昨夜、山仲間の忘年会が終わったのを機に、今年の山行を振り返ってみた。
6月末に右膝靭帯を負傷したため、7~9月に予定していたアルプス縦走などのメジャーな山行ができなかったのが非常に残念であったが、それでも、大小19峰に登れ、特に下に示すような思い出深い山行があったので、山の神様に感謝している。
■ 湖南アルプス:標高は低いがアルペンチックな堂山、歴史の太神山、急登の矢筈ヶ岳などバラエティに富んだ山行が楽しめた。
■荒島岳:日本晴れの好天に恵まれ、山頂からは正に360度の大展望であった。
■天生湿原と籾糠山:天生湿原のリュウキンカと水芭蕉が咲き誇った景観はあたかも桃源郷の趣であった。何回も訪れたい所である。
■コクイ谷遡行(鈴鹿):武平峠を始点に雨乞岳からコクイ谷を周回したが、コクイ谷は噂通りの難路で、ワイルドな鈴鹿の一面を堪能した。
■甲斐駒ケ岳:百名山中の名山である均整の取れたピラミッダルな白砂のピークに立てて大満足であった。
その後の筋トレ、水泳、ジョギングなどで膝の負傷も癒え、以前にも増して体力が増したようで来年の山行に期待を膨らませている今日この頃である。
2013年12月08日(日)、晴、暖
参加者: G.G.、他 4人
歩行距離: 約 20km
行動時間: 6:45(休憩、昼食を含む)
アクセス: 各務原6:30→7:20駐車場
コースタイム:
駐車場 7:30→8:30谷山(廃村)→9:30尾根取り付き→10:50 鍋倉山11:00→
11:10避難小屋、昼食11:50→14:15駐車場
コース:実際に歩いた往路のGPSトラック(登り:赤、下り:青、比較的平坦:紫)を下に示す。
山行記事:
■春日もりもり村の対面の高橋渓谷を300m位遡った路肩に駐車する。ここから先は道路が狭く、退避場も無いようである。車が一台やっと通れる深い谷沿いの狭い林道を歩き始める。本日のコースは東海自然歩道で初めから最後まで立派な標識が完備している。
■一時間程で、谷山廃村に差掛かる。普通、廃村と言うと哀愁が漂っているが、この廃村の雰囲気はとても明るい。数軒ある家屋は無人であるが廃屋ではなく手入れがされているようである。
■路傍に「谷山集落の歴史」を刻んだ立派な石版が建立されていて、1190年に入村が始まり、1300年には戸数が70あったことなどが記されていた。別の資料によれば、昭和35年には谷川分校が開設されたものの、全国的な過疎化の波に洗われ、昭和42年には廃村が決定したそうである。
谷川を挟んで墓地があり、10基位の墓石が並び、中には花も手向けてあったことからも分るように廃村ではあるが元の住民が折りにふれ訪れているようである。
■渓谷を少し遡ると、往時の畑の石垣であろうか、多数、崩落もせず殆ど無傷で残っているのが散見され、人の営みの痕跡を今に留めていた。
■今まで道は日が差さない渓谷沿いで陰気であったが、やがて尾根に上がると明るい晩秋の景色に一変する。道には落ち葉が絨毯のように降り積もっていて、足に優しく、正に快適なプロムナードである。
それでも、標高、900m位になると、所々に雪が薄っすらと残っており、間もなく雪に覆われる日も近いのを予感させた。
■標高1,050mになると地形はフラットになり避難小屋の前に出る。ここから三等三角点のある山頂までは2回のアップダウンがあり、1km位先(約10分)である。山頂は雑木に囲まれ木の間越しに北方に真っ白に冠雪した能郷白山が、西方には貝月山の巨体が横たわっていた。記念撮影を済ませ避難小屋に戻る。
■気温は6℃位もあり、空は青く、無風の小春日和で、避難小屋前の広場のベンチでストーブを点けラーメンを温め、何時もは30分のところを40分も掛け、ゆっくりと食事を楽しむ。
避難小屋は平成19年建設にされたもので外観は北アの「雲の平山荘」風の洒落た作りで、中は広々していて、トイレも隔離され居心地は良さそうである。
■食事を済ませ下山に掛かる。避難小屋から少し下った所が能郷白山のビューポイントで、暫し、佇んで眺望を楽しむ。
一方、近くの小津権現山や花房山、貝月山などには全く雪がないのは意外であった。
先週、登った余呉の七七頭ヶ岳は標高700m弱でも山頂は10cm以上の積雪があったのとは対象的である。
■途中、谷山集落跡で小休止する。谷山集落の氏神様であった白髭神社と記された石碑があったので、神社は何処かと探せば、傍らに狭くて、恐ろしく急な石段が20m位続いており、下から遥拝し、今日の安全登山のお礼を述べる。
後は、ひたすら林道を下り、無事、駐車場に戻り、本年最後の登山もフィナーレを迎えた。
所 感:
■谷山廃村跡以外に見るべきものはなかったが、晩秋の雰囲気が濃厚に漂う山行であり、これはこれで、東海自然歩道らしい、味のある楽しい山行であった。
■登山道は標識も道も比較的良好にメンテされていて、往復20kmの長丁場ではあるが殆どが緩傾斜であるので、初心者でも安全に歩けるコースである。
山行計画及び山行記録の作成にカシミール3Dを活用されている方は沢山います。
多くの場合、登山ルートやGPSトラックは赤線で表示されています。これを例えば、登りは赤色、下りは青色、平坦部は紫色で色分け表示にすると、コース全体像に加えて、周回方向、アップダウン状況等が視覚的に分かり易くなり便利です。
下に、GPSトラックでの事例を示します。
尚、設定方法については「カシミール3D活用術」 を参照のこと。
この図から次の事が言えます。
1.周回方向は駐車場(P)→七七頭ヶ岳→菅並集落→駐車場(P)
2.登りのコースが北方向に変化した所で、200m位の間が薄紫色で、フラットに近い。
3.下山道は全コースが青色で、下りのみである。
4.下山後の全コース(一般道)は紫色で、フラットである。
2013年12月01日(日)、曇り
参加者: G.G.、他 8人
歩行距離: 8.9km
行動時間: 4:50(休憩、昼食を含む)
アクセス: 各務原7:00→各務原IC→(東海北陸道)→(名神)→(北陸道)→木之元 IC→8:35上丹生登山口P
コースタイム:P 8:50→10:30山頂、瑠璃池11:00→12:20菅沼、昼食12:50→(一般道)→13:40 P
コース:実際に歩いたGPSトラック(登り:赤線、下り:青線、平地:紫線)及び標高図を下に示す。
山行記事:■9人もの大勢の参加は久々である。2台の車に分乗して高速を使って走る。途中「神田PA」で小休止して、一路、上丹生集落にある登山口に向かう。七七頭ヶ岳は地元では丹生富士と親しまれている山であり、上丹生地区に入ると正面に左右対称の三角錐の山容が望まれる。(カシミール3Dによる立体地形画像、赤線は登路を示す。)
■上丹生の駐車場の右側に「伊香西国29番札所 七七頭ヶ岳観音参道」の立派な石柱が建っていて、その脇から登山道が始まる。
因みに、伊香西国33箇所は西国33箇所に因んだ札所で、伊香郡は高月町、木之本町、余呉町などを含む地域を指す。
■道の左側が開けていて余呉トレイルの山並みが見えているが、生憎の曇天で山の同定はできない。
■直に薄っすらと雪が積もった道となるも歩行に支障はない。一際、大木の杉やブナが人目を引く。
■道路脇の雪の上に熊の足跡らしき痕跡を見つけるが、本当の熊の足跡か或いはハイカーが悪戯して付けた手の跡かで意見が分かれる。足跡が続いていない事、爪の跡が見えないことから熊ではなさそうである。
■1時間40分で山頂に達する。10cm位の雪に覆われ、ブナ林に囲まれた広場の一隅に西林寺の額を掲げた小さな祠と、宝篋印塔が建立されている。札所と言っても無住で、ちっぽけで貧弱な建屋である。
■先客の男の親子がいたので、集合写真を摂って貰う。9人もいると賑やかでその後、暫し撮影会となる。
■5分位で、40m位、雪の急斜面を下りた所に「瑠璃池」があると事前に知っていたので見物に行く。昔、村の娘が顔に出来物ができたが、ここの水で洗ったところ綺麗になったという謂れがあるそうである。清水がちょろちょろと流れ出していて流し台風のコンクリート箱で受けているだけで池には見えない。
当寺の御詠歌で「はるばると 登れば水の 涼しさよ 七七頭ヶ岳の 庭の瑠璃池」と詠われている昔に思いを馳せると、嘗ては池だったのかも知れない。
■山頂は展望がなく、気温も低く、霧雨も降ってきたので、昼食は下山後として、山頂を後にする。所々急斜面があり、落ち葉の上に雪が積もっていているので、滑り易く、歩き難く必死に降る。
■木の間越しに、時々、高時川を隔てて正面に雪の積もった横山岳の西尾根と墓谷山がボンヤリと望まれる。
■冬間じかであり花はないが、「冬イチゴ」など赤い実をつけた小さな植物が4、5種類はあった。
■下山道が乾いていれば1時間位で降りられる筈であるが、道が滑り易く、1:20も要して、菅並集落に降り立った。集落は静まり返り、人影もない。半数くらいの家が空き家の雰囲気である。三々五々、畑の畦などに座り昼食を摂る。天候が不安定で一時、止んでいた小雨が又、降り始める。
■ここからは高時川沿いの立派な車道を、三々五々雑談しながら、のんびりと上丹生の駐車場まで戻る。この間、車に一台も擦れ違うことも無かった。
■途中に、墓谷山の麓の路傍に「胡桃谷の名水」と看板がある水場があり立寄る。高時川は水量豊富な急・清流で見ながら歩くのは気持ちが良い。
総括:
本コースを総括してみると下記の通り。
・登りの登山道は左側の展望が開け、道も歩きやすいハイキングコースであった。
・山頂の西林寺、瑠璃の池には見るべきものは無いが、御詠歌でも知っていれば、感慨も異なろう。
・下山道は所々、急斜面があり、然も手入れも不十分で、危険ではないが歩き難く、展望もなく味気ない。
・総括すれば、当コースはこの時期、特段の見所などはないが、新緑や紅葉の時期に訪れれば、別の顔を見せてくれるかも知れない。
反省点:
・山頂付近は二、三日前の寒波で10cm位の積雪があり、この地方が豪雪地帯である事を覗わせる。下山時アイゼンを着ければ楽であった。この時期、入山するには軽アイゼンを用意するのが賢明であろう。(以上)