母が突然亡くなる一週間ほど前の出来事である。
母は年賀の挨拶のため叔母宅を訪れ一泊してきたが、その時小生に可なり高そうな暖かいジャケットを買ってきてくれた。
積雪もあり寒い頃であったので、毎日出勤する五十過ぎの息子である小生に暖かいジャケットを着せたかったのであろう。
ところが着てみると、下着の上から着ているのに皮膚にチクチク(九州ではチカチカと言う)とした刺激があり、「これは着れない」と言ってしまった。
母は淋しそうに「高かったのに、替えに行ってくる」と言い出してしまい、小生は悪いことを言ってしまったと後悔し、「工夫して着るから、替えなくていい」とその場を繕った。
それから一週間ほどで母が急性心不全で突然逝ってしまい、箪笥に仕舞いっ放しになっていたものを今冬また着てみたがやはり皮膚への刺激があって長くは着て居れなかった。
母にひどい言葉を吐いてしまった苦い思い出のジャケットであるが、母が亡くなってからもう十五年も経っているし、今日思い切って燃えるゴミに出した。
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