10時53分、閑蔵駅に停車しました。乗客が二人降りてゆきました。閑蔵駅も山奥の秘境の駅ですが、先の尾盛駅と異なるのは、駅前広場に市道閑蔵線が通じていて、千頭駅からの路線バス閑蔵線のバス停があり、付近に民家が約20軒あることです。
その路線バス閑蔵線は、千頭駅で購入できる井川線のフリー周遊きっぷの範囲にも含まれており、一日に1往復しかありませんが、列車の本数が少ない井川線を補完する観光ルートとして利用する観光客や登山客が少なくないそうです。
例えば、千頭駅から閑蔵線のバスに乗って「湖上入口」バス停で降りれば、そのまま歩いて3分ぐらいでレインボーブリッジ展望所へ行けますし、帰りは井川線の奥大井湖上駅から列車に乗る、という利用の仕方があります。
閑蔵駅に停車中、何となく撮った客車スロニ202の車内です。乗客は私だけでしたので、独占貸し切り状態でこのような写真も撮れました。もと荷物室だった展望デッキ席から客席の方を見た図です。乗降扉が二ヶ所についているのが分かります。
車内の車番。
荷物室の乗降扉の内側にある非常用ブレーキのハンドル。
客席内部。
約1分の停車の後、発車しました。その際に撮った駅名標。
閑蔵駅の井川側には上図のように線路に沿ってスペースがありました。今は予備のレールが置かれていますが、昔はここにも線路が敷かれていたか、駅の何らかの施設が建てられていたような雰囲気でした。
次が終点の井川駅ですが、かなり距離があって約20分ほど走ります。これまでの駅へはだいたい6分から10分間隔で着きましたので、井川駅だけが離れているという印象でした。小さなカーブが連続しているため、スピードもやや落として走っていることも時間がかかる理由のひとつです。
なので、この区間はゆっくりと窓の景色を眺め、紅葉と眼下の崖下の大井川を交互に見て楽しむことが出来ました。最も森林鉄道らしい区間だと思います。
山奥のまた山奥、といった感じで、山並みが幾重にも連なって独特の景観をみせてきます。静岡県の奥地という意味で奥静エリアと呼ぶそうですが、故郷の奈良県でいうなら十津川村とか上北山村あたりに該当します。
眼下を流れる大井川の水面が、このあたりでは淡いグリーンに見えました。
奥泉ダムが見えました。中部電力の関係者しか立ち入り出来ないダムで、道はあるけれどそれも関係者以外は立入禁止だそうです。それで、私たち一般の者がこのダムを見るには、このように井川線の車窓から見下ろすしかありません。秘境のダムといわれる所以です。
奥泉ダムを過ぎてからすぐに見かけた簡易モノレール施設です。線路わきに広いスペースがある場所の端に設けられています。航空写真で見ると、下の奥泉ダムまで斜めに軌道が敷かれているようですので、これも奥泉ダム関係者のみが使用出来る、井川線からの臨時の連絡ルートであるようです。 (続く)