々であった。記憶に残っているトピックスの幾つかを以下に紹介する。
「ハクサンと名が付く花は18種類ある。因みにイブキと名が付く花は21種類ある。クロユリは花を咲かせるのに10年もの歳月が掛かる、ナナカマド(今は白い花を付けている)には2種類ある、ハイマツ帯の拡張はホシガラスが実を運び種子の散布による、コバイケソウは猛毒で数年ごとに花を付けること等々。」
■17:40~18:00の間に夕食を頂く。流石に人気の山でありメニューはハンバーグと焼き魚の2種類ある。
デザートも付いていた。食事客は我々と同世代の人が圧倒的に多く、いずれの顔も平和で満ち足りた良い表情を浮かべていたのが印象的であった。
■夜中の1時頃に別棟のトイレへ行く序に、私の習わしである星空観察をする。空は星で埋め尽くされ、天の川が南北に連なっていた。子供の頃に眺めた星空が彷彿とし、暫し童心に戻った心地がした。
山行記事(2日目):
■ご来光を拝むために、4時に御前峰を目指して登山を開始する。山頂迄ヘッドライトの光の帯が続き賑やかである。
頂上では神主さんが白山の説明をしてくれる。4:55頃に雲海の上に太陽が顔を出すと、神主さんの音頭で一同、万歳を三唱する。
昨日の高山植物ガイドツアーと言い今日の神主さんの説明と言い、サービス精神の旺盛さに驚く。
■ご来光参拝後、センターに戻り、朝食を済ませてからお池巡りコースを辿って、7池巡りと大汝峰登頂に出発する。路傍の花は昨日眺めたのと殆ど同じである。百姓池、雪に覆われている五色池の傍らを通り大汝峰の登山口に着く。標高差は150m位であろうか。登路は暫く、岩稜で可なり厳しく3点支持を強いられ緊張する。顧みれば、今回の山行で一番険しい登りであった。
■尾根からは南東に御前峰(右)と剣ヶ峰(左)、その下に翠ヶ池が望まれる。
■大汝峰を下り、血の池→翠ヶ池→油ヶ池→紺屋ヶ池と巡り、再び山腹に取り付き御前峰からの尾根を辿って御前峰に着く。ご来光時には雲海の上に槍、穂高、乗鞍、御嶽の頭だけがチョコンと覗いていたが、今は剣、槍、大キレット、穂高、笠、乗鞍、御嶽の大パノラマが惜しげもなく展開していた。気象条件が良ければ、日本海も見えるそうであるが、これ以上の贅沢は言うまい。
■山ガールに記念撮影のャッターを頼むと何かポーズを取れと言われたので、年甲斐もなく万歳をする羽目になってしまった。お蔭で、少しだけ若返ったような気分になる。
■山頂の白山奥宮にお参りし、無事の下山を祈願し、御前峰を後にし、センターに戻る。15分程の休憩後、満ち足りた気分で11時に下山を始める。3時間ほどで大白川の駐車場に戻り、温泉に入ってから帰途に付く予定であったが思わぬ落とし穴が待っているとは神のみぞ知るであった。
ヘリによる救出の顛末:
■予定の山行も終りに近づき、のんびりと世間話などをしながら下山中、大倉山から700m位下の位置でメンバーの一人が木の根っ子に躓き、転倒し、左足脛骨を骨折して身動き出来なくなってしまった。私は怪我人に付き添うことにし、携帯が不通(平瀬全行程で不通)のため、他のメンバーに駐車場の大白川ロッジに救助を求め下山してもらった。
■下界では平瀬の警察と協議し、岐阜県警にヘリコプター救助を要請する。一方で、若し、ヘリが飛来しても地形的に救出が不能の場合に備えて、地元の人が担架を用意しスタンバイしていたそうである。
■13:15に骨折し、15:15にヘリコプター(機体番号;JA110G)に救出されまでの3時間、下界の状況が分からず、やきもきしていたが、骨折したにも関わらず、患部は徐々に腫れてきただけで、動かさなければ痛みは全くなく、冷静に救助を待つことが出来たのは幸いであった。
■又、たまたま通りかかった単独行の登山者と話をした中で、救助を待っていると告げると、ヘリがホバリングできそうな場所を探してくれたり、骨折箇所にストックを当てテーピング固定してくれたりして心強い限りであった。
お聞きすれば、美濃病院、整形科の職員の曽我部さんとのことでした。これまた良い人に巡り合ったのは重ね重ねの幸運であった。
■15:15分頃にヘリのエンジン音が聞こえ、一直線に現場へ向かってきた。先に下山したメンバーに事故現場のGPSによる緯度経度(N36°08′46″,E136°48′07″)を伝えておいたためであろうか。現場の上空はいくらも開けていないので、ヘリが旨く吊り上げられるか危惧していたが、20m位上空でホバリングし、隊員がワイヤーで降下してきて、怪我人を抱き抱えるようにして難なく吊り上げ収容してくれた。
■美濃病院の曽我部さんと岐阜県警航空隊の皆様には大変お世話になり有難うございます。この場を借りてお礼申し上げます。
咲いていた花々:
■登山道沿い、室堂平には高山植物が豊富にあり期待通りに楽しませてくれた。流石に花の百名山である。花に疎い私でも沢山の花を見ることが出来、大満足であった。下に写真に収めた主なものをアトランダムに示す。
所感:
■快晴に恵まれ、美しい風景と今が盛りの花々に出会え、メルヘンチックな満天の星や天の川と神々しいご来光も眺められ最高の登山が満喫できた。
■御前峰往復だけなら日帰り山行で足りるが、一泊し、お花畑巡り、お池巡、更には大汝峰の登山を加味することで白山の良さを堪能できた。
■初めてのハイドレーションシステムの使用感は良好であった。ボトルを取り出す手間が省け、水分を頻繁に少しずつ飲むことで汗も余りかかず、体力消耗度も少ないように感じた。中々の優れもののようである。
反省点:
■不幸にして、山行終了間近に、メンバーが転倒・骨折しヘリで救助される一幕があった。転倒した道は殆どフラットで普通なら転倒するような場所ではなかったので、原因はちょっとした気の緩みであろうか。山行は出発点に戻るまで気を抜いてはならないと言うことを改めて、強く再認識させられた。
■今回の怪我は重篤でなく、救助も円滑になされたが、これはたまたま幸運が重なったお蔭で、何時もこのように行くと考えてはならない。事故管理の観点からは多数の反省点があり、これについては別途整理し今後の山行の糧にする積りである。