少数派シリーズ/社会の弱者・人権
松尾貴史コラム◇#KuToo 女性にハイヒールやパンプスを押し付ける男社会に違和感
■パンプスは一生女性に腰痛・膝痛など身体的な負担を強いるもの
投稿者の前説/「女らしく」といった古い日本の社会通念や習慣が、様々な男女平等を遅らせ、かつ女性だけに無理強いをしてきました。その典型的なことが、「パンプス・ハイヒール」の強要です。サービス業・接客業などで、強制が蔓延しています。国内大手航空会社の女性キャビンアテンダントの場合、10数時間の国際線でも3~5cmのパンプス着用が求められているそうです。航空会社こそ、CAの長時間の重労働や万が一の事故対応を鑑み、パンプスの強要をやめるべきです。全く機能的でなく足や腰などに負担が掛かる履物を、押し付ける「男社会の体質」こそ、真っ先に変えるべきです。松尾氏の文章によると、歴史的にハイヒールは娼婦や遊女の間に流行った履物だそうです。それこそ男社会の中で今でも女性を商品化し、習慣として飼いならしていることを、また1つ改める時が来たのかもしれません。性暴力被害者支援活動#MeTooをもじった、#KuToo運動が巻き起こっています。
ある資料では、フルタイムで働く女性の82%が足の悩みやトラブルを抱えている回答が出されています。うち45%(複数回答)が「外反母趾」(がいはんぼし)など、足や足指の変形を挙げました。場合によっては、一生、腰痛や膝痛その他身体的な負担を強いるものです。この投稿をご覧になったら、さっそく奥様あるいは彼女に素足を見せてもらって下さい。親指が隣の第二趾のほうに、「くの字」に曲がっていませんか? それが外反母趾です。ハイヒールや幅の狭い靴、つま先が細い靴を履くことによって、足の親指(母趾)のつけ根が大きく曲がってしまったことです。経営者やトップは、お客のために女性にハイヒールを履かせるのではなく、女性社員の一生を慮(おもんばか)って、「パンプス・ハイヒール」をやめさせるべきです。男性を含めた世の中が一体となって、「#KuToo」運動を進める必要があります。
「松尾貴史のちょっと違和感」コラムから抜粋
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムから抜粋した記事をご紹介します。最近のコラムニストも忖度記事が多い中、松尾氏は臆することなく痛快な文章に共感します。
*タイトル付け、文章の省略化は投稿者によるものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■男性にはクールビズを理由にさっさとノーネクタイを認めたのに
あらゆる性被害の告発や、その発生防止を啓蒙する「#MeToo」の運動になぞらえた、「#KuToo」という運動がある。さまざまな仕事の現場で、女性に対してのみ要求されるパンプスやヒールの着用義務について、足や腰のトラブルを生みやすいので、履くことを強制されることへの抵抗として広がってきている。#KuTooは、「靴・苦痛」の語呂合わせにハッシュタグを付けた造語で、俳優の石川優実さんらが署名活動を展開している。・・・(省略)・・・
仕事で履く場合は、大抵の場合、長時間に及ぶだろう。少しずつ慣れるものかもしれないけど、長い間履いていれば、かかとが高く全体重がつま先にかかっているのだから、そこに向かっておりてくる重圧は、外反母趾など足の変形も招いてしまう。重心も不安定で、捻挫を起こしたり転倒したり、ヒールの先端が側溝や下水道の蓋のスリットにはまって抜けなくなってしまったりするなど、さまざまなアクシデントの危険性が高くなる。椎間板(ついかんばん)ヘルニアや、骨格のゆがみなどによる妊娠機能低下まで招きかねないという。・・・(省略)・・・
この動きに問われた根本厚労大臣は、「社会通念に照らして、業務上、必要かつ相当な範囲」での着用義務を容認するような国会答弁をした。ハイヒールが必要な業務とは何か、具体的に教えて欲しいものだ。女性の権利改善に関しては、消極的な「お偉いさん」が多いことに驚かされる。一方、男性はクールビズなどでネクタイを着用しないことについて寛容な雰囲気が浸透してきたが。・・・(省略)・・・
■そもそもハイヒールは歴史的にヨーロッパの高級娼婦や遊女が履いていた
そもそも、ハイヒールという不思議な履物はいつ生まれたのだろう。一説には、紀元前の時代に、アテネで遊女が履いていたという話もある。同業者より目立つため身長を高く見せようして履いたのだろうか。15世紀にイタリアやスペインで、貴族や高級娼婦の間ではやったともいう。その後、街中の汚物を踏まないように履いたとか、ルイ14世が背伸びがわりに履いたなど、解釈によってはさまざまな人々が、さまざまな場所で履いていたわけだし、女性だけのものでもなかったらしい。ところが機能的ではないので、男性は履かなくなってしまい、女性だけのものとして定着したという。・・・(省略)・・・