米国のバブル崩壊に伴う世界同時不況、派遣労働者の雇用不安が連日新聞テレビで報じられている。
政治家や政府はこの対策に苦労してしているように報道されているが、元々人材派遣は通訳など特殊な業種に限られていた。
然るに1990年代に「人件費を固定費から変動費へ(人を原材料と同じに扱う)」と言う産業界の要求を取り入れて小泉内閣が人材派遣業種を原則自由化したものであり、当初から不況時には労働者を簡単に切ることが出来るように節度なき自由化を行ったものである。
為政者としては不況時の人員削減を目的として行った自由化であり、今回の事態は当然の帰結である。
従って、政府としては目論見通りであり何ら慌てる必要はなく、対策に本腰が入らないのは当然であろう。
同じ派遣といっても国によって大きく異なるようだ。
先日テレビでフランスの派遣制度に関して紹介していたが、安易に解雇や派遣を中止できないよう法律に縛りがあるそうだ。
人材派遣自由化以前は不況時には製造の仕事がないので工場労働者は有給のまま草取りや自宅待機をしていたものである。
当然のことから企業の収益は圧迫されるが、投資家への還元を減らしたり経営者・従業員の給与を減らすなど「不況の痛みを全体で分け合って」乗り切ってきたのである。
然るに、人材派遣が自由化された現在、派遣労働者を切る前に経営者や正規社員の給与を削減すると発表した企業があっただだろうか?
政治家・政府も自ら給与を減らすとか発表しただろうか?
国民はこの点をよく注視する必要がある。