1.はじめに:
私達の登山サークルでは、山行日は土曜、日曜、及び月曜日の内で、天気の良い日を選んでいます。
この際、悩ましいのは、天気予報を見て山行日を決定するプロセスです。
安全サイドを過度に重視すれば山行日が中々、決まらず苛々し、又、夜半は雨天でも間もなく天気は回復するとの予報を信じ現地に行った所、予想通りの時間に回復せず登山を中止し時間と費用をロスする時もあります。
多くの山行リーダーも同じような事態に直面していることと思います。
かような苛々や、ロスを改善するために、天気予報以外の、気象衛星、レーダーなどの観測データとそれらをスーパーコンピューターで処理した気象情報の積極的な活用が考えられます。
天気図、雨雲の状況、及び高度毎の風速の現況と今後の予測データの観察により、“より安全な山行”が担保できると考え、以下に具体的な活用例を記します。
2.計画段階と山行当日に於ける気象情報:
信頼度の高い気象予測は2日間位であるようである。従って、山行段階により活用する気象情報は異なってくる。
2-1.山行の2日前まで:
目的地域、山塊の週間天気予報[“てんきとくらす”http://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/kanko/kasel.html?ba=tk&type=15、及び日本気象協会tenki.jpの“10日間天気(詳細)”(www.tenki.jp)]と天気図に目を通し大凡の候補日を選定する。
2-2.山行2日前の夜:
(注)山行実施の約36時間前
天気図(予測)、雨雲・雨量(長期予測)で明日、明後日の予測データを確認し、山行実施日を決定し、サークルのメンバーに連絡する。
2-3.山行前日の夜:
(注)山行実施の約12時間前
天気図(予測)、雨雲・雨量(長期予測)、及び高度毎の風速(予測)で明日の予測データを確認し、要すれば山行実施日を変更し、メンバーに連絡する。
2-4.山行当日:
天気図、気象レーダーによる雨雲(実況と短時間予測)、及び高度毎の風速で当日の予測データを確認し、山行実施が不適切な場合は、参集したメンバーに山行日変更を伝える。
なお、山行時に天候が不安定な場合はスマホを持参し雨雲の様子をチェックするのが望ましい。
3.使用する気象情報例:
2章で使用した天気図、雨雲・雲量、気象レーダーによる雨雲、及び高度毎の風速などの情報の概要を以下に示す。
なお、ここで紹介した情報源は筆者がnet.で調査し、実用的であると判断したもので、将来、更に良い情報源が見出された時には更新する所存です。
3-1. 天気図(実況と予測):
低気圧、高気圧、前線などに注目し大局的な気象状況を把握する。
日本気象協会tenki.jp(www.tenki.jp)の場合、実況は3時間毎に更新し、予測は3回/日の更新で3日後までのデータを示す。
3-2. 雨雲、雨量(長期予測):
雨雲の位置、雨量を把握し山行の安全を図る。下図はGPV気象予報(http://weather-gpv.info/?guid=ON)の例で、30分毎の更新で39時間後までの予測データを示す。この予報は雲量も表示する優れものである。
右側上のスケールは雲量を、右側下のスケールは雨雲の雨量を示す。
3-3. 気象レーダーによる雨雲(実況と短時間予測):
下図は日本気象協会 tenki.jp(www.tenki.jp)の雨雲データの例で、雨雲の実況(5分毎に更新)と6時間後まで予測(30分毎に更新)を表示する。
右下のスケールは雨雲の雨量である。
3-4. 高度毎の風向・風速(実況と予測):
下図は「世界版リアルタイム風向きマップ」(http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/gpv/wind/)の例で、各地の高度毎の風向・風を1時間毎で24時間後まで予測する。とても見易く使い勝手が良い。
右側のスケールで所要の高度を選択する。
なお、風速の危険レベルは風を遮るものがない場合は10m/sec(瞬間風速は20m/sec、台風並み)が目安となろう。